第86話 ラヴィアの想い
ランタンの灯りが部屋を照らすなか、僕ラヴィア・ゼフィールはもう寝る時間なのに眠れずにいる。
(……兄上はなんで、あんなかおしてたんだろ)
もぞもぞと動きながら暗い布団の中でくるまりながら、今日の兄上の様子を何度も思い出してしまう。
(僕がまほうてきせいあったから?)
(でも、僕のせいじゃないって言ってたし)
(おこってるようにはかんじなかったし)
(……わかんないよ)
考えても考えても答えは出なくて、ただ……ただ心の中でぐにゃりとした感情が広がるだけだった。
(兄上はおさない時からゆうしゅうで父様の手伝いもするくらいだったとべんきょうをおしえてくれる先生たちは口をそろえて言ってた)
(まほうてきせいがない兄上はむかしも今もいろんな人から好かれてて)
(僕は兄上みたいになりたいと思ってるけど)
(……なんで兄上は、むかしから僕をゆうせんしてくれるんだろ)
ぐるぐると回る思考につぶされそうになっていくのに、なぜか心は昔から優しい兄上の笑顔ばかりが浮かび上がる。
(……僕にはまだわかんないけど)
(兄上みたいになれるようにがんばりたい)
そう、思いながら僕はあたたかい布団の中で兄上から貰ったぬいぐるみを抱きしめ、気づけば眠っていた。
★★★★★★
魔法適性から数日後、僕はルセアさんに魔法を教えてもらっていた。魔法の仕組みがわかった僕は詠唱をし、ルセアさんから教わった水魔法の攻撃魔法や防御魔法などを使いこなしていくとあっという間に時間が過ぎていた。
「つかれた……」
ごろんと芝生に寝転び深く息を吐くと、隣にルセアさんが座って僕に言う。
「初めてでここまでできるのはすごいよ?」
「……えへへ」
僕は胸がむずがゆくなり目を逸らして笑って言うと、ルセアさんは目を細めて少しだけ真剣な顔で話を続ける。
「それにラヴィア様は水魔法の適性があったから、頑張ったら高度な結界も張れるようになるよ」
「なんで?」
「高度な水魔法はね、結界を維持するために必要な魔力基準を満たしてるんだ」
「でも、高度な水魔法は国でもすごく貴重な魔法だから欲しいと思う人はたくさんいるんだ」
「その中には誘拐してまで手に入れようとする人もいたくらいだからね」
誘拐――その言葉を聞いた時、僕は背中がぞわりとしたのを感じて思わず寝転んでいた背中がピンと伸びてしまう。
でも、ルセアさんは僕の怖さに気づいたのか優しい笑顔で僕の手にルセアさんの手を重ねて僕に言った。
「そんなことは無いと思いたいけど、本当にあったことだからね」
「なので!ラヴィア様には自分の身を護る魔法をこれからたくさん教えるから頑張って覚えてね?」
握っていた手を撫でながら言うルセアさんに僕は心があたたかくなり、さっきまでの怖さも薄れてその後もルセアさんの話を聞く。
ここまでの読了お疲れ様でした!
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