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GAMELIZATION ~ゲーマライゼーション~ 世界はゲームに変わり、僕は異世界へ行ける  作者: 二上たいら
第10章 抵抗は燃え上がる

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第695話 駆け引きを楽しめるのは時間があるとき

「ヴィクトルさん、この人たちを紹介させてください」


 アセンディア研究会は思っていたよりヤバい思想の集団だったけれど、だったら逆にヴィーシャさんを勧誘するようなこともないんじゃないかと思って、僕は緋美子さんの要望に応えることにした。

 まずは掩蔽壕(バンカー)でこちらの成り行きを気にしていたヴィクトルさんに緋美子さんたちを紹介することにする。


「ええと、この人はヴィクトルさんと言って、今回救出した女性、ヴィーシャさんのお父さんになります」


 まずヴィクトルさんを緋美子さんたちに紹介してから、今度は緋美子さんたちをヴィクトルさんに紹介する。


「ヴィクトルさん、こちらの方々はヴィーシャさんの救出に協力してもらった、こちらの世界の知り合いたちです。まず緋美子さん。炎系の魔法使いです」


[夢見]スキルのことは言わないでおく。

 他人のスキルを勝手に開示するのはマナー違反だからだ。

 炎系の魔法使いってことくらいはいいよね?


「緋美子と申します。どうぞよろしく」


「それから氷系魔法使い……でいいのかな? 氷守さん」


「[氷結]使いの氷守です」


 しれっと訂正されてしまった。

[氷結]って氷系魔法とはまた別なんだろうか?


「それから……えっと、パーティメンバーの方々です」


 男性だから名前を覚えていないんじゃないよ。確か百祈(びゃっき)という人がいたのは覚えているけど、どの人かわからないし、あと3人がまったくわからないんだ。

 じゃあやっぱり覚えてないんじゃないか!


 4人の男性たちがそれぞれに自己紹介をするんだけど、なんか覚えにくい名前なんだよなあ。百祈さんにしたって、よく覚えてたもんだよね。


「本名、ではないですよね?」


「ソウルネームです」


 やっぱり宗教系啓発セミナーっぽさが抜けないんだよなあ。


「それでこちらの女性二人がヴィーシャさんと会ってみたいと言っているんです。彼女たちはヴィーシャさんの救出に命をかけてくださったこともあって、断りにくいんですよね」


 だからヴィクトルさん、うまく断る文言を思いついてください。

 そんな僕の思いを余所に、ヴィクトルさんは、


「そういうことなら喜んで。こちらの一般的な女性のお話も聞いておきたかったんです」


 そういう意味では不適任者だと思います。


「ではヴィーシャのところに向かいながら、NDAの要点をまとめよう」


 ヴィクトルさんの話をさらに要約すると、今回のことで知った情報について外に漏らしたら、罰金があるよ。秘密保持の期間は契約満了から一年間だよ。

 って感じだ。要約にも程があるって感じだけど。


「こういう契約書を見るのは初めてだが、かなり不利な内容だと思う」


 とヴィクトルさんは言う。

 アーリアには秘密保持の概念自体があんまり無いからね。

 冒険者ギルドも個人情報ダダ漏れだったことを僕は忘れていない。


「米国側が秘密保持するという内容は含まれていませんか?」


「含まれていないね。そこも絶対に要求しなければならないだろう」


 これはあんまり良い気分じゃないな。

 こちらの無知に付け込んで、不平等な契約を結ぼうと画策すること自体が、真摯な取引相手のする態度ではない。


「翻訳された日本語部分も、意図的な誤解を狙ったような文言が多く含まれている。間違ってもこのまま署名してはいけないね」


「ということは、まず秘密保持契約書の修正案からですか。こっちは時間が無いってのに。こんなコケにされるくらいなら、もう自衛隊に乗り換えますかね」


 やってほしいのはあくまで案山子(かかし)なのだから、別に発砲できなくても構わないよ。結果的に自衛隊に犠牲者が出るかもしれないけど、そこは専守防衛を謳う自衛隊だから仕方がないよね。


 僕は別に僕に有利な契約を持ってこいと言っているわけではない。

 対等で、誠実な取引がしたいのだ。

 僕に忖度されて一方的に僕だけが得するような契約もしたくないし、当然ながら僕だけが損をするような契約を認められるはずもない。


「そんなに急ぎかい?」


 ヴィクトルさんからの問いを緋美子さんにスルーパスする。


「緋美子さんから見てどう思います? 米軍なり自衛隊をあっちに派遣して、屋敷の防備を固めようということなんですが」


「[夢見]で見たわけではないという前置きをさせていただきますね。その上で、あちらに残っているメンバーだけで屋敷の警護を続けるのは無理があるのではないでしょうか? 追い返してから時間が結構過ぎたことで、相手も単独ではなく徒党を組んでくる可能性が増してきますよね」


「ですよね」


 むしろアーリア組がなんであんなに楽観的なのかがわからない。

 そりゃ僕らは彼らからしてみたら、理解不能な制圧武器をてんこ盛りの謎の集団だ。飛び込んだが最後、レベルの力を使う前に封殺される恐れが高い。


 あれ、やっぱり楽観論が正解か?

 だけど僕は僕の感覚として、どうしても悲観的になってしまう。


「ただ軍隊を派遣するとなると、色々とややこしいのでは? ここはアセンディア研究会の二軍を投入するというのはどうでしょう」


 あー、すでに色々知られている相手なら譲歩してもあんまり痛くないという選択肢かあ。

 それはそれでアセンディア研究会への借りが大きくなりすぎる気がするんだよね。


 メインは米軍、サブに自衛隊、どっちもダメならアセンディア研究会にお願いするかもしれない。


「ちなみにその二軍って、どれくらいのレベルで、規模で、横田基地に駆けつけられますか?」


「レベル20を超えたくらいの30人なら派遣できます。今から呼べば日が沈む前に到着できるのではないでしょうか?」


 良い具合だなあ。というか、結構いるな。レベル高い人。

 まあ、ダンジョンを秘匿して独占してるわけだから、パワーレベリングなんかもお手の物だろうし、そうなるんだろうね。


「一応準備しておいてもらえると助かります。アメリカの提案があんまりにもあんまりのようなので」


「わかりました。貸しプラス1ですよ」


「はい」


 いや、まあ、アセンディア研究会とはこういう口約束で話が進んでいるから、それも怖いと言えば怖いんだけどね。

 今は即時性が求められているから、そういうのも仕方ないところある。

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