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王子の婚約者だったクロエ、第二の物語は冒険者です  作者: もち
第1章

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第11話 大草原で想い馳せる


 私はこの広大な草原に目を奪われた。どこまでも続く青空に心地よい風が木々をさらっていゆく……そんな様子に。

 それにしても、カラム様がおっしゃってた珍しい薬草からスチュワード王国にはなかった薬草が今、私の目の前にある……その事実に私は深く呼吸を吸い、目を閉じると過去が浮かびあがる。



「クロエ嬢は本当に薬草がお好きなのね」

「わたくしの薬草知識でこんなに喜んでくれた方は、今までいなかったわ」



 ――幼い時、王宮の出入りが可能だった頃。カラム様が優しい瞳で私にそう言ったのを今でも鮮明に瞼の裏に思い浮かぶ。薬草のお陰でカラム様やアル様と交流できたことは……私は今でも忘れないほど、あの方々は私にとって大切な人だった。 

 ふと笑みがこぼれ目を開けると、不思議そうな顔をしたゼファーがと目が合ってしまうが、どこかゼファーの様子がおかしかった。



「……クロエは楽しそうだな」



 そう、またさっきと似たような表情をするゼファーになぜか胸が苦しくなるが、私は笑顔を浮かべ尋ねる。



「ゼファーは、楽しくありませんの?」



 その問いにゼファーは頷いた。



(……私だけ楽しいのかしら)

(それはそうよ、薬草なんて薬師や医師が詳しいもの)



 私は視線をゼファーから薬草に移すとゼファーは少し声を震わせながら口を開いた。



「……俺はどんなに強くても、薬草の知識だけは一切ないんだ」

「初依頼の時も取らなかったし今も取ったことがない」

「クロエと出会うまでは……一人で冒険者をしてたからな」



 ほんのり口角を上げて話すゼファーだけど、その姿はどこか淋しそうだった。なぜ一人で冒険者をしてたのか……そう喉元まで問いかけが出そうになるが、私はグッと堪えゼファーに笑って伝える。



「なら私がゼファーに依頼用の薬草と、依頼ではない薬草を教えますわ」



(……カラム様が幼い時の私にしてくれたように)

(薬草の知識は損はないですものね)



 そう、私が優しく笑うとゼファーもさっきの笑顔とは裏腹に心から笑う笑顔で頷いてくれた。





★★★★★★





「これが依頼用の薬草、ミレーナ草とレジーナ草ですわ」

「この薬草の効能はかゆみを止めたり、傷口を塞いだりする効果がありますの」

「……向こうの木々の近くで生えている薬草はララ草といって風邪の特効薬とも言われてるのですよ」



 私は順に説明しながら言うと、ゼファーは物覚えがいいらしく頷きながらも新鮮な瞳をしており、とても楽しそうだった。



「他にもこの草原には私がいた国ではない珍しい薬草も沢山ありますの」

「もし、また時間がありましたら一緒に薬草探し……しませんか?」



 その問いかけにゼファーはどこか嬉しそうな表情をし笑顔で頷いた。その後ゼファーは草原にごろんと寝転び、座っている私をみながら聞いてきた。



「クロエはさ、なんでそんなに薬草の知識があるんだ?」



 真剣な瞳で見つめてくるゼファーに、私はカラム様やアル様を思い浮かべながら目を閉じ答える。



「……幼い時、私の命の恩人方が薬草の知識を私に授けてくださったのです」

「その当時の私はどれにも希望も楽しさも見いだせなかったので、とても新鮮で夢中になって聞いてましたの」

「……ですが、私が十二の時にその方々は多忙になってしまい滅多に会えなくなってしまいましたの」



(……今でも覚えてる、頼れる人がいなくなった時)

(私は知識はあっても無力だったこと、その時にシルが義弟になったこと)

(大事な弟のために魔法や剣を独学で学び始めたこと)

(あのクソ親父やバカ王子の元から開放されたかったこと……全てがそこから始まった)

(だけど、アル様やカラム様と出会えたことは私にとって……)

(一生忘れられない出来事だったわ)



 その時だった。頭の上に手が乗る感覚がし、振り向けばゼファーが苦しそうな表情で私をじっと見ては言った。



「……よく耐えたな」



(……なぜだろう)

(ゼファーの言葉は胸の奥がじわりと暖かくなり、同時に胸が苦しくなる)

(泣きそうになる、生きててよかったって思える)

(そう思ってしまうのはなぜなのだろう……)



 目頭が熱くなるのが分かるがぐっと堪え、笑顔でゼファーに言う。



「……ありがとうございます」

「そろそろ行かないと日が暮れますので、ギルドへ向かいましょう」



 私が立ち上がるとゼファーも立ち上がり二人並んでギルドへと向かう。



ここまでの読了お疲れ様でした!

読んでくださり本当にありがたいかぎりです。「こういうキャラ好き!」「この展開アツかった!」などなど……、どんな感想でも大歓迎ですのでもしよければ一言だけでも構いません。気軽に感想やコメントしていただけると作者兼読者としても飛び上がるほど嬉しいです!!


それと強制ではないのですがよかったらブックマークや下の評価、いいねなど押していただくと助かります!無理にとは言わないのでご安心を……閲覧してくださることに意味がありますので気ままに見てくださると嬉しいです!これからもぜひよろしくお願いいたします。


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 もちさん、こんにちは。 「王子の"元"婚約者だった私。追放された先で楽しく冒険者をします! 第11話 大草原で想い馳せる」拝読致しました。  薬草の知識はカラムから。世話好きそうだから、きっと丁寧…
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