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私の話  作者: M
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就職氷河期 社会人の始まり

就職し、新社会人生活がスタートした。

就職氷河期は就職希望者と求人の需要と供給バランスが崩れ、就職希望者が多数いる状況だった。


社内環境は最悪だった。

医院長の口癖は

・お前らの代わりなんていくらでもいる

・俺のやり方に文句があるなら辞めて貰ってかまわない

・最低賃金でも支払ってやってるだけ感謝しろ

・雇ってやってるんだから、休憩などせず労働で感謝を示せ

など、まさに就職希望者が多数いるからこその扱いだった。


実際の勤務環境は医療系なので定休日のような休日はなく、救急車が来たら時間関係なく戦争状態になる過酷な現場だった。

経営するうえで、一番かかる経費は人件費だ。

ただでさえ人手不足なのに人を増やす気はなく、20連勤は当たり前。

雇用契約では1時間休憩ありとなっていたが、休憩時間をとる時間などなく、出勤から退勤まで食事をとる時間すら与えられないのは、当たり前で、救急車が来て急遽オペ室に入る事になると水分補給すら許されず、1日の勤務時間は平均10時間~14時間が普通だった。

先輩や同僚はトイレ休憩もままならい状況に膀胱炎を繰り返し悩まされていた。

1つだけ良かったのは、全額会社負担でB型肝炎予防接種を抗体ができるまで受けられた事のみだ。

そして迎えた初任給。

給料明細を見て愕然とした。(覚えている部分)

資格手当:〇万円

通勤手当:〇万円

家賃手当:〇万円

残業代:3千円

手取り金額:12万円


家賃・光熱費・食費等:10万円

返金:2万円


先輩に給料明細を見せて聞いて見た。

私「20連勤以上して終電ギリギリに帰る日もあるのに残業代3千円ってどうゆう事ですか?」

先輩「雇用契約書で上手くやられてるんだよ」

私「どうゆう意味ですか?」

先輩「雇用契約書で1ヵ月30日として120%を超えた場合、時給計算で算出となっているから、1ヵ月で3日休暇をとれると120%超えないようになっているんだよ。残業代なんて多くて5千円だよ」

私「そんな…」


私はせっかく就職したのに貯金どころか、生活費をバイト時代より更に削らないといけない現実に絶望した。

学生時代、給料が足りなければ副業でバイトをすれば良いと簡単に考えていた。

しかし現実は立ち仕事で走り回り、退勤は20時~終電ギリギリと毎日クタクタになっていたし、退勤時間がバラバラな為、バイトのシフトを入れる余裕などなかったのだ。


どうしよう…

思っていた通り母から金額が少なすぎると叱られ、手取りの金額を伝えどうする事も出来ないと訴えた。

そんな私の苦労も知らないふりして、Yは生活費削減に非協力的で文句ばかりで生活費を入れずパチ屋ばかりに通っていた。

会社での扱いにも生活にもYにも全てに余裕がなくなり、勤務先で倒れ、胃潰瘍直前の胃炎を発症してしまった。

点滴を受け、吐くことは止まったが体力が戻らず、それでも私が抜けると周りの負担になってしまう為、休むことが出来ず、働き続ける現状に胃炎が治らず精神・体力どちらも削られていった。

Yに本当に生活費を入れて欲しいと悲願したがYは聞いてくれず、過呼吸を起こし自宅で再度倒れてしまった。

目を覚ますとYは私を倒れた場所に放置してゲームをしていた。

涙が止まらなかった…

再び後悔する。なんで私の人生、小学生で終わらせなかったんだろう…

誰だよ。生きていればいい事があるって言ったヤツ。連れて来いよ。

生きていても辛い事しかないよ。

いじめっ子から離れたら、実家から離れたら、と少し先を見たら、いつも後悔しかないじゃん。

そんな気持ちでいっぱいだった。


ある日、シャワーを浴びていると髪の毛が大量に抜けた。

毎日続いた。

シャンプーで少し髪を触っただけで、気持ち悪い程ごっそり抜け、1度のシャンプーで何度も手から髪を流さないとシャンプーできない程、抜けるのだ。

さすがのYも排水溝に溜まった髪の毛を見て、抜けすぎじゃない?と言っていた。

数日たった頃、いつものように出勤準備をしていると、Yが「Mハゲてるよ」と言ってきた。

合わせ鏡で確認するとドーナッツよりも大きな円形脱毛症を発症していた。

洗い流せる髪用のカラースプレーを買いにコンビニに走り、自宅で露出した頭皮にスプレーをかけ、手袋で頭皮に塗り広げ目立たないように髪を結び出勤した。

何事もなかったかのように仕事をしていると、先輩が医師から「ぶつけたの?円形脱毛症?」と聞かれている光景を目にした。

先輩が1人になると話しかけ、円形脱毛症ですか?と聞いてみた。

先輩「治っても小さいの次々にできるから、もう隠すの辞めたんだよね」

私「実は私もドーナッツよりも大きいのが1つここに出来て…」

とハゲを見せた。

先輩「おっきいね。それは隠すの大変だね」

私「ほっといて治りますか?」

先輩「この職場にいたら皆なっているし、皆放置してるから大丈夫じゃないかな?」

私「先輩以外にも発症している人がいるんですか?」

先輩「皆上手く隠しているか、私みたいに隠すの辞めた人ばっかりだよ」

私「そうなんですね。教えて頂きありがとうございます」


夜Yに生活費を入れてくれないから、ストレスで円形脱毛症になった。と伝えてみた。

Y「人のせいにするんじゃねぇよ。お前の精神が弱いだけだろ」

全く効果はなかった。


両親が何かの用事で県庁所在地まで来た。

父は会合の為いなかったが母はYと食事する為、Yと連絡を取っていた。

私は会うつもりがなかったが、Yに連れ出され無理矢理、出かける事になった。

正直、母と会うぐらいなら翌日の出勤に向け寝たかった。

両親が滞在するホテルの部屋に到着し、Yが「こいつハゲたんですよ」と伝え私の髪をめくり円形脱毛症をみせた。

母は私を指さし大爆笑し「お腹痛いから近寄らないで」と言ってきた。

何が面白いのか全く理解できなかった。

そして怒りの感情が上回り「帰る」と一言だけ残し、一人で帰宅した。

なんで休みもなく、残業して、会いたくもない母に会って、笑いものにされて、寝たいのに、まだシャワーも浴びてなくて、無駄な移動時間使って移動もタダじゃないのにと思い涙が止まらなかった。

私が眠りにつこうとしている時にYが帰宅し「なんで先に帰ったんだよ」と言っていたが無視して寝たふりを続け眠った。


仕事中、友人にメールをしてみた。

私「こっちは給料安くて、残業多くて、休み取れなくて地獄だよ。みんなどんな感じ?」

数日かかって各々返信が帰ってきた。

友人達「似たようなもんだよ。地獄だよ。一人暮らしをどうやって続けているの?実家で暮らさないと無理ゲーな給料じゃん」

と返ってきた。

一人暮らしをしていた子は、いつの間にか実家に戻っていた。

一人暮らしを貫いていたのは私のみだった。


初めて満額出る冬のボーナス日がきた。

忘れもしない


6万円


ボーナスって何?

ボーナス払いって何?

ボーナスで旅行に行く?

ボーナスで家族で外食に行く?

何?何?何?

ボーナスの意味が分からなかった。


6万円ようやく貯金できる思ったが、母に返金に当てるように言われ全額返金として奪われてしまった。


その頃の通帳は給料日前残高100円~300円が普通だった。


ボーナスの明細を見て固まっている先輩が声をかけてくれた。

先輩「毎回この金額じゃないよ。しばらく待ったら金額の理由がわかるよ」

私「どうゆう事ですか?」

先輩「しばらく待ってて」

私「わかりました」


少し待つと駅に大きい看板が貼りだされた。

先輩「朝の通勤で気づいた?」

私「看板の事ですか?」

先輩「前にもあったの。ボーナスが全員少額になったと思ったら看板がたったり、医院長が外車の新車に乗り換えたり。医院長のやる事でボーナス変わるんだよ」

私「そうなんですね」


その頃Yは私の給料明細を見て、本当に私にお金がない事を理解していた。

なんの相談もなく、お姉さんに物を買い与える事も増えた。

私「なんで何も言わないでお姉さんに買い与えているの?」

Y「Mに相談したら良い顔しないじゃん。だから黙って買うしかないだけ」

私「隠し事するって事?」

Y「Mがうるさいからじゃん」

私「Yが私に隠し事するなら、私にも干渉しないで」

Y「わかったよ。言えば良いんだろ」


しかしYは相談してくれる事はなかった。

私「また買ったの?」

Y「うるせーな」

私「ブラックリストに載っているのに、どこからお金用意したの?」

Y「職場の後輩に借りた」

情けない…先輩が自分より給料が安い後輩にお金を借りる?何を考えているんだ…

私「先輩として後輩に借りるなんて恥ずかしくないの?」

Y「後輩は実家暮らしだから、俺より金に余裕があるんだよ」

私「何言ってるの?Yは生活費払ってないんだよ?後輩は家にお金入れてるよ?後輩の方が出費しているよ」

Y「家に金入れているかどうかなんて、本人に聞かないとわかんないじゃん。少なくても後輩には借金がないから、俺よりも金に余裕があるの」

私「先輩としてのプライドはないの?なんでもお姉さんの言いなりで恥ずかしくないの?」

Y「だからごちゃごちゃ、うるせーんだよ」

私「Yが生活費を入れて私を支えてくれるなら何も言わないよ」

Y「だからうるせーって」

私「生活費入れてくれないなら別れてって何度も言っているよね?別れてよ」

Y「だから別れないって言ってるだろ。うるせーんだよ」


このままではダメだと思い、休暇に職業安定所に行ってみた。

待合室は人で溢れ、席がなくなり立って待っている人もいる状態で就職氷河期の終わりが全く見えない状況だった。

求人を探してみたが、どこも現在と変わらない求人ばかりだった。

今会社を辞めても次の就職先が決まる保証も給料が上がる保証もない。

絶望的な気持ちで帰宅したが、直後また胃炎を再発してしまい、嘔吐が止まらなくなった。

職場に行けば無料で点滴を受けられるが迷惑をかけたくなかったので、自宅近くの病院に行こうと思ったが


お金がない…


苦肉の選択で母方の祖父に連絡した。

私「就職したんだけど給料安くて貯金が出来ないの。今体調を崩して病院に行きたいんだけど、お金がないの。ゆうちょ銀行から借りても良いかな?」

祖父「もともとMが貯めたお金も入っているんだから、すぐに使いなさい。病院まで大変だったらタクシーを使いなさい」

私「就職したのに情けない連絡してごめん…ありがとう」

祖父「お母さんとは連絡とっているのか?」

私「たまに電話くるけど返金しろしか言わないよ」

祖父「返金したら、給料日前は口座残高いくらになっているんだ?」

私「言いたくない」

祖父「体壊してまで頑張る必要はないんだよ」

私「どうしたら良いのか、わからないよ。給料安いし残業多いのに残業代少ししか出ないし、返金しなくちゃいけないし。転職も考えたけど求人ないし、どうしたら良いの?頑張りたくないけど、働く以外の選択肢なんてないでしょ?」

祖父「時代が悪いよね。お金の事は気にしないで使いなさい」

私「ありがとう」

病院に行き点滴を受けて、少し楽になった。

祖父に心配をかけてしまった事への罪悪感でいっぱいだった。

パチ屋から戻ってきたYが寝込んでいる私を見て「またかよ」と溜息をついて、また部屋から出て行ってしまった。Yはいつもそうだ。私が体調を崩すと看病どころか面倒な態度をとり部屋からいなくなり私を一人にする。

私は小学生からずっと一人だ…

私の人生ってなんの為に与えられたんだろう…

生きるの辛い…

消えたい…


そんな思いを抱えながら、同じ職場で数年働き続いていた。

ニュースで最低賃金の底上げを取り上げていた。

私にはまったく関係ない事だと思っていた。


数年の間にボーナスが20万以上でた事もあった。

母にもYにも言わなかった。

返金として10万円振り込んだ。

Yが突然、「ボーナスの明細見たんだけど俺の借金返済にまわせる分あるよね?これ払ってよ」と大量の督促状を渡してきた。

私「なんで生活費も貰ってないし、私が作った借金でもないのに私が払わないといけないの?自分で作った借金なんだから自分で払いなよ」

Y「結婚したら所得一緒になるし、結婚してからだと利子で借金増えてるから、今から払うの手伝ってよ」

私「生活費も入れてくれない、物に当たったり、私に暴力をふるったりする人となんて結婚は無理。ずっと別れてって言っているよね?」

Y「だから別れないし結婚もするんだって。結婚したら家も買うから審査通るようにしておいて。俺ブラックリスト載っているから審査通らないから」

私「家なんか欲しくない。固定資産税とか修繕費とか家以外にかかる費用を払うなんて無理でしょ」

Y「それは結婚してから考えればいいでしょ。借金なくなったら生活費入れれるし、だから借金一緒に返済してよ。渡した分は全部Mが支払う分だから」

私「絶対に払わないから。自分で返済してよ。気に入らないなら別れて」

Yはブチ切れ今度は動けなくなるまで、殴る蹴るを続けた。


私は小さい時から変わっていない

いつも暴力に屈してしまう

本当に自分が大嫌いだ


そうしてボーナスや特別手当が出る度に、返金と借金返済にと全額消える事になってしまった。


更に数年後、ニュースで長かった就職氷河期の終わりかと報じていた。

そこから1年働き職業安定所に再度行ってみた。

同じ場所とは思えないぐらい、待合所に人がいなく求人も豊富で給料が爆上げとなっていた。

すぐに転職活動をし、同じ医療系で職場を変えた。

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