第11話 俺が!? ワイバーンを!?
俺たちはキーストリアの街までワイバーンの死体をくくりつけた馬車に乗って帰ってきた。
ちなみにあの後、馬車までワイバーンを運ばなければならなかったのだが、なんとステフは腕一本でワイバーンを引きずって運び、何かよくわからんが恐らく魔法で道中の邪魔な草木を伐採して土を整地し森を出るまでの道まで作ってしまった。
どんなときでも冷静沈着なことが売りの俺でもその光景には空いた口も塞がらなかった。
俺はワイバーンの頭をひぃひぃ言いながら担いで歩いていたのに、ステフは汗ひとつかかずに涼しい顔をしてワイバーンの体を運んでいたので聞いてみたところ、魔力で身体を強化しているのだとか。
非常に羨ましい、早く俺も覚えたいものだ。
俺たちはワイバーンをくくりつけた馬車に乗って街へ入ったのだが、街がかなり騒がしい。
騒ぎの元凶は当然、俺たちだ。
「なんだ……? あのでっかい魔物は!?」
「うぉおおお、すげぇええ!」
「ドラゴンか? アレがドラゴンなのか?」
今までワイバーンを見たことがない街の人の声が聞こえてくる。
「ありゃワイバーンかよ……」
「マジかよ……上に乗ってるあの2人がやったのか?」
「バカ言うな、あんなクソガキと可愛らしい嬢ちゃんがワイバーンを殺れるかよ」
「もしかしてあの子さっき受付でSランクって言われてた子じゃねぇか?」
ワイバーンの恐ろしさを知る冒険者たちの声も聞こえてきた。
そして自分のことを超絶天才美少女魔法使いだと称しているナルシストなステフは、その騒ぎの声を聞き、見るからに上機嫌だ。
「ワイバーンの討伐ありがとうございます、ステファニー殿。おかげで今夜はすっきりと気持ちよく眠れそうです」
冒険者ギルドまで戻った俺たちは、ギルドマスターのニックさんへワイバーンの討伐を報告した。
ニックさんはテーブルにドンッと重そうな布袋を置いた。
「こちら、報酬とワイバーンの素材、魔石の買取料を含めた物になります、どうかご確認をお願いします」
ステフは布袋の口から中身を確認し、持ち上げて重さを確認した。
「ふーん、太っ腹ね」
「それはもう、本来であれば多数の冒険者の命が失われていたところでしたからな」
へー、どれくらいもらったんだろうな。気になるなぁ。
ちょっとだけチラッと覗いてみようか。
俺はステフの前に置かれた布袋の開いている口から中身を覗き込んだ。
「うぉあっ! まぶしっ!?」
布袋の中が金ピカで眩しすぎて思わず声を上げてしまった。
これは恐らく金貨か? 俺にとっては銀貨ですら他人が持っているのを見たことくらいしかなく、金貨なんてこれまで見た覚えがない。
金ピカなので金貨だろうと思うが、これが本当に金貨なのかどうかすらわからない。
「どうしたのよ?」
「ステフ、この中身全部金貨なのか?」
「違うわよ、大金貨よ」
「ええっと……大金貨? ええっと、小銅貨100枚で大銅貨1枚だから……」
俺が必死に指を折って数えていると、横からステフが答えてくれた。
「大金貨1枚で小銅貨100万枚分よ」
「ひゃっ、100万枚!?」
ちなみに俺の1日の食費は小銅貨5〜8枚だ。
「銅貨100万枚の大金貨か10数枚……一生遊んで暮らしても有り余る金をわずか1日で……」
ダメだ、頭がおかしくなりそうだ……。
「カイにもいずれワイバーンと戦ってもらうことになるんだから、いずれこれくらい稼げるようになるわよ」
「俺が!? ワイバーンを!? 冗談はやめてくれ……」
「冗談なんかじゃないわよ。私が教えるんだから、最低でも1人でワイバーンくらい倒せるようになるわ!」
「あ、あの、ワイバーンはAランク冒険者でもパーティを組んで挑まなければならないほどの魔物なのですが……」
俺たちの会話の間にニックさんが入った。
よし、ナイスフォローだニックさん!
Aランク冒険者ですらパーティを組んで戦う相手に俺がどうこうできる訳がない!
「それじゃあカイはSランク冒険者になれるかもね」
ステフは有無を言わせない態度で俺にそう言うのであった。
ワイバーン討伐なんて俺が死ぬまでに達成できるかどうかだと思うが、ステフはそれまで俺の師匠として教えてくれるのだろうか。
俺はどうやら随分と大変な道へと足を踏み出してしまったようだ。
読んでくださってありがとうございます!
よろしければ評価、ブクマ、感想など何かしら残していただけるととても嬉しいです!
評価は下の方にある☆☆☆☆☆←これをポチッとするだけのようです!




