↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神にデスゲームで皆殺しにしろと迫られたので、誰も殺さないで生き延びることにした。  作者: 火烏陽太郎
生命のはじまり、火の襲来

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/223

生命のはじまり、火の襲来 第6章ー4

 追跡をしながら、皆葉は違和感を覚えていた。


 紅蓮は、ロケット弾で攻撃してはくるが、そこには殺意が感じられなかった。強力な火器ではあるが、皆葉の魔術で防御できない程ではない。それは、最初の1射で紅蓮も認識しているはずなのに、同じ攻撃を繰り返して、逃げ続けている。


 皆葉の認識としては、相手は歴戦の兵士。さらに、“火”の神の道化。それ故に、皆葉が防ぎきれない程の物量・火力で押し切ってくると思っていた。しかし、接近させてくれないことは想定通りだったが、戦闘開始直後から終始走り回ることになるとは、夢にも思っていなかった。


「罠……か?」


 他にも気がついたことがある。追跡する途中、紅蓮が放棄したらしき、対戦車ロケットがいくつも見つかった。どうやら、1射ごとの使い捨てのようだが、魔術を使った痕跡が僅かに見られた。命中を補助するため、ロケットに生命を与えたのだ。本来ならば誘導しないロケット弾でも、魔術によってそれを補うことができる。だが、“火”や“天”の力を使えば、火力を上げることも可能。なのに、それをしていなかった。


 そして、紅蓮は逃げまどいながらも、どこか目的地を設定しているようだった。二手に分かれた皆葉だが、気がつけば、反時計回りに結界内を走り回されている。仕舞いには、結界の最北東にある工場に紅蓮は逃げ込み、皆葉は神奈と合流して、その前に立っている。




「はあ、はあ……兄さん、ようやく追いつめましたね」


 息を切らせながらも、笑顔で神奈は話しかけてくる。


「ふー……本当に、そう思うか?」


 同じように、息を切らせる皆葉。


 これまでの戦いぶりからして、とてもではないが、皆葉は追いつめたとは思えなかった。自分たちは魔力と体力を使ったのに、敵はほぼ、体力だけしか消費していない。逆に、自分たちが追いつめられているように思えてならない。


「兄さんは不安かもしれませんが――私の感覚だと、あの男と、食料品がたくさんあるぐらいですが」


 神奈は工場の壁に触れて、“生命”の力を使った。その所見を語る。


「だが……僕たちには思いも寄らない罠があるかもしれない。だとしたら、“生命”の力を使っても、判断はできないかもしれない」


「どうせ、休憩に寄ったんですよ。だったら、ここがチャンスです。それに、何があっても、私が兄さんを守ります」


 胸を叩いて、頼もしさを見せる神奈。堂々と入り口の扉を開いて、中に入っていく。


「……仕方がないか」


 先を行く神奈に遅れないよう、急いで皆葉も工場へ突入する。




 工場の中は、業務用の大きめな袋でいっぱいだった。潰れた工場を、倉庫として利用しているのだろう。


 神奈の探査が正しければ、食料品が大量に入っているということだが、皆葉にはしっくり来ない点があった。


(……モノが偏っている)


 袋をいくつかナイフで開いてみると、缶詰や飲料水などもあったが、小麦粉が大量に発見された。おそらく、その大半が小麦粉なのだろう。だが、小麦粉が貯蔵してある倉庫で休憩をとる必要が、どこにあるのか。敵のいない工場なら他にいくつでもある。そこにある食料を拝借するにしても、調理の手間がかかる小麦粉がある倉庫を選ぶ理由はない。


「……逃げるぞ!」


 大量の小麦粉――それにピンと来た皆葉は、先行する神奈の手を取り、入ってきた入り口へと戻ろうとする。しかし、


「遅い!」


 先に入ったはずなのに、入り口には、紅蓮が立っていた。どこかに隠れていたのだろう。その隻腕には、これまでと違って軽量な、短機関銃(サブマシンガン)が握られている。


 紅蓮は、短機関銃を四方八方に発射する。弾丸が皆葉を襲うが、辛うじて回避することができた。しかし、紅蓮の狙いは、皆葉ではなかった。


「マズい!」


 紅蓮の行動から、予測した戦術が確かであることを確信する皆葉。だが、前方では紅蓮が銃を乱射していて、接近することはできない。そして、全方向にバラマかれた銃弾が、小麦粉の入っている袋を破り、工場内に小麦粉が散乱していく。


「じゃあな」


 最後に、紅蓮は扉から外に出て、手榴弾を工場に放り、扉を閉めた。手榴弾が起爆するまで5秒の猶予しかない。皆葉たちは脱出しようとするが、散乱した小麦粉に視界を奪われ、思うように進めない。そして、


「——――――!!」


 破裂した。間を置くことなく、粉塵となった小麦粉が起爆する。皆葉たちを、これまでの対戦車ロケットとは比べようもない、膨大な熱量と爆風が襲った。


 工場は、木っ端微塵に吹き飛び、見る影も無い有様となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。