六人目の名前
隼人達は、謎の核心に迫りつつあった。。。
***花子の証言***
隼人は。
部室の違和感から逃れるため。
花子を探した。
山道で。
花子は。
相変わらず。
山を見ていた。
「花子。六人目の児童は誰なんだ?」
隼人が聞いた。
花子は。
長い間。
答えなかった。
ただ。
「もう。言ってもいい頃かもね」
と呟いた。
「名前を」
「篠田」
篠田。
その名前を聞いた瞬間。
隼人は。
部室の名簿で何度も見た。
『消えた名前』が。
突然。
『実在』したように感じた。
「篠田は。どうなったんですか」
花子が答えた。
「事故だったの」
「北側附属棟で」
花子は。
少し間を置いた。
「梁が落ちた」
「篠田は」
隼人が聞いた。
花子はしばらく答えなかった。
「……死んだんだ」
「その後。学校は」
「名前を消したの」
花子が呟いた。
「『篠田は。存在しなかったことにしろ』と」
***音の正体***
「カン……という音は」
隼人が聞いた。
花子が答えた。
「梁が落ちた時の音」
「その時の音。ずっと。繰り返されている」
「北側附属棟。あの場所で」
隼人は。
それ以上。
聞かなかった。
ただ。
花子の言葉だけで。
『昭和三十八年七月一日』が。
『どういう日だったのか』
その輪郭が見えた。
***北側施設***
その夜。
隼人は。
部室の札を。
『全て』剥がした。
北側施設から。
部室から。
校舎中の。
すべての札を。
隆が言った。
「これ。何が起きるんだ? 」
隼人は答えなかった。
ただ。
「行こう」
と言った。
五人は。
北側附属棟の跡へ。
向かった。
第六十八章 昭和五十四年の真相
***花子の記憶***
翌日。
隼人は。
花子から。
昭和五十四年の全てを聞いた。
「昭和五十四年七月一日」
花子が言った。
「あたしたちが学校に来た時。何か違っていた」
「北側施設から。音がした」
「『カン……』という音」
「最初は北側施設から。だんだん近づいてきた」
「あたしたちは思った」
「『何かが。帰ってきた』と」
「篠田が」
「昭和三十八年から。篠田が」
「だから。あたしたちは札を増やした」
花子が言った。
隼人は。
『思った』という言葉に。
引っかかった。
「本当に。篠田さんだったのか?」
隼人が聞いた。
花子は答えなかった。
長い間。
沈黙が続いた。
「……分からないわ」
花子がようやく呟いた。
「本当のことは。誰も分からないわ」
「だけど。あたしたちは。そう思ったんだ」
「『篠田が帰ってきた』と」
「『札で止めなくてはいけない』と」
「だから。札を増やした」
隼人は。
その曖昧さの中に。
真実があるような気がした。
昭和五十四年の人たちも。
本当のことなんて。
理解していなかったのだ。
ただ。
『何かがおかしい』と感じ。
『何かを止めなくてはいけない』と思い。
札を増やしたのだ。
***札が失われた理由***
隼人は気づいた。
「でも。今。札が消えた」
「新聞部が。北側施設を調査した」
「そして。記録から篠田を見つけた」
「札が失われた」
「だから。篠田さんが。再び現れはじめたんだ」
隼人が言った。
花子が答えた。
「『篠田は。消されたままでいい』と。昭和五十四年の人たちは決めた」
「『存在を認めてはいけない』と」
「『見つけてはいけない』と」
「『名前を呼んではいけない』と」
「だが。お前たちは。『篠田』を見つけた」
「『篠田』という名前を。見つけた」
「『篠田』の存在を。認識した」
「だから。札は。機能しなくなった」
隼人は。
その『真相』が。
何を意味するのか。
理解した。
昭和三十八年。
学校の不備による事故で。
篠田は死んだ。
学校はそれを隠した。
昭和五十四年。
篠田が何らかの形で帰ろうとした。
学校はそれを。
『札』で防いだ。
『記録から消す』ことで。
『存在しないもの』にすることで。
だが。
『現在』。
隼人たちが『篠田』を見つけた。
『篠田』という名前を呼んだ。
『篠田』の存在を認めた。
ならば。
昭和五十四年の『札』は。
もう。
機能しないのだ。
***五人***
隼人は。
部室の五人を思い出した。
昭和三十八年。
児童は。
『五人』だった。
昭和五十四年。
札を増やした人たちは。
『五人』だったのだろう。
そして。
現在。
隼人たちも。
『五人』だ。
「偶然なのか?」
隼人が花子に聞いた。
花子は答えなかった。
ただ。
「分からないわ」
と呟いた。
「だけど。篠田を見つけたのは。お前たち五人よ」
「見つけたら。どうするんだ?」
隼人が聞いた。
花子が答えた。
「知らないわ。でも。誰かが。見つけなくちゃならなかったんだ」
「篠田を。『消された存在』のまま。放っておくわけにはいかなかった」
花子が言った。
「だから。お前たちが。『五人』なんでしょ?」
篠田が本当に霊だったのか確定しない
昭和五十四年の人たちも真相を完全には理解していなかった
「五人」という共通点は偶然か必然か不明確なまま
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