第6話 ギルドのあたたかさ
シオンさんについていくと"ギルド長室"と書いてある木の名札が掛けてある扉をガチャ─と開けたシオンさんは私に言った。
「少しだけソファに座って待っててくれ。すぐ戻るから」
私にそう言ったあとシオンさんは扉を閉めた。
……私は気付かぬうちになにか失態を犯してしまったのか、はたまた規則違反をしてしまったのか、なぜ私はこの部屋にいるのかがわからない。不安と焦りで思考が上手くまとまらず、少しの呼吸が乱れてくるのがわかった私はとりあえず言われた通りソファに座り深呼吸をした。
「……大丈夫。私なら、大丈夫だから」
私は自身に言い聞かせるように拳をグッ─とにぎり目を閉じて呼吸を整わせる。数分が経ち、落ち着いてきた頃扉がガチャ─と開きそちらに視線を向けるとゼファーと話してた小柄なシオンさん似の男性とシオンさん、そしてゼファーがそこにいた。不安な態度は出さず、ソファから立ち上がり三人へと頭を下げた。
「すみません、私情が絡んでしまい勝手な真似をしてしまいました」
私は深々と頭を下げると、なぜか笑い声が上から聞こえ頭を上げるとシオンさんとゼファーは大笑いしていた。
「クロエ、お前…そんな事で謝るなよ笑 悪かったのはアイツなんだからさ?」
ゼファーは笑いながら私にそう告げた。
「クロエが謝る必要は無いのは明確だ。むしろあのクソ野郎、最近あーゆう手口で金品を盗ろうとしてたからどう懲らしめるか模索していた時クロエが捕え、法を突きつけてくれて助かったのだから!笑」
さっきの堅苦しい雰囲気や警戒心は無く、笑いながらそう告げたシオンさんに私はポカン─とした表情をしていた時、その隣にいる小柄な男性は頭を抱え眉間にシワを寄せたあと、私に名を告げながら話し出した。
「僕の姉がすみません、不安にさせてしまったでしょう。僕の名前はリヒトと言います、このギルドの受付係をやっておりゼファーと姉とは幼馴染なゆえ、気に入った人をからかう癖があるんです。…クロエさんの名はゼファーから聞いたので知ってるだけですよ」
苦笑混じりな笑顔で私に告げたリヒトさん、私自身急に名前を知られてたことに驚いたがそーゆう経緯があったのだと納得したため、すぐに緊張は解け笑顔でリヒトさんに伝える。
「そうでしたのね。…安心しましたわ」
私は安堵で胸を撫で下ろすとさっきまで大笑いしていたゼファーとシオンさんはいつの間にかソファに座っていた。私とリヒトさんも慌ててソファに座るとシオンさんは私の瞳を見ながら話し出した。
「クロエ。きみはかなり聡明なゆえ魔法の才も人よりずば抜けているね?…それに、無詠唱魔法を使えるなんてこの国では十人も満たない、その意味。クロエはわかるかい?」
ゴクリと唾を飲み込みながら真剣な瞳をするシオンさんを見つめながら私も告げる。
「はい、分かるとされると危険にさらされる…ですよね?」
「そうだ。このギルドは基本平和だが変な輩もいるのも事実、無詠唱とわかればまともなヤツらは近づかないのだが、さっきみたいなバカなヤツらは近づいてくる。人によっては命の危機に晒されることもある…。それでだ、クロエ」
真剣な瞳から笑顔に変わったシオンさんは私の手を握りながらとんでもないことを告げた。
「同じく無詠唱で魔法を駆使し、剣も使えるゼファーとパーティーを組むのはどうだ?女一人だと例え魔法があっても不便なこともあるだろうし、なにより危機に晒されにくくなる」
さらっと凄いことを告げたシオンさんに私は隣にいるゼファーを見ると困った表情をしながらゼファーは私に言った。
「俺とのパーティーは…、いやか?」
その時──さっき見た切なげな表情で私をゼファーは見ていた。……私は彼を知りたい、なぜ十四で冒険者になりシオンさんやリヒトさんとも仲が良いのか。初めての感情に私は戸惑うが優しく笑顔で了承するとほっ─とした笑顔をゼファーしていた。
「それじゃ、決まりだな!リヒト、クロエのギルド登録とゼファーが言ってたパーティー名で登録してくれ」
シオンさんがリヒトさんに告げるとリヒトさんは頷き部屋から出て行った。……パーティー名って本当に存在するんだ。恐らく強いと思うゼファーと一緒に冒険者をできるなんて、不安だがなぜか安心してしまう自分がいた。
「んじゃ、できるまで時間かかるからギルド内を案内してやってくれよ?」
ニカッ─と笑って言うシオンさんに、警戒心が強い私は何故か心が溶かされるのを感じていた。……おそらく、このギルドは大方"いい人"が多いのだろう。その後私は部屋から出てゼファーにギルド内を案内された。
ここからが私の冒険者人生の始まりだった──
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