闇の呪縛 第1章-4
今回は短いです。
果ての見えない海があった。
見渡す限り、青一色。その海の上に、皆葉は立っていた。
「これは……”水”の知識か」
海は、穏やかな動きをしていた。だが、その動きは徐々に激しくなり、荒れ狂っていく。やがて嵐が起こり、巨大な水柱が出現した。
「おめでとうございます、神皆葉」
水柱から人影が現れる。青い長髪の華麗な女性だった。
「あんたは、”水”の神霊」
「ええ。かつて水無月メイの中にいて、今は貴方の中にいる”水”の神霊です」
「用件は……”水”の知識の付与か」
「そう、私自身の目的はそれだけです。ですが貴方は、他に用事があるのでしょう?」
「ああ」
皆葉は話す。
「水無月メイの記憶を見せて欲しい。そして、僕が最後に戦った黒衣の男――暁光冥の力は何だ?」
「水無月メイの記憶は、開示できます。”火”が元の持ち主の記憶を見せていますし、他の神霊がそれを拒む理由はありません。ですが、もう一つの質問……私には、答える権限がありません」
「権限? なぜ?」
「”水”の神霊という役割から逸脱しているためです。今回の闘いとは直接関係のないことのため、私には答えることができません」
「……」
(知らない、というわけではないか)
目の前の神霊は、「答えられない」と言うだけで、「知らない」とは言っていない。ならば、
「何かしらのヒントはないか?」
「ヒント……ですか」
”水”の神霊は少し逡巡し、
「…………ならば、私が言えるのは」
迷いながら、”水”の神霊は語りかける。
「魔術には対となる属性があります。”水”に対して”火”、”天”に対して”地”、”光”に対して”闇”。
ただ対となる属性とはいえ、それらが衝突した場合におきる事象は、属性によって異なることがあります。単に対消滅することもあれば、何かしらの反応が起きることも……ああ、いけません。これでは、答えを言っているようなものですね。まあ、朧気ながら貴方自身、気づいているようですが」
”水”の神霊はわざとらしく咳払いをする。
「さて、私に言えるのはここまでです。後は、水無月メイの記憶を見て、ご自分で判断してください」
そう言うと、”水”の神霊は人の形から泡となり、消えていった。
次の瞬間、皆葉には様々な映像が流れ始めた。
幼少期から現在に至るまで――水無月メイの記憶が。
次回は、記憶について触れていきます。




