第13話 ついに魔法の修行へと
「……って何でだよ!? 何で剣の道に進み始めてるんだよ!?」
「突然大きな声をあげてどうしたのよ?」
「俺って魔法使いの弟子……だよな?」
「いえ、超絶天才美少女魔法使いの弟子よ!」
ステフに真顔で言い返された。
いや、今は超絶天才だの何だのに言い返している場合ではない。
「じゃあ何で俺は未だに魔法のひとつも教えてもらえずに剣の腕を磨く日々を送ってるんだよ?」
「あら、随分と今更なことを言うのね? 修行開始2、3日目にはそう言ってくると思って色々と話すことを考えていたのに」
「確かに……普通に充実した日々を送れることに感動してすっかりと失念してしまっていた……」
「このまま剣士として頑張ってみる? それなりに筋もいいし良い線いくと思うわよ?」
冗談か本気かわからない態度でステフは俺に対してそう言うが、
「いや、ステフのすげぇ魔法を見ちゃったんだ。俺も魔法を使えるようになりたい」
「ま、そろそろ頃合いだとは思っていたところだったから明日から魔法の修行を始めましょうか」
「頃合いって、今日までの修行も何か必要なことだったのか?」
「当たり前でしょ、弟子に余計なことをさせるなんて二流のすることよ!」
えっへんと胸を張るステフを横目に俺は内心とても楽しみにしていた。
ついに魔法を教えてもらえる。
まぁ俺には魔法の才能が無いらしいからどうなるかはわからないけどとにかく頑張ろう。
翌日、俺は今日から始まる魔法の修行が楽しみでいつもよりも早く起きてしまった。
既に目が冴えて眠れなくなってしまったので、いつも通り日課の瞑想をすることにした。
そしていつも通りステフと朝食を食べ、いつも通りランニングを終えた。
「はぁ、はぁ、ステフ、ランニングはやるんだな」
「今日は限界までじゃなくてこの場所まで走るだけだったから楽なもんでしょ?」
ステフが言うこの場所、とはあの日ワイバーンを倒した森の中にある広場的なところだ。
人目が無いところの方が都合が良いとのことだったのでこの場所を更に魔法で広げてしっかりと地面を固めて修行場へと早変わりしてしまった。
「じゃあカイ、魔法の修行に入る前に考えましょうか。なぜ1ヶ月もの間、あなたに魔法を教えなかったのか」
そうだ。昨日は教えてもらえなかったが、あの1ヶ月にもちゃんと意味があったのだと言う。
「うーん、なんだ? 根性とか体力をつけるため? でも魔法に関係ないしなぁ……」
「その通りよ! ランニングの目的は体力や根性を鍛えることよ!」
おお、当たった。って……。
「それ魔法に関係ないじゃないか」
俺がそう言うとステフがやれやれとでも言いたげな仕草をして答えてくれた。
「カイ、あなたは魔法を覚えてどうしたいのかって質問に何て答えたかしら?」
「旅をして色々な景色を見たい、そう答えたはずだ」
「その通りよ。魔物が蔓延る世界で旅をするために魔法を使えるようになりたい。でも旅というのは過酷なものよ。いつも万全の状態で踏み慣らされた道を歩くだけの旅なんて存在しないわ。疲労で歩くのも一杯一杯なんて状況になっちゃって魔物なんかに襲われたらもうお終いよ。そんな中で満足に魔法なんて使えるわけないしそこで呆気なくお陀仏ね」
……なるほど、ステフはそこまで考えてくれていたのか。
「そして次は剣の修行ね。あれは選択肢を増やすためよ」
「選択肢?」
「そう、選択肢よ。実力が拮抗した者同士の戦いでは思わぬ不意の一発が勝敗を分けることもあるわ。魔法使いなのに剣士並みに剣を扱える、不意がつけていいでしょ?」
うん、できるのならこれ以上無いいい手になりそうだけど……。
「難しくないか、魔法の才能が無い俺が剣士並みの剣の腕を持ちながら魔法使いとしても強くなるのは……。それにこれって人を相手にするときのことだよな? そんな予定俺には無いぞ」
「私が教えてるんだからそんな心配はしなくてもいいわ! それとね、カイにそんなつもりはなくとも人と戦うときは訪れるかもしれないわ。備えておくだけ備えておきなさい」
過去に何かあったのだろうか。そう言うステフは何だか切ないというか何というか、そういった顔をしていた。
「そして、昨日までの1ヶ月の修行の一番の目的をまだ説明してないわ!」
そう言うとさっきまでの表情は一瞬で鳴りを潜め、いつも通りの調子で説明をし始めた。
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