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第20話 戦う決心


 俺は今、冒険者ギルドのギルドマスターの部屋のソファに腰を下ろしている。

 隣にはレオン、テーブルを挟んで正面にはギルドマスターのニックさんが座っている。


「ニックさん、昨日は呼ばれたのに来れなくてすみませんでした」


 昨日はニックさんに何か話があると呼び出されていたのだが、あんなことが起きてしまったせいで行くことができなかった。


「それは構わぬ。タイミングよく……というのは少し違うが、ワシがあのことを話そうとした矢先にあんなことになるなんてのぉ……」


「どういうことですか?」


 このタイミングで言ってくるということは、あのことというのは何か今回のことと関係があるのだろうか。


「噂自体は半年以上前から他の支部の冒険者ギルドから聞いておった。まぁしかし、よくあるただの噂話と大差がなかったものじゃからおぬしに伝えるべきか悩んでのぉ、結局伝えんかった」


「その噂とは?」


「1年ほど前、王都の隣の領地にあるダンジョンのスタンピードを止めるために宮廷騎士団と魔法師団が派遣されたそうじゃ。しかし、そこでとある宮廷魔法師団の魔法使いが、何らかの方法で魔物の群れを操り、その魔物の群れを扇動して王都に向けて進めようとしたらしい。その魔法使いと魔物の群れは騎士団と魔法師団の活躍で止めることに成功し、その魔法使いはそこで殺されたそうじゃ」


 ニックさんは一息おいて続けた。


「ちょっと調べてみたんじゃ。そのスタンピードが起こった日にちは、おぬしがステファニー殿と初めてここに来た5日前じゃった。カイ、おぬしはステファニー殿とどのようにして出会ったのかの?」


「……あの日の前日の夜、スラムのゴミ捨て場で倒れていた所を俺が見つけたんです」


「ふむ、なるほどのぉ。スタンピードが起きた地からこの街まで、歩き続けて3、4日もあれば辿り着ける」


「ステフがそんなことをしたとニックさんは思うんですか?」


「思わぬ。じゃから濡れ衣を着せられたと考えるべきじゃの。そして信じていた仲間に濡れ衣を着せられたステファニー殿は自暴自棄となってゴミ捨て場なんかに倒れておった。どうじゃ? 全部ワシの妄想ではあるが辻褄は合っておるであろう?」


「……確かに、なぜステフみたいな奴があんな所で飢えて倒れていたのか疑問に思ってはいたが……」


「まぁワシの妄想はともかくとして、ステファニー殿がそんなことをするはずはないと断言しよう」


「ありがとうございます」


 昔からステフのことを知っているニックさんもステフは無実だと言ってくれている。

 それだけで少し気が楽になった。


 少しの沈黙の後、隣に座っていたレオンが俺の方を見て口を開いた。


「それでお前はこれからどうする気だ?」


「その冤罪を晴らすことはできないのか?」


「…………厳しいな、時間がない。父上の情報によれば6日後に王都にて公開処刑が行われるそうだ」


 レオンはさっき、マクファーレン領都にいる父親、マクファーレン侯爵に遠話の魔道具で連絡をとったそうだ。

 ステフを王都まで移送している宮廷騎士団、魔法師団の一団は今朝、マクファーレン領都に到着したとのこと。

 今日1日は物資を補給し、明日マクファーレン領都を発ち、4、5日かけて王都に帰還する予定だという。


「早すぎないか!?」


 そんなに短期間で公開処刑という大きな場を用意して実行するなんてできるのか?

 俺にはわからないのでレオンに聞いてみる。


「やろうと思ってできないことではないが……。しかし、何故かはわからないが急いているようには感じるな」


「なるほどな。冤罪を晴らすことができないってなら答えはひとつしかねぇ。力づくにでもステフを取り返しに行く!!」


 俺はステフのために戦うことを決心した。


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