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ステータス『0』の観測兵 ~クラス転移を離れた少年は、砲火と魔法の異世界で昇進させられる~  作者: ハルキーノ
第三章 ”自己”

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六章十二話 零のそばの微かな値

《王録》 六章 十二節

『零のそばで、微かな値が布の下に灯る。』


 翌朝、もう一度東側を回った。


 見落としがある気がした。


 それでも行った。



 瓦礫の中に、ゼロではない生命があった。


 最初、目の錯覚だと思った。


 この場所で、この状態で、生命がゼロではないことは考えられなかった。


 近づいた。


 肉塊だった。形は人間だと分かる。でもそれ以上の識別は——できなかった。


 表示は、ゼロではなかった。


 極めて低い。でも、ゼロではなかった。


 喉の奥が、変な音を立てた。理解より先に、体がそれを拒んだ。



 名簿を確認した。


 生命の表示と、名前を照合した。


 高橋桜華。


 不死のクラスメイト、という話は聞いていた。


 聞いていたけれど、この状態で確認することになるとは、思っていなかった。


 生きているというその一点だけで、隣の名前も分からない遺体たちとまるで違う扱いを受ける。それが正しいのか、まだ判断がつかなかった。それでも、指は無線機へ伸びていた。


 救護班を呼んだ。一言だけ言った。


「まだ生きてる」


 自分の声が、平坦だった。


 表示を見てしまった以上、黙っている選択はなかった。見なければ、たぶん動けなかった。



 生命のゼロと、ゼロではない生命が、同じ場所にあった。


 どちらも正直だ。表示は嘘をつかない。


 準備など関係なく、それはそこにある。


――――――――


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https://kakuyomu.jp/works/822139841314440520/reviews

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