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第23話 黒装束達との戦い2


 金属がぶつかり合う音を背中に聞きながら、俺は黒装束の奴らに向けて剣を構えた。

 残りは剣と槍使いが1人づつと魔法使いがその後ろに2人いる。


 先に後ろの魔法使い2人を片づけようかなと考えていると、剣使いが俺に向かって走って来て斬りかかってきた。

 槍使いはその少し後ろを遅れて付いてきて、俺の剣の間合いの外から刺突を繰り出そうとしているようだ。

 俺は斬りかかってきた剣使いの剣を自分の剣で受け止める。

 数度打ち合って、また鍔迫り合いになった。

 押し返そうと両腕の力を込めるもほとんど動かない。

 むしろ、少しでも力を抜こうものなら押し返されてしまいそうだった。


 そんな中、槍使いが俺の頭を目掛けて槍を突き出そうとしていた。

 このままでは避けることができないので一旦引くことも考えたが、時間がかかりそうなので俺は自力のみで戦うことを諦めた。


「おらッッ!!」


 俺は声を出して気合を入れた。

 俺がやることは至ってシンプル、魔力で腕力を強化するのみだ。

 俺は両手で持っていた剣を片手に握り直した。

 さっきまで拮抗していた鍔迫り合いだったが、俺は片手で容易く剣を押し返す。


 そして俺の眼前に迫っていた槍先を首を傾けて避け、肩の上を通った槍の柄を剣を持っていない空いた手で掴んだ。

 俺は掴んだ槍の柄を、魔力で強化した腕力で強引に捻じ曲げた。


「なんだとっ!?」


 槍使いは、俺が捻じ曲げた槍から手を離し、後ろへと下がった。

 これに合わせて剣使いも俺から距離を取った。

 今まで無言を貫いていた黒装束達だったが、これには思わず声を出してしまったようだ。


「くそっ!! 魔法使い1人だけだと聞いていたのに2人いてしかも剣士と大楯使いだと? それにコイツの馬鹿力はなんなんだ! ふざけるなっっ!!」


 顔は隠されていてよく見えないが、剣使いのその声色から怒って頭に血が上っているのがわかる。

 それに奴の言い方から察するに、誰かに俺の情報をもらって俺を襲うように依頼を受けたようだな。


「ふん、やっと口を開いてくれたな? どうだ、このまま開いた口でお前らの依頼主の情報を洗いざらい全部喋ってみないか? 貴族のレオンを襲った時点でお前らはほぼ確実に犯罪奴隷に落ちることになるだろうが場合によっちゃ情状酌量の余地があるかもしれないぜ?」


「き、貴族だと……? 信じられるか!!」


「お前が信じようが信じまいが事実は変わらねぇよ」


 俺達がやりとりをしている間に、俺の視界に入っている2人の魔法使いと、俺の後ろで戦っているレオンの奥にいる3人の魔法使いが相変わらずそれぞれ詠唱を行なって攻撃魔法を放とうとしている。


「学習しねぇな、それじゃあ駄目なんだってば」


 俺は人差し指の第一関節ほどの大きさの魔力の塊をそれぞれの魔法使いの喉を目掛けて放つ。


「「「「「ごはっ……!!」」」」」


 魔法使い達は、喉に直撃した魔力の塊にたまらず詠唱を中断し、喉を押さえて苦しむ。

 俺は、それを呆然とした様子で見ていた目の前の剣使いと槍使いの鳩尾に剣の柄頭で殴打を加え、気絶させて無力化させた。

 魔法使い達はしばらくまともに声も出せないだろうからそのまま放って置いても大丈夫だろう。


 俺はレオンの方に加勢に向かおうと目をやった。

 けれど、俺が加勢するまでもなくもう少しで決着しそうだったので手を出さずに見物することにした。


 レオンは剣使いと槍使いの2人を相手にしている割には割と上手く立ち回っていた。

 しかし、大盾持ちというのは素早く動くことができないため、一見どうしても防戦一方だという印象を受ける。

 レオンを相手している2人も、このままいけば勝てると思っているだろう。

 当然だ、盾持ちは本来は敵の攻撃から味方を守る役割であり、決して単体で敵に挑むものではない。

 だが、レオンの戦い方を知っている俺はそれでも加勢の必要は無いと判断してそのままここで見ていることにした。



「「はぁ、はぁ……」」


 レオンの相手をしている2人は段々と肩で息をするようになってきた。


「どうした、息が上がっているぞ? 無駄に動きすぎじゃないか?」


 対してレオンは顔色ひとつ変えずに余裕だといった表情であった。


「はぁ、はぁ……くそ、鬱陶しい!!」


 槍使いが痺れを切らして、槍を突き出してレオンに向かって突撃した。

 しかしこれではレオンの思う壺であった。

 レオンは槍使いを軽々と身体をずらして躱した。

 突撃を躱された槍使いは、その勢いをすぐに止めることはできない。

 レオンはその勢いを利用して槍使いの足を引っ掛けて転ばせた。

 そして、レオンは転んだ槍使い目掛けて、自らの身体を盾ごとボディプレスのように浴びせた。


「あぎゃっ……?」


 メキメキッと何か不快になる人間が発してはいけなそうな音を鳴らしながら槍使いは意識を失った。

 剣使いも同様にボディプレスの餌食になるのにそう時間は要しなかった。



「……あれだけは絶対に食らいたくはないな……」


 俺達は黒装束の奴らの撃退に成功した。


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