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《間話》詠唱って何?

カイとステフの修行の日々のとある会話


「なぁステフ、この前他の冒険者が魔物と戦っている所を見たんだけど詠唱をしてファイヤーボールとかアイスランスとか言って魔法を使ってたんだけどステフが教えてくれる魔法にはそういうの無いよな?」


 俺は疑問に思っていることをステフに聞いてみた。

 カッコいい詠唱を唱えている冒険者の魔法使いをこの間見かけたので俺も使ってみたいと思っていたんだ。


「あー、アレはね、魔法を使いやすくするために体系化した形なのよ」


「体系化……?」


「カイは魔法を使うとき、自分の魔力を操作してそれを自分の使いたいイメージした魔法に変換するっていう単純で簡単な方法で魔法を使ってるわね?」


「いや、単純って言えば単純なんだけどさ……。少しでも集中力を欠いたら魔法が変な感じになったり暴走しないように抑えたりで神経が擦り減って擦り減って……とてもじゃないけど簡単とは言えないぞ?」


「そう! 私みたいな天才にとっては呼吸をするかのようにそれができるのだけれど、一般的にはとても難しいことなの。だから多くの魔法使いは魔力から魔法に変換する間に詠唱と魔法術式を挟んで、それが魔法の発動を補助して簡単にしてるのよ」



 【魔力→魔法】が俺がステフから教わってる魔法の使い方で、【魔力→詠唱・魔法術式→魔法】というのが一般的なやり方ってことかな。


「へー、そっちの方が楽に魔法が使えるなら便利じゃん」


「うーん……確かにそうであるとも言えるのだけれど……」


「何だ? 歯切れが悪いな」


「言っても伝わりにくいだろうし試しに簡単にできる詠唱魔法使ってみる?」


「お、できるのか!」


 ステフに詠唱と術式を教えてもらった。

 かなり簡単で1度覚えたら忘れないレベルだ。


「じゃあ教えた通りにやってみて」


 俺は魔法術式を描いて詠唱を始めた。


「【赤き火球よ 敵を焼き尽くせ ファイヤーボール】」


 すると魔力を操作していないにも関わらず身体から魔力が抜けたような感覚がして、拳2つ分ほどの火の球が発射された。

 おぉー、かなり便利じゃないか!


「今実際に使ってみて何か気がついたことはある? 何でもいいわよ」


「気がついたこと……? そうだなぁ……あれくらいの魔法にしては魔力の消費が大きかったような……」


「正解よ。魔力と魔法の間に余計な物が入っちゃってるせいで魔力を余分に消費しちゃうのよ。後もうひとつあるのだけれど……カイ、もう1度同じ詠唱で魔法を使ってみなさい、さっきよりも威力を上げるつもりで」


「わかった」


 魔法の威力を上げるには魔力を多く込めればいい。

 俺はもう1度同じように魔法術式を描いて詠唱をした。

 そしてさっきよりも魔力を多めに……ってあれ?

 1回目のファイヤーボールと同じ量の魔力が身体から抜けて、同じ威力のファイヤーボールが発射された。


「あれ? ごめんステフ、失敗した。もう1回やってみる」


 そう言って俺は詠唱を始めようとしたのだが、ステフにそれを止められた。


「いえ、大丈夫よ。何度やっても結果は同じ。威力が固定されてるのよ。どんなに魔力の扱いが下手でも、魔力があれば一定の威力が出るようになってるの。これより強い魔法になればなるほどそれに比例して詠唱も長くなってきて、誰かに守ってもらわないとまともに戦闘で使えないわ。詠唱魔法は詠唱1つにつき魔法を1つしか発動することができないけれど、私ならその間に数百数千の魔法を使うことができるし詠唱をするメリットがないのよね。だからカイも詠唱魔法に甘えずに頑張りなさい」


「おう、わかったよ」


 しんどい思いをしてやっとコツを掴み始めてきたのに今更やり方を変えることもないしな。


「よし、休憩もできただろうしそろそろ修行を再開するわよ!」


 俺の修行はまだまだ続くのであった。


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