第12話 薬草採集の翌日
すみません、今回は少し短いです…!
薬草採集の翌日のことだった──
「……シオンさん、今。なんて言いました?」
私は言われた言葉が信じられず、もう一度聞き返すとシオンさんはさっきと同じようにあっけらかんとした表情で話し出す。
「この国の王太子、リヴィア・ゼフィール殿下がラヴィア様のお礼を直々にしたいらしく王宮に来て欲しいという伝達がクロエとゼファー宛に入ったんだ」
……厄介なことに巻き込まれたかもしれない。褒美も何もいらないと告げたはずなのになぜそこまでするのか私には分からない。だけど、あの少年……ラヴィア様が元の家に帰れて楽しく過ごせてるのかは気になる。王太子からの指名ということは王族からの指名……逃れることはできないだろう。私は嫌な記憶が蘇るのをグッ─と堪え笑顔でシオンさんに伝えようと口を開こうとした時──ゼファーが私の肩に手を置き笑顔で言った。
「大丈夫だ。リヴィア様は人を貶めるような方ではない、俺は何度か話したことがあるから断言できるぜ!」
嘘がない表情で言うゼファーに私も不思議と"大丈夫"と思える気がしてきた。その時──リヒトさんが笑顔で私に話し出した。
「ゼファーはこの国で希少な無詠唱魔法持ちなため年に一度王宮に呼ばれるのです。その際にリヴィア様と何度か話をしているため面識があるのですよ。僕やシオンもリヴィア様が悪い方だと思ってないので、きっとクロエさんも安心出来ると思います」
その時──思い出した。私は幼い頃、王宮での庭園に一人でいたのをアル様が見つけ私に話した内容を。
『この前、隣国での交流会があったの覚えてるか?』
『はい。カラム様とご一緒に向かわれた会でしたよね?』
『そうだ。その時に隣国の第一王子が私と話した際、三つ下とは思えないほど聡明な方で優しくもあったんだ。……だからクロエ』
『?はい』
『親がクズでもそれだけが自分の世界ではない。世界は広いんだ、そして優しい人もいるが価値観も違う人もいる。人は全員似てるようで違う生き物なんだ。私が偶然クロエを見つけ、こうして助けられるが、いずれクロエ自身の足で立たなきゃ行けなくなる時がくる。……その時、クロエは自分を信じ強くなれると思えるか?』
──当時の私は言葉がつまり、何も言えなかった。だけど今なら分かる、"その意味"が。
……アル様が言ってた方はもしかしたらリヴィア様のことかもしれない、それなら私はお会いしこちらもお礼をしたい。
私は決意を固め、シオンさんから日程を聞くと明日の午後に馬車がギルドに来るそうだ。……少し怖いがリヒトさんやシオンさん、なによりゼファーの言葉を信じたかった。こんな気持ちになるのは初めてで戸惑うが、不思議と大丈夫な気がしていた。
その後、私とゼファーはギルドを後にし明日への準備に取り掛かった。
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