第94話 ロコの想い(2)
突然の投稿です(物語完結に向けての)
夕刻頃、あたくしは目の前のソファで座っているリヴィア様にラヴィア様の事の詳細を聞き、だんだんと血の気が引いていくのがわかった。
「……ラヴィア様を連れ去った野郎はどこですの!?」
あたくしがついカッとなって机を叩きながら言ってしまうが、リヴィア様もあたくしと同感なのか穏やかな笑みを浮かべてる人とはまるで別人のような怒りをあらわにした表情をしてあたくしに伝えた。
「サティーニャ嬢のお気持ちはとてもわかりますが、悔しいことにまだ捜査中ですので相手の身元が分かっていません」
淡々と告げる言葉の節々にはどこかトゲがあるようにあたくしは感じたが、リヴィア様も大事なラヴィア様を失くすかもと思ったのだと思えると少しは心が良くなる気がする……。
(……そうよね、まだ捜査中よね)
あたくしはそう、頭では理解するも心はぐちゃぐちゃの感情で蝕まれ、つい強く手のひらを握りしめてしまう。
(あたくしが……あたくしがあの時ラヴィア様と一緒に帰っていれば……!!)
過去は変えられないことはあたくしだって知っているけれど、ひどく胸が苦しくなってしまう。
そんなあたくしの様子に気づいたのか、リヴィア様は今度は優しい声色と瞳であたくしの名を呼び伝える。
「……一刻も早く見つけ次第に国の方で処遇を決めますので、サティーニャ嬢はラヴィアのそばで話し相手になっていただきたいのですが……どうでしょう?」
その提案にあたくしは思わず顔を上げてしまう。
「今回の事件をきっかけにラヴィアは昔のように人を酷く怖がってしまっているんです」
「サティーニャ嬢なら学園での様子をラヴィア自身から伺ってますし、ラヴィアの心の気分転換してくれると信じてます」
「もちろん、無理にとはいいませんよ」
「サティーニャ嬢もお気持ちの整理がありますし、よければの話です」
そう言うリヴィア様の口元を引き攣らせていたが、それを悟られぬよう笑ってるのが見え、あたくしは拳を握りしめながら高らかに伝える。
「ええ!喜んでお受けいたしますわ!」
あたくしがリヴィア様に笑顔で伝えるとリヴィア様は安堵した笑みを浮かべ、いつものような優しい笑みを浮かべてはこれからの事を話してくれた。
――リヴィア様からの提案を受けたあたくしはラヴィア様と一緒にお茶会や談笑などを試みたが……ラヴィア様はあたくしの顔を見るなり気まずそうな、怖がる瞳をしていた。
あたくしは初めてそのラヴィア様と対面した際に、その様子を見て胸が締め付けられ心の奥の奥から、ざらりとする言葉に表せない感情が湧き上がってきたのを、ついぐっと堪えいつものように笑いかけ話そうとしたが、ラヴィア様はどこか信じきれない顔であたくしを見ていた。
だからあたくしはめげずに毎日ラヴィア様の元に通った、少しでも昔みたいに遊べるようになるために……。
★★★★★★
――ラヴィア様が誘拐された事件から二ヶ月近くも経ち、気づけばあたくしは王宮にラヴィア様といるのが当たり前になっていた。
そんな時、ラヴィア様が久々に目を合わせて口を開いた。
「ロコ……ってさ」
「なんで学園休んでまで……その、僕に会いに来てくれ、るの?」
不安そうな瞳であたくしに言うラヴィア様にあたくしは平然を装いながら伝える。
「あたくしはラヴィア様がいるから学園が楽しいのですわ」
「まぁそれに?あたくしの相棒であるラヴィア様を放って学園に行くなんてことは、あたくしの中でありえないですのよ」
「でも、君のお父上は……!」
「ラヴィア様、あたくしが怒られてるのいつものことなのご存知ですわよね?」
「まぁ……うん」
「それに王家の命である提案を無下にするほど、馬鹿では無いと思いますの」
「まぁ、そのせいで厄介なことになりそうなのは重々承知の上ですわ」
「なので、今ラヴィア様はご自身の心配だけしてればいいですのよ」
「何か言われれば魔法使えばいいのでね?」
「それは…!」
「いや、なんでもない……」
「なら次回は気分転換に久々に魔法を使いましょ!」
「まぁ、うん……いいよ」
「なら楽しみにしてますわ!」
あたくしが嬉しそうに次回の約束を取り付けるとラヴィア様は少し回復してきたのか前のように笑ってくださり、あたくしと胸が少し温まる感覚がした。
ここまでの読了お疲れ様でした!
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