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《間話》とある修行の日の出来事


 今俺はステフと森の中の広場で修行をしている。

 さっき修行がひと段落ついて、昼飯の時間になった。


「今日も俺が山菜を採ってきて、ステフが肉を狩ってくるって役割でいいのか?」


「ええ、そうしましょう。じゃあ今からそれぞれ別れて……って」


 ステフは言葉を途切れさせて少し離れた木の根あたりでしゃがみ込んで何やら採っている。


「やっぱりそうだわ! カイ、このキノコはね、火で炙ると香ばしい香りがしてジューシーでとても美味しいのよ」


「へー、そうなのか。じゃあ他に見つけたらいっぱい採ってくるよ」


「ええ、頼んだわよ。じゃあまた後で」


 そう言うとステフは魔法で飛んでいった。


「俺も早く飛べるようになりたいなぁ」


 俺は少し森の奥に入ってステフに教えてもらったキノコや山菜を探す。

 2、3分歩いて木が他の場所より密集しているところに先ほどステフに教えてもらったキノコがあった。


「これか! ステフが言っていた美味いキノコは!」

 

 この辺りはこのキノコの沢山生えているようだ。


「今日の昼飯は豪華になるぞー!」


 俺は手に持てるだけのキノコを持って、元の場所へ戻った。

 ステフはまだ帰ってきていない。


「あれ、いつもなら俺より先に戻ってきて火を用意して待っててくれているのにな」


 ま、そういう日もあるか。

 俺はそう思い、火を用意することにした。

 まず、土魔法を使い簡単なかまどのような物を作る。

 そして、そこら辺から集めてきた小枝をさっき作ったかまどの真ん中に集めて火魔法を使い火を起こす。


「よし! 後はステフを待つだけだ」


 ぐぅ〜、と俺の腹から音が鳴る。

 目の前にはステフがジューシーで美味しいと言っていたキノコが沢山ある。


「うん、ステフが帰ってきたらすぐに食べられるように焼いておこう」


 俺はキノコをいくらか焼き始めた。

 するとそのキノコからすごく香ばしい、食欲のそそる匂いがしてきた。

 ステフはまだ帰ってくる気配はない。

 ぐぅ〜、と再び俺のお腹から音が鳴る。


「ま、まぁちょっとくらい先に食べても問題ないよな?」


 俺は香ばしい匂いがするキノコを1つパクリと食べた。

 キノコなのになんて美味さなんだ……!

 口の中で噛んだ瞬間、まるで肉を食べているかのような、肉汁がじんわりと口の中に広がるような感じがした。


「う、美味すぎる!!」


 俺はそのまま焼いていたいくらかのキノコを全て食べた。

 そしてタイミングよく俺が食べ終えた後、ステフが帰ってきた。


「待たせたわね。ちょっと近くに手頃な獲物がいなくてね、離れた所まで行ってたのよ」


「ああ、大丈夫だ。火を起こしたりしていたからそんなに待ってはいない」


 一足先にいただいたのは秘密だ。


「あ、そのキノコ採ってきてくれたのね。さっき言い忘れていたんだけれどそのキノコが生えている所によく似た毒キノコも生えるのよ。味もよく似ていてとっても美味しくてね」


「ス、ステフ? ……その毒キノコは食ったら死ぬのか?」


「いえ、でも2、3日はお腹を下してとんでもない腹痛で地獄を見ることになるわ。まぁ見分け方は簡単だから教えてあげるわ、一緒に分けましょう」


 そしてステフが意気揚々と毒キノコの見分け方を説明しているものの、俺の耳には入ってこなかった。


 俺の腹がギュルルルルルルルと音を鳴らした。


「ス、ステフ……もしかして俺それ食っちゃったかも……」


「え? 先に食べちゃったの?」


 俺の腹はさっきからずっとギュルルルルと不気味な音を立てている。

 少しでも力を抜いた瞬間アウトだ。


「うっ……少し森の奥の方に行ってくるぜ……」




 その後、解毒魔法を使えば治すことはできたらしいが、命に関わることではないことと勝手に先に食べた罰として、ステフは半日ほど解毒魔法を使ってくれなかった。



読んでくださってありがとうございます!

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