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新霊体験隊  作者: waku


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次の謎

 隼人達は、音楽室の謎が解決し、瑞希に起きた出来事を報告した。

*** 瑞希への報告***


 翌日の放課後、部室に瑞希が顔を出した。


「聞いたわよ、音楽室の話」


 瑞希は嬉しそうに微笑んだ。


「健一さんから聞いたの?」


 隼人が尋ねる。


「ええ。みんなだけで無事に解決したんですって?」


「はい」


 隼人が少し誇らしげに頷いた。


「田中由美さんっていう、昔の生徒さんの霊で……音楽祭に出られなかったことが心残りだったみたいです」


 隼人はこれまでの経緯を、一つ一つ丁寧に説明した。


 瑞希は静かに耳を傾けていた。


「隼人君、ピアノ弾けたのね」


 瑞希が感心したように言う。


「昔、少しだけ習ってて……役に立ってよかったです」


「みんなの力で、成し遂げたのね」


 瑞希は五人を見渡した。


「本当に成長したわ」


***頼もしさ***


「これからも、こういう風に俺たちだけで対応できることが増えるといいですね」


 隼人が言った。


「そうね」


 瑞希は頷いた。


「でも無理はしないで。危険を感じたら、いつでも頼ってちょうだい」


「はい」


 美優が答える。


「私たちも瑞希さんに頼ってばかりじゃいられないので」


 夕子が続けた。


「今回はいい経験になりました」


 瑞希は優しく微笑んだ。


「そう言えば」


 瑞希が思い出したように話題を変えた。


「最近、庭綺麗になったわね」


「葵さんに手伝ってもらったんです」


 美優が嬉しそうに言う。


「花壇まで作ったんですよ」


「今度、見せてもらおうかしら」


***花壇にて***


 放課後、瑞希は皆と一緒に庭へ出た。


「わぁ、本当に綺麗」


 瑞希が花壇を見て目を輝かせる。


「マリーゴールドとペチュニアです」


 美優が説明する。


「葵さんが教えてくれて」


「いい仲間が増えたのね」


 瑞希が微笑んだ。


 ちょうどその時、葵が水やりのために姿を現した。


「あ、瑞希さん」


 葵が少し緊張した様子で頭を下げる。


「初めまして」


「よろしくね」


 瑞希が優しく挨拶を返した。


「いつも庭のこと、ありがとう」


「いえ、こちらこそ」


 葵がはにかむように笑った。


***夕暮れの空***


 庭から部室へ戻る途中、隼人はふと立ち止まり、夕日を見上げた。


「由美さんも今頃、どこかで笑ってるかな」


 隼人が、ぽつりと呟いた。


「きっと最後まで弾いてるよ」


 美優が優しく答えた。


 しばらく、誰も、何も言わなかった。


 だが、その、沈黙は、少しも、重くはなかった。


***ふとした違和感***


 夕方、皆で庭を眺めながら談笑していた時だった。


「そう言えば」


 隆がふと思い出したように言った。


「あの、日直の件、あれからどうなったんだっけ」


 その一言に、部室に微妙な沈黙が流れた。


「そう言えば……」


 夕子が考え込むように腕を組んだ。


「あれから、しばらく注意して見てたけど」


「うん」


 美優が続ける。


「音楽室のことで忙しくて……最近は確認してなかったかも」


「気になるな」


 隼人が呟いた。


「今度、もう一度調べてみよう」


 誰もそれ以上深くは話さなかった。


 庭の花が夕日を浴びて静かに揺れている。


 だが、その穏やかな時間の少し先――。


 その頃、職員室。


 誰も見ていない学級日誌のページが、風もないのにゆっくりとめくれた。


 次の日の日直欄には――。


 誰の名前も書かれていなかった。


 誰もまだ、その異変に気づいてはいなかった。



*** 再び調査へ***


 放課後、部室に集まった五人は、改めて日直の件について話し合っていた。


「前回は証拠が掴めなかった」


 夕子が資料を広げながら言う。


「今度はもっときちんと記録を残そう」


「カメラとボイスレコーダー、両方用意しよう」


 隆が提案した。


「音楽室の時みたいに、後から聞き返せば何か分かるかもしれない」


「日付はいつになりそう」


 美優が尋ねる。


 夕子はこれまでの記録を指で辿った。


「多分、来週の水曜日」


「よし」


 隼人が頷いた。


「今度こそしっかり調べよう」


***事前準備***


「今回は教室に機材を仕掛けておく」


 隆が説明した。


「カメラは黒板の上あたりに。ボイスレコーダーは教卓の引き出しに」


「先生に見つからないかしら」


 美優が心配そうに言う。


「そこは慎重にやらないと」


 夕子が答えた。


「放課後、誰もいない時間を狙おう」


 その日の放課後、五人は対象の教室、一年三組にこっそりと機材を設置した。


「これで準備完了」


 隆が満足そうに言った。


「あとは当日を待つだけだな」


 秀が腕を組んだ。


***当日***


 水曜日の朝。


 いつも通りの朝のホームルームが始まった。


「今日の日直は……」


 担任の先生が日誌を確認しながら言った。


「あれ」


 先生は少し首を傾げた。


「日直、誰だったかな」


 クラス中が、なんとなくそわそわし始めた。


「先生、当番表見てください」


 誰かが声を上げる。


 先生が掲示板の当番表を確認する。


「……あれ、今日の欄が空いてるな」


 教室に微妙な空気が流れた。


「まあ、いいか。誰か代わりにやってくれ」


 先生はそう言うと、あっさりと話題を変えた。


「今、日直の話してたよな……?」


 教室の隅で、隼人が小さく隣の秀に囁いた。


「うん、確かに」


 秀も頷く。


 だが五分も経たないうちに、その話題はまるで初めからなかったかのように忘れ去られていった。


***放課後の確認***


 放課後、隼人たちは急いで機材を回収した。


「録れてるか」


 秀が身を乗り出す。


「確認してみよう」


 隆がカメラの映像を再生し始めた。


 教室の様子が淡々と映し出されていく。


 朝のホームルーム。


 授業。


 休み時間。


 特に変わった様子はなかった。


「これといって何も映ってないな」


 秀が少し拍子抜けした様子で言う。


「音声の方も確認しよう」


 夕子が言った。


***録音の中に***


 隆がボイスレコーダーを再生する。


 教室の雑踏。


 生徒たちの笑い声。


 先生の声。


 どれも普通の一日の音だった。


 だが朝のホームルームの部分――。


 「今日の日直は……」


 という先生の声の直後。


 一瞬だけノイズが走った。


 ザザッ、という短い雑音。


「今の……」


 美優が身を固くする。


 隆がその部分を何度も再生し直した。


 ノイズの中に――。


 かすかに何かの声のようなものが混ざっている気がした。


「聞き取れるか」


 隼人が尋ねる。


「ボリューム上げてみる」


 隆が慎重に音量を調整した。


 もう一度再生する。


 ザザッ、という雑音の中――。


 ――……ワタシ……


 という、か細い声が確かに聞こえた。


「今、聞こえた」


 夕子が震える声で言った。


「私……?」


 美優が繰り返す。


「誰かが何かを言おうとしてる……」


***新たな手がかり***


「これ、はっきりさせないと」


 隼人が真剣な表情で言った。


「でも、この声だけじゃ誰なのか分からないな」


 秀が腕を組む。


「音楽祭みたいに、名前を特定できればいいんだけど」


「今度は古い生徒名簿とか、探してみましょう」


 夕子が提案した。


「もしかしたら、この現象にも何か共通点があるかもしれない」


「共通点……?」


 隼人が繰り返す。


「例えば、特定の生徒とか、特定の出来事とか」


 夕子は静かに続けた。


「音楽室の由美さんの時みたいに」


 誰もまだ、その答えには辿り着いていなかった。


 だが確かに何かが――。


 この学校の記録から、静かに消され続けている。


 その事実だけは、はっきりとしていた。

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