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四人目の被害者になりました。五人目は阻止したいと思います!  作者: こう


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103/112

103 ド健全で問題なし


 一方その頃、二人揃って退室したクインティーナとオクトスは。


「今のクインティーナを使用人の部屋に連れて行くのは問題があるからな。暫くこの客室を利用して欲しい」

「はい」

「今日はもう遅い。このままゆっくり休んでくれ」

「お気遣いありがとうございます」

「ではクインティーナ。良い夢を」

「はい、オクトス様も、良い夢を……」


 とっても健全に部屋まで案内され、とっても紳士的にわかれていた。

 広い客室に残されたクインティーナが我に返り、暫くぽかんとするくらいド健全だった。

 アイヴィー曰く、らびゅいべんと、とやらはなかった。


 大問題だ。


(……いえ! 問題ありませんよね!?)


 礼節を重んじる貴族男子としてまったくおかしくない。オクトスは実に紳士的にエスコートしてくれた。直前まで熱烈な愛の告白をしたとは思えないほど紳士だった。


(この流れでもう一つや二つは「らびゅいべんと」とやらが発生してもおかしくない……とか思ってしまう私は破廉恥……!)


 元気にキャーキャー言うアイヴィーにちょっと影響を受けていた。

 恋する乙女としては、ある意味健全かもしれない。


 自分が掃除したことのある客室に通されたクインティーナは、そのまま元同僚達によって着替えさせられ、ネグリジェ姿にされた。元同僚達はもの凄く話を聞きたそうにしていたが、彼女達も男爵家とはいえ、プロの侍女。速やかに負担なく着替えさせ、しずしずと退室していった。


 一人ぽつんと残されたクインティーナは、すっかり暗くなった窓の外を見上げた。


「そういえば……この時間に一人なのは、久しぶりです」


 嫁いでからは、傍にアイヴィーがいた。

 彼女はあちこち飛び回ることも多かったが、基本的にはクインティーナの傍にいた。特に夜は侍女が遠ざかるので、情報交換には絶好の機会だった。寝台に横になりながら小声でヒソヒソと話すのは、バレたら危険な緊迫感もあったが、不思議と心癒された。


(……あれは全部、アイヴィーさんが明るく振る舞ってくれていたから、でしょうね)


 落ち着けば、クインティーナにもわかる。アイヴィーは過剰なくらい大袈裟に反応してくれていた。

 では素が物静かかと聞かれたら、そうではないが、敢えて大仰に動じてはいただろう。


(だから……夜がこんなに静かに感じるのでしょう)


 ちょっと落ち着かないと思うのは、欲張りだろうか。


(弟様とアイヴィーさんのお話が終わったら、あのペンダントはどうなるのでしょう)


 自分がうっかり約束してしまったばかりに、もしかしたらアイヴィーはヴィニカリスへ譲られるかもしれない。

 ペンダントの行方としては正解な気がするが、アイヴィーとの別れはまだ踏ん切りが付いていない。

 だから、飛び出したアイヴィーにあんなにも必死に呼びかけてしまった。


(本当なら、笑顔は無理でも、見送らないといけなかったのに……)


 行動範囲外で天に昇れなかった。それに残念がらねばならないのに、クインティーナは安堵してしまった。

 だってまるで、アイヴィーが死んでしまうように感じたから。


(アイヴィーさんは、もう亡くなっているので、正しくない気がしますが……)


 消えてしまうと思った。

 煙に乗って、空まで飛んで。

 暗闇を照らす小さな光が、ぷつんと途切れてしまう気がしたのだ。

 行かないで。思わずそう叫んでしまうほどの恐怖だった。


(こんな状態では、アイヴィーさんを見送るなんてとてもできません……! ああ、私はなんて薄情者なんでしょう……!)


 恐ろしかったがそれはそれ。

 天に昇れるのなら昇った方がいいに決まっている。


(ミラノス様は、弟様の手元にペンダントが渡るのに反対のご様子でしたし、恐らくしばらくはまだ……ペンダントはここにある、はずです。私は侯爵家から出られましたが、話し合ったようにまだ解決していない部分が……!)


 そう、解決していない謎がたくさんある。

 その解明に、絶対アイヴィーが必要かと聞かれたら、そうではないが……。


 クインティーナはソワソワする気持ちをグッと胸にしまい込んで、男爵家の侍女達が綺麗に整えた寝台に横になった。


 自分がかつて整えていた部屋を使用するのは、なんだかおかしな心地だったが、豪華な侯爵夫人の部屋より余程落ち着いた。


 しかしクインティーナはアイヴィーが思わず二度見するくらい変なところで肝が据わっていたので、落ち着かない部屋でもぐっすり熟睡することができる。侯爵夫人の部屋で熟睡したのだから、慣れた気配の男爵家客室で熟睡できないわけがない。

 そんなわけで、横になった彼女はいつものようにぐっすりと……深い眠りに落ちていった。


 ――だからこれは全部夢だ。

 怒濤の一日だったので、記憶の整理で見るただの夢。

 たとえクインティーナの記憶になくても――夢は、夢なのだ。



クインティーナはラブイベントが発音できていない。


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― 新着の感想 ―
とりあえずオクトスらはクインティーナが聖女だって事、口止めさせておいた方がいいと思うの。もう遅いかも知れないけど。生き残り神官共は確実に居るだろうし、この国を使い物にならなくさせたいであろう連中はまだ…
アイヴィーさんに影響されたのもあってらびゅいべんと期待しちゃったクインティーナかわいいな…… いろいろ聞きたいのをぐっと堪えてプロに徹する侍女さんたち偉い。
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