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四人目の被害者になりました。五人目は阻止したいと思います!  作者: こう


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25/49

25 コレクション(?)


 窃盗犯は、間違いなくノインだ。

 彼女が自白する場面をアイヴィーが目撃しているので、間違いない。

 同じく聞いていた、一緒にサボっていた侍女二人は早々にノインを売った。問い詰められたノインは虚言ばかりで明らかに怪しかったので、その手元から紛失物が出てこなくても、彼女が犯人だと断定されていた。状況証拠のみでの断定。現代社会の感覚を持つアイヴィーからしてみれば即炎上しそうな展開である。そのアイヴィーがノインの自白を見ているので、全く同情していないが。


 そもそも諸事情で使用人の配置を増やして居る現在。侯爵家の外から部外者が侵入し、ニリスの部屋へ盗みに入るのは難しい。内部犯と見るのが自然だ。

 内部を洗った結果、明らかに怪しい女がいる。詰問(意味深)した結果わかりやすい虚偽を吐いたとなれば、彼女がやったと誰もが思うだろう。


 しかし、ノインの手元にペンダントがない。

 盗まれたのは確かなのに、盗まれた品がどこにもない。


 業者も来ていないしノインが外に出た記録もないので、侯爵家の外に出されたわけでもない。ノインの部屋、使用人達の部屋はカーペットすらひっくり返す勢いで探索が行われていた。

 それでもペンダントは見付からない。

 見付からないので、ノインは無実を訴えたらしい。

 盗品が出てこないのだから自分は無実だ、と。

 見付からないのを幸いと、逃げるつもりらしい。


(そりゃそうね。私でもなんであんな流れでペンダントが飛んでいったのかわからないし)


 ノイン達の視点だと、ペンダントは窓の外に投げたので、その辺りに落ちているはずだ。あれから探しただろうが、実際は烏が巣に持ち帰ったのであのあたりにはない。

 つまり、ノイン達にも盗んだペンダントがどこにあるのかわからない。


(これでマイナの部屋に設置済みとかだったらマイナが犯人にされそうだけれど、アリバイが完璧だから誰かにはめられたってすぐにわかる。そうなれば目撃証言のない彼女たちが怪しまれて……明確な証拠がなくても、今世はこの流れで犯人確定なんだよな)


 状況証拠だけでも立証されてしまう。

 だから、自分以外に盗める人が居ないとわかって、ノインはクインティーナの所にあると騙ったのだ。

 明確に答えられないから、更に誤魔化そうと虚偽を重ねた。


(正直に紛失したって告げても、紛失までの流れが作り話みたいだもんな……)


 作り話みたいな本当の話をしたところで、あのあたりを探してもペンダントは見付からない。だから自分以外の存在を巻き込んで、手渡したから自分もその後の行方はわからないと主張することにしたのだろう。あまりにも浅慮。

 放って置いてもノインはこのまま罰を受けるだろう。というか既にどこかで鞭打ちなり受けていると思われる。


 そして困るのが、そんな保身だらけの証言に巻き込まれたクインティーナ。

 彼女はアイヴィーが語ったのでペンダントの行方を知っているが……勿論それを語る事はできない。

 だからニリスの問いにも、知らぬ存ぜぬを貫くしかない。


 ちなみにこの騒動は深夜に起こった。


 ――全く気付かなかった。


(きっと私が塀の外に出て、ミラノスとやりとりしている間に発覚して大騒ぎになったんだ……だって出ていくときは静かだったもの。で、クインティーナの所には別ルートで戻ったから燭台の灯りに気付かなかった……)


 騒がしかったのが使用人達のいる棟だとしても、全く気付かなかった。

 ミラノスとのやりとりを終えて、ずっとクインティーナの部屋にいたからか。

 ちなみにクインティーナは快眠だった。


(警報器としての役目ェ……! 確かに昨夜は、後出し情報で頭がいっぱいだったけどォ……!)


 使用人達は恐らくクインティーナに気付かれないよう大捜索していたと思われるが、もっと早く気付きたかった。


(ともかく、マイナが疑われなくてよかった)


 彼女たちが仕事を押しつけていたからアリバイがあったのは皮肉だ。

 同じように、クインティーナが疑われていないのは常に人の目……監視の中で生活しているからだ。怪しい動きをしていないので、ノインに指示を出す暇もない。そうわかっているから、侍女達も欠片も疑っていないのだろう。


(その報告を受けているはずだけど旦那様? 確認していないのかな旦那様!?)


 それ程ペンダントがなくなったのがショックだというのか。

 アイヴィーの遺品がなくなったのが。

 殺した妻の遺品が。


『…っていうか、引き出しの奥に大事に仕舞っていたのに、なくなったその日に紛失に気付くって何? そんな頻繁に確認していたって事? 私の遺品を?』


 化粧を施されているクインティーナの横で、アイヴィーはぞわわわっと鳥肌が立つのを感じた。幽霊だけれど、純粋に鳥肌が立った。


『い、遺品コレクションだー!』


 自分が殺した妻の遺品を毎日拝んでいるなんて、それ以外考えられない。


『ペンダントが見付からなくてノインの明らかな虚偽証言に乗っかってクインティーナの所に乗り込んで来るくらい執着しているのも怖い! なんで私の遺品にそんな執着しているの!? 意味が分からなくてキモすぎるー!!』


 だってペンダントに共通の思い出などない。

 なのにこの執着。怖すぎる。


 うわあああっと悲鳴を上げながら身悶える。アイヴィーの言い分に、クインティーナも少し青ざめた。青ざめたが、ニリスに呼ばれているから怯えているのだろうと侍女達は特に気にしない。むしろ憐れむようにクインティーナを見ていた。

 しかも身嗜みが整ったので、売られる仔牛のようにニリスのいる執務室へと先導されていく。

 容赦のない行動に、アイヴィーが吠えた。


『朝ご飯くらい食べさせてよ!』


 相変わらずクインティーナの代わりに絶叫するアイヴィーに、クインティーナは腹が鳴らないよう願うしかなかった。



遺品コレクション(?)されていたペンダント、現在烏の光り物コレクション。

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― 新着の感想 ―
これまで侯爵様の方の思惑がさっぱりだったけど そう言う性癖の人...?
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