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4章 第4話

その頃——

FBI本部の正面駐車場では、別の緊張が張り詰めていた。

例のジープが、無人のまま停められている。

ライアンのチームは、その安全確認のため現場に出ていた。

ルーカス、ダニエル、マーカス。

そして彼らの部下たち。

総勢十五名。

全員が重装備だった。

爆発物処理用の防護スーツ。

全身を覆うプレート。

フェイスシールド。

通常の爆発であれば致命傷を避けられるレベルの装備だ。

さらに後方の十二名も、ただの部下ではない。

ライアンのチームに配属されるほどの人間だ。

実力は十分にある。

隊形は慎重だった。

ルーカス、ダニエル、マーカスの三人が前。

その後ろを囲むように、十二名が展開している。

ゆっくりと、確実に——

ジープへと近づいていく。

誰も口を開かない。

靴底が地面を擦る音だけが、やけに大きく聞こえた。

やがて三人は、ジープのすぐ前まで辿り着いた。

ルーカスが一歩前に出る。

ドアノブへ手を伸ばす。

その瞬間——

コツン。

後頭部に、硬いものが当たった。

一瞬で理解する。

銃口だ。

ルーカスの視線がわずかに動く。

後ろにいるのは——部下たちだけだ。

低い声で言う。

「……何のつもりだ?」

返事はない。

沈黙。

次の瞬間、ルーカスは反射的に動いた。

頭を素早く横へ逸らし、

後頭部に当てられていた“銃口”を外す。

そのまま腕を掴み、捻り上げる。

しかし——

ルーカスの動きが、一瞬止まった。

銃ではない。

握られていたのは拳だった。

拳の先端には、銃口を模した金属製のオブジェが取り付けられている。

完全なフェイントだった。

その瞬間。

別の冷たい感触が、額に触れた。

部下のもう片方の手。

そこに握られていたのは——

リボルバー。

ルーカスの眉間に、銃口が押し当てられている。

一目でわかった。

普通のハンドガンではない。

マグナム。

この防護装備でも、簡単に貫通する威力。

一発でも撃たれれば——

ほぼ確実に死ぬ。

ルーカスの目が周囲を見た。

状況を把握する。

後方の部下たちも、すでに銃を構えていた。

しかも全員——

マグナム弾対応の銃。

ダニエルとマーカスも同じだった。

二人の頭にも、銃口が向けられている。

動けば撃たれる。

逃げ場はない。

ルーカスは理解した。

ここにいる十二人は、全員裏切ったわけではない。

だが——

全員が敵として動いている。

実力差はない。

つまりこれは——

自分一人が、自分と同じ実力の人間十二人と戦うのと同じ状況。

勝ち目は、ほぼゼロだった。

ルーカスはゆっくりと視線を上げた。

そして、周囲の建物を見た。

監視カメラ。

だが——

そのすべてが、この場所から微妙に外れた方向を向いていた。

ここだけが、完全な死角になっている。

つまり。

これは偶然ではない。

最初から仕組まれていた。

ルーカスの額に押し付けられた銃口が、わずかに強くなる。

部下の一人が、静かに言った。

「……動くな」

その声には、感情がなかった。

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