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私の話  作者: M
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専門学校 そして社会人へ 第三章

専門学校へは殆ど行かず、一般施設への実習期間に入り女性社会の厳しさと患者の理不尽な行いなどに精神が削られていた。

育った環境が一人だったのもあり、私は集団でずっと病院という箱に閉じ込められるのがストレスでしょうがなかった。

休憩室にも仮眠室にもどこに行っても人がいて、実習生は邪魔者扱いされ実習どころか業務を教えて貰えない所もあった。

しかし毎日、当日の実習レポートを作成しなければならず、なんの作業をしているのか、使用した薬剤は何だったのか教えて欲しい事も教えて貰えずとにかくレポート作成に時間がかかった。

レポートは毎日実習先に提出し、押印してもらい、押印済みのレポートを登校日に学校へ提出する決まりになっていた。

実習生をないがしろにする施設では、レポートを何度提出しても押印されず、もっと薬品庫に行って薬剤の知識を深めてから施術法を記載するようになど、難癖がつき再提出となるのだ。

薬品については教本のままだったり、その病院が取引きしている製薬会社によって商品名やパッケージが変わっていたり、最新の設備が整っている場所と教本には載っていない古い設備が使われていたり、とにかく多種多様で一般施設はストレス以外なかった。

G店には実習先によって出勤時間が変わる事を伝え了承を得ていた。

実習先からG店への移動中や開店前の1時間の間、帰りの車内でレポート作成し、帰宅後1~2時間だけ寝て、残りのレポートを作成し実習先に向かうという流れだった。

はっきり言ってこの期間にバイトを入れるのはきつかった。

他の生徒に聞くと、毎日徹夜でレポートを作成している子や先にこの施設に来た子にレポートを貰って写させてもらっている子など皆一般施設での実習には悩まされていた。


Yがいない部屋で毎週日曜日は死んだように寝て、月曜からの実習とバイトにむけ備えていた。

この期間にYと同棲生活をしていたら私はこなせなかったと思う。

実習先ではないがしろにされ、夜中に帰り数時間寝てレポートを必死に仕上げる。この必死な時に汚部屋にされていたり、レポートの邪魔をされたり、土曜出勤は大抵朝帰りなので、日曜の朝に寝たのに数時間で起こされ「どっか行こう」攻撃を受けたら、精神的にも肉体的にも無理だったと思う。

この期間はYがいなくて本当に良かったと毎日思って生活をしていた。


気づけばそんな生活が1ヵ月以上たっていた。

運よく最後の実習先には恵まれ、言葉はきつかったが内容はしっかり教えて貰えレポートがすぐに完成できる所だった。

G店の黒服も応援してくれて、店長がいない時はオープン準備しなくて良いからレポートしてて良いよと言ってくれ、盛大に甘えさせてもらっていた。

店長がいない日は家でのレポート作成時間も短くなるので、睡眠時間も確保できた。

黒服さん達がレポートして良いと言ってくれなかったら、どこかで欠勤してしまっていたと思う。本当に感謝しかない。


Yから連絡が来ていたが、今は実習とバイトでYの事を考える余裕がないとメールし終わらせていた。


地獄の一般施設への実習が終わり、国家試験に向けてひたすら勉強する期間に入った。

実際の試験会場に似せた会場施設で試験時間も同じにして過去問を解いたり、全体的な点数を見てみんなが苦手としている科目の追加授業をしたりしていた。


Yにはまだ会いたくないとメールし、連絡を絶ったままだった。


G店に実習が終わった事を伝えると、お疲れ様と言って一緒に喜んでくれた。

G店では陰キャな私は会話をリードする力がなく、お客を気持ちよく話させるトーク力を持っていなかったので、徹底的にヘルプ役にまわりお酒を浴びるように飲んでいた。

何故か仕事と思って飲むお酒は一切酔わなかった。

しかし、帰宅しシャワーを浴びたらいきなり、お酒がまわりダウンしてしまう事もあった。

今でも謎だが、なぜかG店で働いていた時は本当に酔わなかったし、いくらでも飲めた。G店を辞めてから同じくらい飲もうとしても酔ってしまい飲めなかった。


グイグイ飲む私にお客も楽しそうにしてくれた。

そして、先輩を指名していたお客が私を指名してしまったのだ。

怯えながらお客にどうして指名を変更したのか、先輩は知っているのか聞いたが、指名を選ぶのはこっちの勝手でしょ。と言われてしまい、時間まで話し相手をし、お酒を飲んだ。

その後、控室に先輩がいたので、私から謝ろうと近づくと先輩から先に口を開いた。

先輩「怒ってないから怯えないで。あの客新しい物好きだから新人入ると新人を指名する事あるの。初めてじゃないし大丈夫だよ」

以外にも先輩は寛大に受け入れてくれた。

私「ありがとうございます。次からは先輩を指名するようにお願いしました。」

先輩は笑いながらこの業界は客の心変わりなんてよくある事だし、Mちゃんは本業にするつもりはないって皆理解しているから、他で指名入っても遠慮なんてしなくて良いよ。先輩達がしっかり客の心を掴んでいれば、また戻って来るのわかっているからね。

実習でないがしろにされ、すり減っていた心に先輩の優しさは痛いほど嬉しかった。

先輩にお礼を伝えホールに戻った。


本当に様々な人間が訪れる場所だった。

・経営者のお金持ち

・一流企業の役職者

・月に1度だけ給料が出たら来る人

・ヤクザ

・ヤクザになれなかったチンピラ

所得も職業もバラバラだった。

一番苦手だったのはチンピラだった。

チンピラが来店する度、店長から裏に呼ばれ、あの客の名前は覚えなくて良いから顔だけ覚えろ。黒服もわかっているから指示しないと思うけど、あの客のヘルプにつけと言われたら、店長から断って良いと言われていると黒服に伝えるんだ。

あの客には絶対近づくな。わかったな。

初めて接客しなくて良いと言われ、私はとんでもないお金持ちか警察関係者なのかと思っていた。

近くの席にヘルプで入って会話が少し聞こえてくる。

チンピラは基本的に過去の武勇伝を語るか、おさわり禁止なのに女性を触ろうとしていたり、黒服に咎められるとお店で暴れたりとやりたい放題だった。

数名は出禁になったりもしていたが、全員ではなかった。


給料が思った以上に高かった為、私は国家試験に向け週6から週4~5に変更してもらった。

G店にも慣れてきた時、花火大会やお祭りなどイベントごとが増えるようになった。

店長からイベントの日は満席になって忙しくなるから、出来れば出勤して欲しいとお願いされ快く承諾した。

G店でのミーティング時にもイベント日は全員出勤。出勤できない人は早めに報告する事と言われた。


迎えた初めてのイベント日、店長の言う通り開店と同時に満席になったが、客足が止まらず、席がないと帰るお客、他の店で時間を潰して再度来店するお客で閉店までずっと忙しかった。

黒服が一番大変そうだった。

しかし、満席になるのは珍しくなかった為、なぜこんなに黒服が忙しそうで困っているのか、指名客も少ししかいない私も忙しいのかわからなかった。

トイレに行った時に一人の黒服と廊下ですれ違った。

何気なく理由を聞いて見た。

私「満席は普段もありますよね?イベント日はなんでこんなに忙しくなってしまうのですか?」

黒服「イベント日は彼氏持ちの女の子がドタキャンして出勤して来なくなるんだよ」

私「確かに!!同伴かと思っていましたが、いない先輩が数名いますね」

黒服「店長に聞いてOK出たら一人で接客ついてもらっても良いかな?女の子足りなくて席を回せないんだよ」

私「私じゃ物足りないと思いますが、お客が良いと言えばかまいませんよ」

黒服「助かるよ。ありがとう。」

そうして私は指名以外で初めて一人で接客する事になった。

黒服が気を使ってくれたのだと思う。癖の強いお客はいなく私一人でも対応できるお客ばかりだった。

この日をきっかけに初めての入店者は私がつく事も増えていき、指名客も増えていった。

私の指名客は、私のみにしてくれていてお店に来店しても私がいないと言われると帰っているようで、私の出勤日にあわせて毎日のように来店してくれた。

貧血などで急遽欠勤すると翌日、昨日来たのにいなかったから、すぐ帰ったよ。そろそろ連絡先教えてよ。と言われる事が増えていった。

仕事用にもう一台携帯を買う考えはなかった為、お客に連絡先を聞かれても、番号覚えてなくて、充電切れてて、家に忘れちゃって等とごまかし連絡先は絶対に教えなった。店長も店から貸し出しはしてないからそれでいいと言ってくれていた。

そうして指名客が増えていくにつれ、彼女になってや、体触らせてなどNGを言ってくるお客も増えた。

そしてお客Tが私に本気になってしまい、指名しているのに離席すると、あからさまにイライラした態度をとるようになったのをきっかけにエスカレートしていったのだ。

閉店まで店にいて、アフターしようと毎回しつこく誘ってくるのだ。

さすがに店長が対応し、アフターはさせていない。店でのNG行動も見受けられる。改善が見られない場合は入店拒否にさせて頂くと警告した。

その後2日間来店して来なくなりホッとしていたが3日後、閉店後黒服の車に乗り込もうと外に出た所で、突然、自分が送っていくとTが現れたのだ。

私はTを呆然と眺めるだけで、恐怖心から動くことも言葉を発する事も出来なかった。

慣れているのか先輩達が私を取り囲み肩を抱いて店に戻ってくれた。

黒服一人が店長に報告する為戻り、店長と一緒に外に出て行った。他の黒服はTが逃げないように取り押さえたようだった。

先輩達は店長と黒服が解決してくれるから、安心してね。大丈夫だよ。と優しくしてくれていた。

店長が店に戻り、系列店からMさんの背格好に似ている子を呼んでいるから、その子が到着したら、他の女の子はMさんと一緒に帰っているように見せて黒服の車で帰るように指示を出した。

私は店長が送るから、待ってて欲しいと指示を受けた。

帰りの車内、店長からTが車かタクシーで後をつけてくるかもしれないから、かなり遠回りして、あえて細い路地に入ったりし後ろに車がいないか何度も確認しながら帰るから、早く寝たいと思うけどドライブに付き合ってくれと言われ、お礼を言って従った。

翌日、出勤しいつも通り過ごしていると、終電ぐらいの時間にTが普通に来店し私を指名した。

黒服は店長に報告し、私にも接客できるか確認を取ってくれたので承諾した。

Tの席に行くと、黒服と店長がTを見張っていて、そのまま接客する事になった。

T「昨日は突然でびっくりさせちゃったよね。ごめんね。連絡先教えてくれたら、毎日送迎するし突然外であったりしないから連絡先教えてよ」

私「連絡先は誰にも教えていないので、Tさんのみ特別扱いで教える事は出来ません。送迎も望んでないので結構です」


T「今日〇〇駅から店まで1人で歩いて来たよね?」


店長・黒服・私の時が止まった。


私「なんでですか?他にもたくさん出勤手段はありますよ?」

T「見てたから。昨日も思ったけど私服は控えめなんだね」

T「もう少しで家も見つけるよ」

私「お仕事はされてないんですか?」

T「社長特権だよ。社員を働かせれば俺には自由時間がたくさんあるんだ」


店長K「これ以上の会話は脅迫になりますので、お帰り下さい」

K「お客様は本日からお客様として対応しかねます。出禁とさせて頂きます。」

黒服「お出口こちらになりますので、速やかにお帰り下さい」


そして出口ではなく、非常口がある裏に全員で移動した。


T「使用している公共機関は特定できたし、後は家を見つけるだけだから、店に用はないよ。今後はプライベートで仲良くさせて貰うね」

店長K「お店以外での接触は禁止行為です」

T「警察に言うか?言えねぇよな?この子、未成年に見えるもんな」

店長K「当社に未成年は在職しておりません。間違いなく成人しております」

T「本当か?どっちでもいいけど俺は辞めないぞ。警察が来たら考えてやるよ」

店長K「警察がご自宅か会社に伺う事になります」

T「やれるものならやってみろよ。俺はこの子をあきらめないからな。この子もプライベートを一緒に過ごせば俺の事好きになるよ」


私「Tさん。私彼氏います。なのでプライベートで会う事は絶対にないです」


この言葉を聞いてTは私に何かしようと向かって来たが、3人の黒服に取り押さえられ床に押し付けられていた。

店長K「あとは大丈夫だからMさんはホールに戻って」

私「わかりました」


帰り、いつも通り黒服と帰ろうとしたら、店長が今日から数日Mさんは俺が送っていくからと言われ、車内で出勤も車出すからしばらくは、あの路線使用しないようにと言われた。

私「出勤も店長の車ですか?申し訳ないので路線を変えたり、タクシーで出勤しても良いですよ?」

K「問題ないよ。このような事はたまに起きるんだよ。だから、あえて送迎車は客がわかりやすい所に停めてあって、俺の含め数台は、見えにくい別の所にシートを被せて隠して停めてあるんだ」

私「なんでシートまでして隠すのですか?」

K「車の車種や色・ナンバーを特定されてしまうと、尾行されやすくなるんだよ」

私「なるほど…店長…私…ご迷惑でしたらお店辞めても良いですよ?」

K「迷惑じゃないよ。さっきも言ったけど、たまに起こる事なんだよ。その時は皆同じ対応をしているから、問題ないよ。俺が系列店の事や他の事で店に行けない時は隠してある他の黒服の車が送迎するし、その時は俺からMさんに必ず連絡するから、連絡がないのに黒服と名乗って違う車が迎えに来ても乗り込まないようにね」

私「わかりました。ご迷惑でなければ続けさせて下さい」

K「お願いするよ。何かあったら時間気にせずすぐに連絡してね」

K「まぁ~Tも長くは続かないから」

私「なんでですか?」

K「聞かない方が良い事もたくさんあるんだよ」

私「わかりました。短期間で終わると思っておきます」

K「本当にMさんは素直だな~」

店長は最後ケラケラと笑っていた。

店長の笑顔を見ていると、大丈夫と思えた。


翌日店長の車で出勤すると、黒服の数名がMさん彼氏いたんですね~と話しかけてきた。

私は別れたいけど、別れ方がわからないだけだから、実際はいないのと一緒ですよと伝えると、一番優しくしてくれていた黒服が、素直に別れたいって伝えればいいじゃんと言ってきた。

別れたいって言っても絶対に嫌と言われてしまって困っているんです。と伝えるとヤバそうだね。なんかあったら俺ら出るから連絡してねと言ってくれてお礼を言った。


短期間は1ヵ月程と思っていたが、1週間程度で終わってしまった。

今になっても店長や黒服が何をしたのか知りたくはない。


G店には平和が訪れ、いつも通りの日常が戻り私の指名客も増え続けた。

そうしてついに貯金が100万円を超えたのだ。

私は店長に通帳を持って行って100万円溜まりました。

本当にありがとうございました。と言った。

K「もう辞めちゃうの?卒業か就職まで働いてても良いんだよ?」

私「だらだらすると辞める機会を逃しそうなのと、国家試験勉強と就活に専念したいです」

店長は「いつでも戻ってきて良いからね」と笑いながら言ってくれ

「お客への挨拶を済ませたらやめて良いよ。全員にはしなくて良いけど指名客にはして欲しいから、挨拶が終わるまでの数日は出勤してもらって良いかな?」

私「もちろんです。よろしくお願いします」


ミーティングでお客への挨拶を終わらせたら、月末待たずに私が辞める事を発表され、みんなが頑張ってねとやさしく声をかけてくれた。


新しいバイト先は国家試験の為、辞めようとしたら、代わりに誰か紹介してくれないかと言われ困っている友人のバイト先に友人と代わり私が入る事になった。

新しいバイト先も飲食店でまかない付きだった。


そして就職氷河期を知らない私の、就職氷河期での就活が始まるのであった。

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