第3話 家との決別
「婚約破棄とは何事だっ!!」
執務室に入るなり父であるカイル・スティード公爵が怒りをあらわにし、私を怒鳴るように言い放った。
恐らく先に私付きの侍女、という名の監視がクソ親父に知らせたのだろう。……私はこんなゴミの道具じゃない、一人の人間だ。心の奥から煮えたぎる憎悪と怒りが喉元までこみ上げるが、笑顔を貼り付けスティード公爵に告げる。
「何事も何も侍女から聞いたのでしょう?それが全てですわ。起きたことは取り替えは効きませんの。それに……、私は一度も貴方を父親と思ったことはありません、"道具"としか私とシルを見てない貴方は公爵家の名にふさわしくありませんわ」
キッ─と憎悪を込めた瞳で最後の対峙だと思い睨み返すと顔を顰め、首まで赤くなった顔と唇を噛む仕草に恐らく何も言えなくなったのだろう。……当たり前でしょ。こんなのを親とも呼びたくないゴミ以下の存在なのだから……
その時──クソ親父はまたもや怒鳴るように私に言い放つ。
「無能なお前はこの公爵家から出ていけ!!」
…ふふ、その言葉を待ち望んでいたのよ。口角が上がりそうになるのを抑えながら私は執務室から出た後、シルの部屋へと向かった。
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シルの部屋に入ると綺麗に物や家具が整頓されてあり、昔と変わらない安心感にふと笑みが零れる。その後シルの机に向かい事前に用意していた手紙を机の端へと置きシルにしか分からない魔法を唱える。
「隠蔽鍵」
その瞬間──
小さな風と眩い光がふわりと手紙を隠しカチッ─と音を鳴らしたあと元いた机の位置へと戻った。
"スピルキー"は風、光、氷魔法を融合させた特殊魔法で私が生み出した魔法の一つでもある。この魔法は特定の人物を頭で思い描きながら唱えるとその人にしか見えなくなる魔法なのだ。
我ながら上手くいったのを確認したあと、私はシルの部屋を後にし自室へと向かい明日へ旅立ちに向けての準備を始めた。
★★★★★★
窓辺からさす夜月に照らされるなか、私は自分で買った物を全て無限収納と唱えたあと、物を入れながらつぶやく。
「………ふふ、やっとこの時が来たわ。これを待ち望んでいたのよ」
やっと…やっと、"冒険者"という自由な職業に一歩近づけると思うと頬が上がるのを感じる。でも今は気にしない、なんせ私はこれから自由なのだから……
魔法と剣の鍛錬は幼い頃からしていた。自分とシルを守るために……、それでももっと…もっと上達したいと思っていた時に"婚約破棄の噂"と"冒険者という職業"を見かけたのだ。私はそれをきっかけに1年半努力をし続けた。
「……よしっと、これで隣国へと行けるわ!」
私は持っていた荷物を全て無限収納に入れ終わり、自室の窓を開けた。そして魔法を唱える……
「飛行!」
風魔法の応用、浮遊魔法を唱えながら窓から飛び降りると全身に魔法が纏われ空高く進んだ。
私は今まで溜めて…我慢してきた想いを堪えないで済むとわかると心が踊るのを感じ思いっきり叫んだ。
「これからは自由だわ!!」
心から笑える笑顔で空を見上げると、さっきまで雲で隠れてた夜月が明るく照らしまるで私を応援してるようだった。
……これからが私の人生の始まり、ゼフィール王国の冒険者への道を自分の手で掴もうと拳を握りしめ空を飛びながらゼフィール王国へと向かった。
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