第4話 新天地と出会い
空から見える景色を浮遊しながら半日以上堪能していたところスチュワード王国とゼフィール王国の国境見え、私は飛行を少しずつ弱め近くの森の中でふわりと着地する。
「……ふぅ。さすがに空を飛んでるなんてバレたら元も子もないのよね。それに国境までの道のりはあっという間だったわ、事前に用意した地味な服装にして正解だったかしら」
私は自分の服装を見る。
襟と袖には藍色の模様が施されており、胸元からスカートにかけてあさぎ色を取り入れた長めのワンピース、赤茶の動きやすい靴にシルから貰ったお揃いのネックレス。
……貴族令嬢には見えない、いい服装だと思う。私はその後森を抜け国境まで歩いて行くと騎士の服装をしたガタイがいい男性二人が門番をしていた。
「お嬢さん、身分証はお持ちで?」
コーラル色の瞳と髪をした体格のいいおじさんが私に笑顔で手を差し出してきた。私は事前にゼフィール王国用の身分証を作っていたためそれを差し出すとおじさん騎士は笑顔で国境を通してくれた。
「気をつけて行くんだよー!!」
おじさんは大声でそう言ったのに私は目を見開いたが、すぐさま笑顔になり頷いて国境を通った。……誰かからそう言って貰えたのはいつぶりだっただろう。
ほんの少しだけしんみりとした気持ちになったが気にせず前を向き、王都にあるギルドへと街の馬車で向かった。
★★★★★★
馬車に揺られながら街の人と会話をし、2時間が経った頃。王都…セルズに着き馬車から降りるとそこは別世界のようで私は思わず立ち止まり唾を飲み込んだ。
街中には陽気な音楽が流れ、エルフや獣人が人間の人だかりに普通に暮らし商売をしたり芸を魅せたり話したりとしているのを見た私はここが本当に多人種王国なんだとわかり、全身の血が一気に巡るような感じがし心が踊った。
「すごいわ。…っていけない!ジャスパーギルドを探さないと…!!」
私は急いで腰にかけてたカバンから地図を取り出し、にらめっこしていた時だった──
「もしかしてお嬢さん、ジャスパーギルドを探してるのかい?」
私は即座に振り向き、警戒態勢を取りながら相手を見ると私より身長が高く細身の体型ながらも筋肉は付いていた。容姿は藍色の長め短髪に藍色の瞳、チャラそうな顔立ちだが服装から見てかなり凄腕の人だと一目見てわかった。警戒態勢をとった私に気づいた男性はすぐさま手をブンブンと顔の前で振りながら慌てて話し出す。
「違うぞ!?俺怪しいやつでも変な奴でもないから!ギルドを探してたみたいだから声掛けて案内しようとしただけだからさ?そんなに警戒しないでくれよ笑」
焦ったと思いきや次には笑っている。コロコロと感情が顔に出やすい人なのだろう……、私は警戒態勢を解いたが警戒心は持ち続け笑顔で男性と話す。
「そうでしたのか、それは嬉しいですわ。ぜひとも案内して欲しいのでお名前をうかがってもよろしくて?」
私も笑顔で返すと男性は目を見開きながらもすぐに笑みをこぼしながら名を告げた。
「俺の名前はゼファー。ゼファーって呼び捨てで読んでくれて構わないぜ!ジャスパーギルドで冒険者しているからよろしくな!」
名を告げるということは少しは安心していい証拠だと言うのは知っている。変な輩は名前は告げないのだから……、私は警戒心を少し解きゼファーにも私の名を告げる。
「私の名前はクロエ。冒険者になりたくてこの国にいらしましたの、仲良くしてくださると嬉しいですわ」
私がゼファーの瞳を見ながら笑顔で言うとゼファーは屈託のない笑顔で頷き、ジャスパーギルドへと案内してくれた。
───この時の私は知らなかった、ゼファーとの出会いが私の人生を大きく揺るがす転機だったと。
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