第5話 クロエの魔法は怒りと共に
今回少し長いです…!!
賑やかな露店を通り過ぎ、奥まったところには大きな立て看板に"ジャスパーギルド"─と明記してあり、建物が縦や横にも広く装備付けた冒険者が出入りをしているのこの目で初めて見た。
……こんなに大きなギルドだと予想の斜め上で隣にゼファーがいるのを忘れ、瞳を輝かせながら辺りを見渡しているとクスッと笑いが隣から聞こえ少し上にあるゼファーの顔に視線を向けたらにこやかな表情で私を見ていた。
「っ、…すみません。初めてギルドをこの目で見ましたのでとても嬉しくて舞いあがってしまいましたわ」
予想外の出来事に心臓がバクバクと波打つなか慌てて視線を逸らしたらゼファーは優しく話し出した。
「俺は気にしてないから好きなようにしてくれよ?むしろクロエがこのギルドに興味を示してくれて俺は嬉しかったぜ!」
ニカッ─と笑い私の警戒心が段々と解かれてゆくのを感じていた。……さっき出会ったばかりだというのに、なぜよそ者の私にそこまで優しくできるのか疑問だった。でもゼファーという人物は"いい人"の部類に入るのだと私の直感が区別していた。
ゼファーはその後ギルドに向かいながら話しを続ける。
「ちなみにこのジャスパーギルドは国の全ギルドを束ね、この国で一番デカく交易も盛んなギルドでもあるんだ。俺は十四から冒険者を始めたから今年で二十になるな……クロエは今年でいくつになるんだ?」
交易が盛んでギルドを束ねてるのはかなり前に調べた時に知っていたが、十四でゼファーが冒険者をしていたことにとても驚いた。冒険者になれるのは十五からと決まっていたのがなぜ、ゼファーだけ十四でなったのか気になってしまう。……笑ったあと少しだけ切なげな表情になったゼファーに少し違和感を覚えてしまうが、割り切り笑顔で年齢を答える。
「十七ですわ」
私がゼファーに微笑みながら告げると目を見開いたあとゼファーは笑みをこぼしなりながら『若いな〜』と言い、ギルドの扉に手をかけた。胸が弾むが、少しの緊張が私を纏うなかゼファーはキィ─と扉を開けた。
★★★★★★
ギルド内に入ると高い天井に活気のある雰囲気、明るい照明……人種問わず人で溢れかえっているギルド内には、魔法師や剣士、弓使いに白魔導師などが複数のテーブルにいたり、作戦会議をしたり壁に貼ってある依頼書を見たりとするのに、胸の鼓動が早くなるのがわかった。
……すごい、実際に見て判断するのがいいと思ったけどこれは予想外だわ。この施設の広さと設備に、たくさんの冒険者がいるという事実がここにあるのを肌で感動してしまう。そんな私の瞳には新鮮な景色でしかなかった。
辺りをキョロキョロと見渡していたところ、ゼファーが小柄な男性の受付係に声をかけてるのを見た私は、自分が棒立ちでいたことに気づき小走りでゼファーの元へと向かっていたとき、ドン─!と誰かが私の肩にぶつかって来た。
「…すみません、お怪我はないですか?」
私はガタイの良さそうな坊主頭の男性に心配で告げると男性はニヤリと笑いなぜか私の手首を握ってきた。
「……なぁ嬢さんよ。腕やっちまったから慰謝料としてそのネックレスくれよ?」
その瞬間──
私の脳裏に一人の人間がよぎった。
『クロエ、俺の腕輪壊したのお前だろ!?弁償しろ!!』
……あぁ、なるほど。この既視感は私に濡れ衣を着せようとしたあのバカ王子と似ているからか。こんなゴミ以下のヤツと似ているのがまだこの世に存在するのか、
思考が段々と冷めていくのを感じ、全身から血の気が引くような感覚になっていくのがふつふつとわかる。恐らく私の顔は相当酷いものなのだろう……
けどそれを了承と受け取った男はネックレスに手をつけた瞬間──私はシルの記憶が脳裏によぎった。
『姉さんの誕生日プレゼント!僕とお揃いなんだ!なくさないでよ?』
ドヤ顔をしながらプレゼントしてくれたシルの表情が浮かんだあと、初めて家族として祝ってくれたのがシルだった……、そんな大事で大切なものをゴミ以下のヤツにあげるわけない…!!
その時、私は憎悪と怒りが全身にめぐり隠してた無詠唱魔法を使い…特殊魔法、拘束で男の手と全身をすぐさま拘束した。
「な、なにすんだっ!?!」
男は暴れそうになるが私の魔法はそう簡単に解けやしない。周りのざわめきが噂声が聞こえるが今は雑音でしかない……
「ねぇあなた。本当は腕なんて怪我してないわよね?……嘘をついてまでお金になるものを取ろうなんて冒険者としてどうなのかしら」
私はその場が凍るような瞳でそいつを笑顔で見つめると、男は怯えるような表情をしていたがそれでも気がすまず追い詰めるように男に言う。
「私の大事なものに手を出そうとしたのは重罪なの。だからあなたには"本当のこと"を教えてあげるわ」
私は唇に人差し指をあてニヤリと笑うとギルド内全てが静かになるのを肌で感じるが、気にせず続け男に言う。
「ゼフィール国は人の物を奪うと"窃盗罪"という罪で捕まることをご存知で?奪う行為も該当するのですよ」
にっこりと笑顔で告げたら男はブルブルと震え始め、何も言えなくなってしまった。
そんな時──拍手をしながら近づいてく深緑髪に黒の瞳をしたボブヘアの女性、恐らく私より一回り歳上だろう。そんな女性がコツコツと靴音を鳴らしながら近くに歩んできた。
「いやぁ、圧巻だった。クロエはすごいな!」
私は我に返り、辺りを見回すと皆が驚きの視線でこちらを見ていた。……そうよね、無詠唱なんて本来使えないものよね。ん?それにこの女性はなぜ私の名前を知っているのかしら?服装から見てギルドの人だとわかるけど……
私が警戒していたところ、女性がパチン─!と手を叩き大声でこの場のいる人たちに告げた。
「皆様、このものは騎士団に預け渡すのでご安心くださいー!!各々いつものように戻って大丈夫ですよー!!!」
女性がそう告げるとさっきまで私たちの周りにいた人たちは依頼書やテーブルに戻っていったのをポカン─と呆けて見ていたところ、女性が私に名を告げた。
「このジャスパーギルドの責任者をしているシオンという。クロエのことは別室で話を聞きたいから少し時間をくれないか?」
シオンと名乗った女性は優しく笑うが、その纏う雰囲気は少しの警戒心が混ざっていた。私はやらかしたかもしれなく、了承をした後シオンさんについて行った。
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