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GAMELIZATION ~ゲーマライゼーション~ 世界はゲームに変わり、僕は異世界へ行ける  作者: 二上たいら
第10章 抵抗は燃え上がる

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第700話 【ヴィーシャ】は証明すると誓う

 夢を見ている。


 私が病弱でなくて、エインフィル家とかかわることもなかった、そんな世界の夢。


 今の私を苦しめるあらゆる不幸の無い世界。


 幸せで、それなりに不満もあって、些細なことに喜び、ちょっとしたことで怒ったりして、楽しくて、その私はそんな日々を退屈だなんて感じてたり、そんなごく普通の人生歩んでいる。


 今の私ほど男性が怖くなくて、近所の年上の男性に憧れたりして、仲の良い男の子に告白されて悩んだり、小さな男の子が将来の約束をしてきたりね。


 毎日笑って、時々泣いて、楽しいことばかりじゃないけれど、それなりの人生を歩む。


 親の選んだ人と結婚して、その人はちゃんとした人で、すぐには好きになれないけれど、悪い人ではなくて、そのうち良いところが見えてきて、悪いところも見えちゃうけれど、一緒にいることに慣れていく。


 子どもができて、その子を育てるのに必死になって、でもとても幸せで、満たされた日々を過ごしながら年を重ねていくのだろう。


 ――あなたは誰?


 誰かが言った。

 私だった。

 その言葉は私の口から発されていた。


 嗚呼、そうだ。

 そこにいるのは私だけど私じゃない。


 私とは生きるのに回復魔術を必要とするほど体が弱く、エインフィル家嫡男パトリックに陵辱され、でもそのことをわかりもせず、のうのうと日々を過ごしていた愚かな女だ。

 不幸になるべくしてなった女だ。


 それが私だ。

 その日々が今の私という人間を形成した。


 私は私を否定したい。

 私を消し去りたい。

 私は死にたい。


 だけど私は知っている。

 こんな私を救うために命を賭けてくれた人たちがいることを知っている。


 ならばこそ私はこの命を投げ捨てることはできない。

 そうしてしまえば私は彼らの意思とその命の価値がわからない本当の愚か者になる。


 いいえ、私が愚か者だと嗤われるのは当然でしょう。

 実際に私は愚かな女です。


 だけど私は彼らの価値が貶められることには耐えられない。


 それだけはどうしても認められないのだ。

 ましてや私自身がそれをするなど耐えられない。


 私には生きていていいだけの価値がある。

 そう彼らは彼らの価値を以て証明したのだから、今度は私が彼らの覚悟には意味があったのだと証明しなければならない。


 私は私に価値を持たせなければならないのだ。

 そうしなければ彼らには人を見る目が無かったということになる。


 私が認める彼らに認められた私には価値があるのだ。


 この穢され、貶められ、辱められた私には、ここに存在している意味がある。


 いいえ、意味を作るのだ。

 私が意味を持たせるのだ。


 今度は私が彼らの価値を証明する番だ。


 だから私はこの幸せな夢を否定する。

 拒絶する。

 認めない。

 そんな風に逃げることは許さない。


 彼らが命を賭けてやり遂げたことには絶対に意味があるのだ。


 だから消えてしまえ。

 幸せなだけの私なんてものは存在しない、してはならない。


 どんなに辛かろうと、

 どんなに苦しかろうと、

 どんなに認めたくなくとも、


 全ての苦痛を経験した私でなければならない。


 この痛みを無かったことにするな!


 いっそ死にたいくらいのこの痛みを背負って生きるのだ。


 後悔しろ。


 愚かだったと過去を悔やむ者は同じ過ちを繰り返さない。


 証明しろ。


 彼らに、私を救って良かったと、そう思ってもらえるように。


 私は誓う。

 この額の傷こそがその証だ。


 今の私に恥ずべきところなどなにひとつない。


 いっそ私は衆目に晒されたい。

 見渡す限りを埋め尽くした人々に誇らしくこの傷を見せつけたい。


 さあ、その目に焼き付けろ。


 この傷を指差すがいい。

 醜いと嘲笑うがいい。


 そんな全ての人々に向けて、私は必ず証明する。


 己の行動とその結果を以て、彼らの行動の価値を。


 私は救うに値する女であった、と。

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