第二の職業 第二章~家族の変化~
※小学生時代 記載漏れ※
保育園時代、親に捨てられ祖父母と暮らし、小学校入学時に提出書類がいくつかあった。
その中に母子手帳の記載があり、初めて母子手帳を見た。
長男の母子手帳は青色だった。
へその緒など人生で1回や初めては全て梱包され丁寧に保管されていた。
同じ引出に次男の母子手帳があり、ピンク色だった。
次男の物は母子手帳のみだった。
そして、私の母子手帳。
母がどんなに探しても見当たらなかった。
母「どうして?出生関係はここにまとめてあったのに」
タイミング良く父が帰宅し、母が知らないかと尋ねる。
父「ジジィ達に預けた時に、もう必要ないと思って捨てた」
母「学校で予防接種の時とかに必要なのに」
父「そんなヤツのどうでもいいだろ」
こうして、私は母子手帳がなく、ワクチン注射を打ったのか、りんご病などの感染症にかかっているのか、出生体重など全てわからない状況となってしまった。
小学校は父が捨てた為、母子手帳はありませんで了承を得たが、専門学校は「そんな親いるわけないでしょ。忘れたのを親のせいにするな」と信じて貰えず、医療系に進むにつれ母子手帳が無い事で不便がずっと付きまとった。
大きくなるにつれ、母子手帳を捨てたのは、父の子ではなく浮気相手との子だからではないだろうか、と疑うようになったが、私は9割父の顔をしていた。
母に似ているのは右目の二重だけだった。
※記載漏れ~完了~※
実家は周りから見たら憧れ、妬ましい程順調だった。
しかし、私を失い感情のコントロールをできない家族は変化していった。
次男の結婚前、顔合わせなど私は家族ではないので声さえかからず、入籍報告時に顔合わせなどがあった事を知った。
奥さんとは結婚祝いを包んだ際に、1度だけ顔を合わせただけだった。
出産祝いやお年玉を現金書留で郵送しても、お祝い返しが郵送されてくるだけで、お礼の電話がかかってきたこともない。
次男は結婚し子供が出来ても風俗は止められないようだった。
長男夫婦は義姉の育て方なのか、甥っ子から電話がかかってきて談笑をする事が何度もあった。
しかし長男が息子と私が話しているのを知ると電話中でも子供に手をあげているようで「痛い」と聞こえてくるようになった為、「お父さんに怒られるからもうMには電話しない方がいい」と伝え連絡が途絶えた。
母は孫が出来ても、長男の方が可愛くて仕方ない。
孫よりも長男の方が可愛いなんて、自分はおかしいのかと周りに聞いていると耳にした。
母の長男への執着に2世帯と言っても嫁である義姉が心配で仕方なかった。
長男は一緒に暮らし始めた事により、家族で出かける際に母に小遣いをねだり甘えていたようだ。
母は甘えられる事に歓喜し好きなだけ小遣いを渡しているようで、義姉は「小遣いを貰っている事を秘密にされている。お礼を言わないと自分が悪いイメージを持たれてしまう」と私に愚痴を言っていたが、「お礼を言うと長男に渡しているだけで、お姉さんに渡したわけじゃない」って言われると思うから、会話は必要最低限にした方がいい。長男大好きな母と分かり合える日は来ないから、努力も我慢もしなくていい。
絶対に無理をしないで欲しいと伝えていた。
義姉は家族の目を盗んでは私を気にかけてくれ、仲良くしようとしてくれた。
私と関わると義姉に迷惑がかかるので、仲良くしたい気持ちは隠した方が良いし、連絡事項が無い限り連絡しない方が良いと伝え、最低限しか連絡を取らなくなっていった。
父方の祖父母は、町の中心部に家を中古で購入し2人で暮らしていたが、祖父が軽度の認知症を発症し、徐々に症状が悪化していった。
父は子供全員が社会人になった事、祖父が現役を退き、父が実権を握れるようになり、仕事は長男が継いでくれた事で半分で良くなり、今まで抑えていた欲求を一気に爆発させた。
家のローンを10年で全額繰り上げ返済し、借金をなくした。
そして全身ブランドで固めるようになり、頻繁に田舎から県庁所在地に行き、飲み屋に通い、愛人を10人以上作り女遊びを始めた。
散財は止まらず、生活費にも手を出さないといけない程の遊び方をしているようだった。
ついには私に100万だけでいいから貸せと言い高級車も買っていた。
家では常に携帯を握りしめ、愛人たちと連絡を取ったり、時間を決めて毎日女と電話をするようになっていた。
母は自分も浮気をして遊んでいたくせに、父の女遊びは許せず怒り狂っていた。
そして長男をとった嫁への当たりが更に強くなった事により、一度父が母を咎めた事をきっかけに、母は「私よりも嫁を選んだ。私よりも他の女に気持ちがある」と発狂し手が付けられなくなってしまった。
ついに母は重度のうつ病と診断されてしまう程、精神崩壊していった。
私への連絡も暴言が酷くなったが、元からなのか病気なのか判断はできなかった。
ある日、退院した母方の祖父から手紙と一緒にゆうちょ銀行の通帳が返された。
手紙を読むと
・退院した事
・杖があれば一人で出かけられる程回復した事
・祖母が今の祖父と海外旅行は無理と拒否されてしまった事
・家族が自分の資産を狙っている為、危ないから通帳は返す
という内容が書いてあった。
届いた通帳は、鞄の下敷きに普段の通帳と一緒に隠し持つことにした。
100万入っていたが、70万は祖父に返そうと引出しし、少ない休みの中、母方の祖父に会いに行った。
祖父は頑なに現金を受け取らず、Mの物だと言った。
やり取りが終わった時に、祖母が帰宅し祖父の部屋に来た。
笑顔で私と少し談笑した後に「臭い。こんな薬臭い部屋に長くいられない。臭い。臭い。」と言い出ていった。
どうゆう事???
と思い祖父に祖母の態度の事を尋ねた。
祖父は悲しそうに、こんな体になってしまって介護なんて私はしないと言って祖母に粗末に扱われている事。
婿を貰って農家を継いだ長女と祖母が結託して自分の財産を狙っている事。
次女もお金を欲しいと頻繁にせがんでくること。
祖父はデーサービスやヘルパーを自分で手配し、入浴介助などをしてもらっている事。
等を話してくれた。
酷い…
今まで懸命に働き、家族を養い、自分への贅沢は一切せず頑張ってきた祖父を、お金としか見ていない事に涙が止まらなかった。
私「おじいちゃん…バリアフリーの部屋探すから一緒に住まない?今の給料なら一緒に住んでヘルパーさんも雇えると思うから生活の心配はしなくて良いよ。残業多いから、おじいちゃん一人の時間が多くなってしまうけど、デーサービスに行っても良いし、好きな事させてあげられると思うし、何よりも私はおじいちゃんに酷い態度を絶対に取らないよ」
祖父「ありがとう。でもね。この場所で生まれて、この場所で生きてきた。今さら都会で過ごそうとは思えないんだ」
私「このままだと、おじいちゃんが苦労するし寂しい思いするだけだよ。私がこっちに引っ越しして一緒に住む?」
祖父「Mの人生をおじいちゃんに使わなくて良いよ。これは、おじいちゃんが選んだ事の末路だ」
私「私にできる事ない?」
祖父「ありがとう。頼りたいと思った時には連絡するよ」
私「必ずね。絶対だよ」
そう約束して帰宅した。
祖父も農家で子供は3人
長女:婿養子を招き家を継ぐ
次女:漁師と結婚
三女:私の母
しかし残業が多く休みも少ない職場で1年は一瞬だった。
少し目を離しただけのつもりだった。
祖父から引っ越しをしたと新しい住所を聞いていたので、引っ越し先を尋ねると、そこには大きな新築二世帯住宅が建っていた。
インターフォンを押すと祖父が応答し、ロックを解除してくれた。
杖をつきながら家の中を案内してくれた。
大きな家の中で祖父はたった一人で留守番をしていた。
祖父の体力を考えルームツアーは程々にソファーに座った。
私「この家の名義は?」
祖父「長女だよ」
私「家は一括?ローン?」
祖父「現金一括だよ」
私「っえ⁉」
私「おじいちゃんいくら出したの?」
祖父「長女夫婦で頭金を払って残りは全て出してやったんだ」
私「ごめん。おじいちゃん…お金取られちゃったんだね。もっと気にかけてあげられなくてごめん」
祖父「Mが気にする事じゃないよ。最後はおじいちゃんが決めた事だ」
私「おじいちゃんが決めたんじゃなくて、無理矢理取られたんでしょ?祖母と長女の性格のきつさはわかっているよ」
祖父は少し笑いながら「女がギャーギャー言ってくると、もういいやと思ってしまうよね」
私「次女は?お金渡してるの?」
祖父「500万は取られてしまったよ。定期的にせびりに来るんだ」
私「今さらだけど、おじいちゃんの口座、私が預かろうか?」
祖父「早くそうすれば良かったよね。もう残高知られてしまっているから手遅れなんだ」
私「私バカだよね。おじいちゃんが一緒に暮らさないって言った時に通帳を預かれば良かったのに、いつも私は選択を間違えてしまうの。正解を選べない。おじいちゃんを悲しませてしまった。ごめんね」
祖父「Mを責めたりしないさ。全て自分で決めた事だ」
私「おじいちゃんごめん。本当にごめん。」
祖父「泣き顔ばかり見せないで、笑顔を見せてくれないか。あと何回Mの笑顔を見られるかわからないからね」
私「わかった。でもおじいちゃんには長生きして欲しい。私を一人にしないで」
祖父「頑張るよ」
沢山支えてくれて、力になってくれた、おじいちゃんを守る事が出来なかった。
父の言葉通り「役立たず」な人間だと心底思った。
父方の祖父は認知症が進むにつれ、私の携帯に時間関係なく1日に何度も電話をかけてくるようになった。
毎回仕事中だから電話切るねと言っていたが、そのうち仕事中の着信は無視するようになった。
もちろん残業ばかりの職場だ。
母の電話も無視していた。
珍しく長男から仕事が早く終わった時に連絡しろとメールが届いた。
数日後、残業を切り上げ長男の為に通話料を払いたくなかったので、仕事が終わって家に帰ってきたけど、用件何?とメールをした。
すぐに電話がかかってきた。
長男「Yは?」
私「パチ屋が閉店になったら帰って来るから、もうすぐ帰って来るんじゃない?」
長男「お前なんで母親の電話に出てやらないの?」
私「今日は連絡しろって言われたから、途中で残業を辞めて帰ってきただけで、普段はこの時間も仕事中だから電話に出れないだけ」
長男「母さん精神状態がおかしくなっているの知ってるだろ?もう一緒に住むの限界なんだよ。お前も相手しろよ」
私「二世帯住宅建てて貰って、生活費も出してもらって、お小遣いも貰って、全部与えて貰っているのに、面倒は見れないんだ。私は何も貰ってないから関係ない」
長男「お前の学費が一番かかったって言われていただろ。お前が一番金使ってんだから母さんの相手ぐらいしろよ」
私「は?本気で言ってるの?学校は確かに行ったよ。」
私「私は結婚した?結婚式やった?車買って貰った?お兄ちゃん達と同じように物を買って貰ってる?クラブ活動に塾や部活、全部お兄ちゃん達と同じだった?」
長男「過去の話はしてない。結婚をこれからするなら、同じようにすると思うし、同じようにするように親にも言うから、今の話をしたい」
私「早かっただけで介護も付き物だって覚悟のうえで同居するって決めたんでしょ?生活費も出してもらってるんだから、そっちの事はそっちでやってよ。私に何を言われても知らないから」
長男「お前本当に役立たずだな」
私「何とでも言えば?」
ここで電話をガチャ切りされた。
母は急に叫んだり、怒ったり、泣いたり感情の起伏が激しく、もともとの暴力性が重なり、相手にするのも大変で手を付けられないようだ。
私には関係ない。
私は毎月返金している。
貸せと言われたが、どうせ返ってこない100万も父に取られている。
職業もけなされ、恥ずかしい会社に勤めている人になんて介護されたくないでしょ。
そう考え無関心を貫いた。
数日たった頃、たまたま家にいる夜に母から電話がかかってきた。
出るか無視するか凄く迷った。
先日長男からSOSがあったばかりだ。
義姉の事も頭によぎる。
迷った結果、電話に出る事にした。
久しぶりにする母との会話だ。
動悸と冷や汗が止まらない。
通話ボタンを押したが声が出なかった。
無言が続きようやく絞り出した「もしもし」
母は大号泣していた。電話越しでもわかる、すすり泣く声。
はっきり言って吐き気がした。
私が精神的に辛く助けて欲しい時に無関心を貫き、返金、返金と連呼し、円形脱毛症になった時は指をさし、腹を抱え、大爆笑した人だ。
私「泣いてても意味が分からない。用件言って」
母「M今までごめんね。お母さんの事恨んでいるよね?」
私「恨んでないよ」
恨む?そんなのとっくに通りこしたよ。もう興味ないだけだよ。と心の中で思っていた。
母「恨んでないの?本当は医療系になんて進みたくなかったんじゃないかと思って」
私「だから何?もう時間は戻せないでしょ?」
母「時間を戻せるなら他の道に進みたかったんじゃないかと思って。恨まれていると思って」
私「何度も言わせないで。恨んでない」
母「お母さんの事許してくれるの?」
私「恨んでないのに許すも許さないもないでしょ」
母「恨んで怒っているから電話にも出てくれないんでしょ?」
私「ブラック企業に転職したって怒ってたでしょ。電話してきてる時間はまだ残業で会社にいるから出れないだけだよ」
母はまた黙り込み泣きじゃくる
私「用件はそれだけ?寝不足だし、もう寝たいから電話切って良い?」
母「体に気を付けて頑張ってね」
私「わかった」
電話を切った後、怒りの感情しかなかった。
今さらなんだ。
私には散々冷たくあしらい、言葉の暴力も肉体的暴力も、精神的に追い込む事もしてきた癖に、父が愛人を作り自分が少し、ないがしろにされただけで弱ったふりしやがって。
心配なんてしてあげられないし、優しくいたわる気持ちも湧かない。
本当に許して欲しかったら貸した100万を返金して、毎月返金しているお金も返金しなくて良いぐらい言えよ。
イライラが止まらなかった。
自分でも驚く程、感情のコントロールが出来ず、その日はYの顔も見たくなかったのでシャワーを浴びすぐに眠りについた。
数日後、運の悪い事にまた在宅中に長男から電話がかかってきた。
私「なに?」
長男「お前は本当に冷たい人間だな!!」
私「そんなに怒って何?主語が無いと言っている意味が分からない」
長男「数日前に母さんと話したんだろ。お前に冷たく電話切られたって泣いてたぞ」
私「そんな風に言ってるんだ。話した内容は聞いたの?」
長男「内容は聞いてないけど、お前が冷たいって泣いてんだ!!」
私「内容も聞かず、よくそんな勢いで電話できるね」
長男「なんなんだよ!!その態度は!!」
私「私に何を求めているの?」
長男「お前には優しさってもんが無いのかよ!!もっと言い方を優しくするとか病人相手なんだから、いたわれよ」
私「優しくしたり、いたわったりできる内容なら、そうで出来るかもね」
長男「あ~そうかよ。お前の態度はよくわかった。二度と頼らないわ」
私「二度と頼らないと言うなら、お母さんにも二度と電話して来ないように伝えておいて」
回答を貰えずガチャ切りされてしまった。
何が気に入らないのか、意味が分からなかった。
恨んでないかと聞かれ、恨んでないと答えた。
これ以上私に何を求めるの?
愛情を知らない私には家族に対しての情はわかないようだった。
家族という言葉でまとめられてしまう、生物学上の人達の感情を読み取る事が私には一番難しい。
この時初めて気が付いた。
私は正常ではない。異常者だ。
愛情を知らず、罵声と暴力と裏切り、嘘つきのらく印、暴力を受けない為に顔色をうかがい、消える方法をひたすら考えながら育った。
おそらく普通ではない。
普通の人が感じる事を私は感じる事が出来ないんだ。
どこかで聞いた。
虐待で育った子供は親になると子供にも同じ事を繰り返す。
そうか。
私は普通ではないんだ。
一般的に言う普通に当てはまらない人間は異常者だ。
自分は異常者だという事を認め、周りと同じような言動をするように気を付けなければ。
やっと馴染めた再就職先でも孤立してしまう。
20代半ばにして、私は異常者だと認識した日になった。
半年程たった頃、父が体を壊し県庁所在地の総合病院に入院する事になった。
原因は過度の飲酒により、膵臓を壊していた。
余命宣告を受けた。
入院した父は私を手足のように使い続けた。
仕事の合間に病院に来ることを強要され、お見舞いに行くたびに貰った果物を一口サイズにカットして、その日のうちに届けるようになど、そんなの自分でやれよと言う内容で呼び出された。
父は病院内にある休憩スペースで新たに愛人を増やしていった。
いつものように病院に行き、休憩室の前を通った時に、50代くらいの男性入院患者が話しかけてきた。
男性「〇〇さんとのご関係は?」
私「父です。父がご迷惑をおかけしましたでしょうか?申し訳ございません」
男性「いやいや。毎日違う女性がお見舞いに来るから気になって。一番若いお嬢さんも騙されているかと思って心配になっただけだよ。娘さんで安心したよ」
私「病院なのに騒がしくしているようで、申し訳ございません」
男性「迷惑はかけられてないよ。お父さんに女性ばかりお見舞いに来ているの知っていたかい?余計な事を言ってしまったのなら申し訳なかった」
私「お気遣い頂きありがとうございます。存じております。女性とは面識はございませんが、女性達のお見舞い品の処理を私がしておりますので」
男性「そんなにかしこまらなくていいよ。苦労しているようだね」
私「ご迷惑な事がありましたら、すぐにお教え頂けますでしょうか?」
男性「わかったよ」
私「ありがとうございます。よろしくお願い致します」
頭を下げ、父の病室に向かった。
母は一度もお見舞いに来なかった。
入院中の父と母が電話をしている最中に愛人が父に話しかけ、母は自分がいない所で楽しんでいると喚き散らかしたそうだ。
誰にも言っていないが、母も浮気をしていた。それも父の親友が相手だ。
なのに父が愛人を作ると怒る。意味が分からなかった。
そうして、母が家族を振り回し、私がいなければ、おそらく普通であろう家族が崩壊していった。




