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私の話  作者: M
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第二の職業 第三章~家族の変化2~

父は膵臓を壊した為、油を分解できない体になってしまった。

肉を食べる時には下茹でし油分を抜いてから調理し、サラダ油等も使用不可。

卵は1日に1個などかなりの食事制限がついてしまった。

病院食は全て完食できるようになり退院となった。

母は家事スキルがなく料理も苦手だ。

父が病院からの貰った食事制限や食事の作り方などを渡しても一切知らんぷりをしたらしい。

母の態度に父もストレスが溜まり一生飲んではいけない酒を毎晩飲むようになり、食事と酒のせいで何度も入退院を繰り返すようになった。

入院時、毎回命の保証がありません。

合わせたい、ご家族がいれば意識のあるうちに呼んで下さい。

と言われたが母は誰にも連絡をしなかった。

余命宣告を受けたのに、父はしぶとい。

何度も病院に運ばれたが、その度復活し退院した。


父が入院する度、母の相手と農作業も2人分を1人でしなければならない長男もストレスが溜まり、退院した父に酒を飲むなと怒鳴るようになった。


そんな生活が何年も続いた。

農業は自営業だ。

確定申告を自分でする。

申告書類を作る度に、父は「俺は金を稼ぐために入院してやっているんだ」とバカな事を言う程、加入していた保険会社から保険料が出ていたようだ。

しかし永遠に続く事はなかった。

お金の管理は全て母が行っていた。

家族の保険も全てだ。

昔の保険は貯金のようなもので、満期まで契約すると倍近くの金額に増えて返金された。

その名残を捨てきれない母は掛け捨て保険はもったいないと加入していなかった。

ついに父が加入していた保険が全て満了になった。

父が事実を知り慌てて、今からでも加入できる保険はないか必死に探したが、

・余命宣告を受けている事

・持病の診断を受けている事

・2年以内に入院をしている事

が原因で相談すらできず、電話口で断られたそうだ。


だが父の浪費は止まらず、女遊びも止まらず、入退院も繰り返し、家計を圧迫し続けた。


資金繰りに困った母は私に全ての怒りをぶつけるようになった。

留守電や電話に応答すると一方的に

「てめぇ~いつになったら全額返金すんだよ」

「もっと返金額を増やせよ。クソが」

「産んで育てて貰った恩も返せねぇーのかよ。クソ野郎」

と言った強烈な暴言に変わり、ガチャ切りすようになった。

私は毎月決まった金額を返金している。

貸した100万もある。

絶対に返金金額は増やさない。

と心に決め、自分の為の貯金にまわし、貯金を増やし続けた。


しかし腐った家族はそう簡単に私を自由にしてくれなかった。

私の知らない所でYと連絡を取り、Yに泣きつき私を実家に帰すようにお願いしていたのだ。

Y「なんで、おばさんが体調悪くしてるの俺に言わなかったの?」

私「言う必要ないから」

Y「結婚したら家族になるんだぞ!!おじさんも長男も、Mがおばさんが体調崩して農作業できないのに手伝いにも来ないし、おばさんの様子を見にも来ない冷たい人間だって嘆いてたぞ」

私「私には仕事がある。Yから押し付けられた借金返済もある。そんなに言うならYが行けばいいでしょ」

Y「おばさんが弱っている所を俺には見られたくないって言っているみたいなんだ」

私「家族になるなら関係ないでしょ?Yが行けば?」

Y「俺だって行きたいよ!!俺が行くって言ったけど、断られたんだ!!」

私「私よりも体格が良くて力もあるYの方が農作業に向いているでしょ。なのに私に来いって言う時点で変だと思わないの?」

Y「おばさんだって血のつながった娘に見て欲しいだけだろ。なんでそんなに捻くれてるんだ。Mが力にならないから困って俺に連絡が来たんだぞ!!」

私「本当に困っているなら、私にお母さんの面倒を見させてYには農作業をして欲しいってお願いするでしょ」

私「そもそも体調崩したって言ってるけど病名とか症状とか詳しい事聞いたの?」

Y「聞いても教えて貰えなかったし、俺は来なくて良いって言われたんだ!!」

私「話しにならないね。重要な事は何も教えて貰えなくて、家にも来るなって言われて、なのに私だけ家に帰せって私に言えばいいのにYに連絡する時点で都合よく使われているってわからないの?」

Y「Mが電話に出なくて連絡が取れないって嘆いてたぞ。Mが連絡を無視したから俺に連絡がきたんだ。深い意味なんてないよ」

私「お母さんとも長男とも電話してるよ。連絡取れてるよ。Yがパチ屋に行って連絡している姿を見ていないだけでしょ」

Y「毎回全部の電話に出てるって言えるの?全部じゃないから俺に連絡来たんでしょ」

私「何を言われても実家の事は知らないから。Yは変わらず生活費を入れてくれないし、借金返済も押し付けたままだし、私が知らない所で後輩とかに借金増やしているんでしょ?実家に戻れば、この家も維持できなくなるし、もちろんYの借金返済だってできなくなるんだよ。どうせYはいつも通り生活面で力になってくれる事はないんでしょ。何もしてくれないくせに願望ばかり私に押し付けないで」

Y「仕事を辞めて実家に戻れとは言ってないだろ。残業を減らして休日を増やせば実家に戻れるでしょ」

私「休日出勤と残業を減らしたら月10万は給料減るよ?その分Yが補填してくれるの?そもそもYが生活費も入れず借金返済も押し付けてきて、部屋も引っ越しして、お金の事は全部私に押し付けたから、医療系を辞めて今の会社に入社しないといけなくなったんだよ。何もしないのに口出しばかりしてきて、全部叶うと思っているの?」

Y「だったら休みの前日から毎回実家に帰ってやれよ」

私「は?残業が長かったらYは寝てて私の帰宅に気づかない時間まで働いているんだよ。残業終わりに毎回長時間運転して実家に戻って休日に休めず農作業してまた長距離運転して帰って来るって?居眠り運転か貧血を起こして事故するに決まっているでしょ。死ねって言ってんの?」

Y「その程度で死ぬわけないだろ。運転してる最中にヤバいと思ったら車止めて休めばいいだけでしょ」

私「なんでそこまで私を帰そうとするの?結局、お父さんと長男に言い顔したいだけでしょ。私の事なんてまた何も考えてないんでしょ」

Y「Mの家族の事なんだぞ!!Mの事も考えて言っているに決まってるだろ」

私「本当に私の事を考えていたら、そんな無理な運転なんてさせないよ。Yは私じゃなくて私の家族に気に入られたいだけだよ」

Y「それの何が悪いんだ!!」

私「結局Yは誰を一番大切にしたいの?私を一番にしてくれないなら一緒にいる必要ないよね?」

Y「Mの実家の現状を考えると今はMを一番に出来ない」

私「私の家族の事は私が決めるから、私を一番に出来ないなら別れてよ」

Y「ごちゃごちゃうるせーな」

またYにボコボコにされ、休日の前は実家に行く事を強要させられてしまった。


毎日の残業と月に2~3日の休日は実家に行く事になり、精神的にも肉体的にも辛かった。

家族からは休みを多くしろと文句ばかり言われたが、実家にいる時間を最小にしたかったので、会社では実家に帰省している事を絶対に話さず休日調整も行わなかった。

逆にYの現場が遠くになり数か月、土日以外帰って来ない時には平日休みを入れ実家にも帰らず休んだ。

毎日の残業、長時間の運転、実家での精神的・肉体的ダメージ、実家に帰省する度睡眠時間を削られ、私の精神も不安定になってしまった。


今まではブラック企業でも仕事をして給料を貰う生活をしていれば良かった。

仕事は楽しかったし、社員の仲も良く充実していた。

そこに「二度と頼らない」と言ったくせに、休日前に帰省するという大仕事が入ってしまった。

帰省する度、暴言を浴びせられ、勤務先の事も悪く言われ、何よりも「そんな職場で働いている人間全員終わっている」と同僚をバカにする発言に腹が立ち、堪えるのに必死だった。

家族はバカYはちょっと電話したら、お前なんかよりも俺らの言葉を聞いて、そんなに休みが少ないのに実家に帰らせて、お前の事なんて何も考えてないバカだよな。

バカとバカがくっ付いてお似合いだわ

と嘲笑っていた。


消えたい…


Yと同棲生活をするようになってから、更に強く思うようになっていった。

もう貯金はある程度できている。

金持ちに迷惑をかけて轢かれなくても、法定相続人の権利で私が加入した保険会社からもお金が出るし、貯金も親の物になる。

こんな人生終わらせてしまいたい。


残業と帰省で疲弊していき、職場で再度過労で倒れてしまった。

営業車で病院に運んで貰ったそうだ。

同僚の配慮で翌日は休暇にして貰ったと聞いた。

点滴が終わり、営業車で自宅に送って貰った。

布団に横になり涙が止まらなかった。

なんで生きるのってこんなにつらいんだろう…

夜になりYが帰宅し過労で職場で倒れ、病院に運ばれ自宅にも送って貰い、迷惑をかけてしまった事を伝えた。

Y「送って貰ったのって男?」

私「なに言ってるの?最初に言う言葉がそれ?」

Y「男を部屋に入れたのかって聞いてんだ!!」

私「倒れた私を運べるなんて男性しかいないでしょ。家には送って貰ったけど部屋には入れてないよ」


Y「本当は今の職場に入社しないで欲しかった。俺の会社の人にもブラック企業で有名な会社に勤めてるなんて恥ずかしくて言えない」


私「誰のせいで…」


涙が止まらない。

親に吹き込まれたんだろう。同じ事言いやがって。

Yに恥ずかしいとか、まともな感情はない。

そんな感情があるなら、後輩にお金を借りたり、会社の同僚にお金を貸して欲しいと片っ端から声をかけたり、自分で作った借金を私に押し付ける事なんてできるはずがない。

誰がここまで追い込んだと思っているんだ。


消えよう…

生きていても良い事なんて何もない人生だった。

どの会社に行っても職場の人達には恵まれた。

それだけだった。

友人もいなく、味方になってくれる人もおらず、助けてくれる人も、頼れる人もいない。

誰もいない一人の自分がこの世から消えても何の支障もない。

私名義と言ってもYも住んでいる家だ。

家の処理ぐらいYがやればいい。

それぐらい最後はやってよ。

最後に話したい、声を聞きたい人っているかな?

いるわけないか。

これまでで学んだ事は、消えたいと思った時に消えるのが正解だったという事だ。

「一度消えたいと思う程追い込まれた人間は、その気持ちを消せるぐらい幸せになれる事なんてない」

もし、生まれ変わりがあるなら、この事だけは忘れないようにして欲しいな。

母方の祖父と義姉の事は気がかりだが、所詮役立たずな私が生きていても役に立てる事はない。


Yがお風呂に入っている間にふらふらしながら部屋を出た。

どこに向かうか決めていない。

こんな都会で人目につかない場所はない。

しかし都会には高層ビルがたくさんある。

飛び降りよう。

夜の為、正面玄関はしまっている。

非常階段を探すがチェーンがかけられ施錠されていた。

体力的に長時間歩くのは危険だ。

再度倒れて病院に運ばれれば本末転倒だ。

フラフラと夜の街をさまよう。

歩道橋が現れた。

あった。

もう少し高さが欲しかったが、交通量も多くおそらく助からない。

過労のせいで、階段を登るのに長い時間がかかった。

登り切り疲れ、歩道橋の中間付近で座り込んでいた。

流れ星のように走る車のライトをボーっと眺めていた。

迷惑はかけたくない。

車が途切れたら飛び降りよう。

信号が赤信号になるのを待つ。

大きな主要道路だ。

なかなか車が途切れない。

座りながらタイミングを待った。

数分なのか数十分なのか数時間なのか、どのくらい待っていたのかわからない。

「大丈夫ですか?救急車呼びましょうか?」

不意に声をかけられ顔をあげると30代くらいの男性が心配そうに立っていた。

私「大丈夫です。ありがとうございます」

男性「顔色も悪いですし、一人で動けそうですか?」

私「大丈夫です。夜風に当たりたかっただけです」

男性「とりあえず救急車呼びますね」

私「やめて下さい。帰ります」

立ち上がりフラフラと歩きだす。

人通りが多いと邪魔が入る。

ビルの屋上に登れる所を探そう…

視界が狭くなってくる。

ヤバい。また倒れる。

どこかで休憩しないと。

そう思った時には手遅れだった。

道で倒れ、救急車で病院に運ばれていた。

病院で目を覚ますと、看護師さんと目が合った。

看護師さん「具合はどうですか?旦那さんかな?男性が来ていますよ」

私「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。男性とは会いたくないので面会拒否をお願い致します」

看護師さんにかなり怒っているYの声が聞こえたが、スタッフさんが帰してくれた。

医師「夜遅いので朝まで病院にいる事も出来るし、点滴が終わり次第帰宅する事も可能ですが、どちらが良いですか?」

私「朝まで寝させてもらって良いですか?」

医師「わかりました」


朝になり、帰宅するかしばらくホテル暮らしにするか迷ったが、ホテルに泊まるにしても、一度帰宅しスーツ等を取に行かないと…

カフェに入り、時間を潰し帰宅した。

部屋にはYの姿があった。

私「なんで仕事に行ってないの?」

Y「仕事は休んだ。なんで夜にこっそり出かけてんの?しかも病院に行っても会わないし何考えてんの?」

私「会いたくないから」

Y「夜に実家に連絡入って俺に連絡来たのに、何もわかりませんって俺に言わせる気?」

私「本当に自分の事ばっかりだね。私の事は何も聞かないんだ。借金返済あるのに仕事休んでる場合じゃないでしょ。仕事に行きなよ」

Yは拳を振り上げたが、とっさに

私「病院に運ばれて体の痣の事聞かれたら、Yに殴られたって全部言うから」

と言うとYは「仕事に行く」と言い部屋を出て行ってくれた。

一人になった部屋で横になる。

また失敗した。


せっかくあったチャンスを逃し、消えるタイミングを失ってしまった。

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