天啓の病
また長い
前回のダイジェスト 本筋にほとんど関係なし 以上!
「…ところで、どうしてこの指輪を買わせたのですか」
「そりゃ君にあげる為じゃないか。…おそらく、根本的な問題には何の役にも立たんだろうが、気休め程度にはなるんじゃないか?」
…シリウスさん。惚れてしまうやん。
「なんだ。あんた魔法使いなんか?」
「…一応そうですね。本職とかではないですけど」
「なるほどな。まあ、あんたも運がいいな。おそらく奇石はしばらくの間は値上がり続けるだろうし、値段が落ち着くそぶりも見せてないからな。この調子だと今月末には価格が2倍になりそうだぜ」
「だが、最近新たな鉱山が見つかったのでは?」
「そうなんだが、なぜかそれでも流通量が全く増えん。この調子じゃ裏で大きな何かが動いてるのは明確だな。まあ、真相を突き止めようとも思わんが…」
少し話がそれてしまったが、再び目的の考古学者のもとに向かう。1時間ほど歩くと、海の近くにある大きな屋敷に前についた。屋敷の使用人と思われる人が、近づき、
「要件はなんでしょうか?」
「ロージア・メディカだ。ホル様に用があって会いに来た。通してくれんか」
「少々お待ちください」
使用人は屋敷の中へと入っていった。しばらくしたのち、
「お入りください。ホル様は研究室におられます。ご案内いたしましょうか?」
「必要ない。場所は覚えているから」
俺たちはメディカを先頭に屋敷に入る。屋敷の中は…きれいだった。きれいなのだが…なぜか玄関と思われるところにも大量の本棚が置かれていた。そして、研究室まで行く途中の廊下にもところどころ、よくわからない資料やメモ書きが張られていた。やがて、一つの部屋の前についた。やや黒みがかった両開きのドアには『研究室』の文字。メディカはこの荘厳な雰囲気を一切気にせず
「たーのもー!」
とドアを開けた。さすがにこれにはシリウスも俺も驚き、呆然と立ち尽くしていた。中には小さいが頭が禿かけで、白髪の人が一人座っていた。
「…メディカか。随分と珍しい客だな。いったい老いぼれに何の用じゃ?」
「少し聞きたいことがあってな。あーたが一番詳しいだろうからな」
老人は読んでいた本を閉じ尋ねる。
「医療でわしが一番詳しいこと?そんなもんがあるか?」
「…α病。通称は天啓ノ病。それについて。私は聞きたい」
すると、ホルと呼ばれるおじいさんは目を大きく見開いて、メディカのほうを向き
「あんたからそんなことを聞かれるとはな。どういった風の吹き回しだ?」
「…ここにな。その病に罹ったと思われる患者がいるんだ」
ホルは立ち上がり、ゆったりとした速度で震えながら近寄る。
「…見かけは、普通の少年だな。だが、あんたがそういうってことは…」
「こいつはシルヴァニア家の子だ。魔法の名門のな。もちろんこいつの魔法の素質は一般人と比べるとけた違いだ。それだけでなく同じシルヴァニア家の中でも飛びぬけてるそうだ。おそらく過去を振り返ってもこいつを超える奴はいない」
「それとこいつは生まれながらに病弱だった。つまり天啓の病に罹ってもおかしくない」
「…話を遮るようで悪いが。天啓の病とはなんだ?」
天啓の病。古代からあったとされている。天啓の病はとても弱く、ほとんどの人間は病気に罹らない。しかし、病弱な人間には極まれに罹る人間がいた。天啓の病に罹ったものは魔法の才能を目覚めさせると今は言われている。だが、かつては医学もなければ魔法もない。そのため、人々はこれを『天啓』とした。そこから天啓の病とされた。歴史に残る才能を持ったり、神話として受け継がれるような人間はこの病のかつての感染者と本当に一部の人間は思っている。(読者の世界で分かりやすく例えるならナポレオンやモーセとかである)
ただし、医学等が発達した現代で正式に天啓の病は発見されていない。そのため、ほとんどの人間は『天啓の病は神話などを正当化するための幻の病』と認識するようになりいつしか『天啓の病』の名前は忘れ去られていった。そこに、200年前の魔法使いの発見である。天啓の病にかからずとも魔法が使えることが決定的な事実となり、天啓の病の存在はいよいよ消えた。
「とまあ、こんな感じだ。そして、メディカ。残念だがわしもこの程度しか知らん。そもそも、古代に医学や化学など存在しないからな。きちんとした記録など見たことないしおそらく存在もせんだろうな」
「いや、それでもいい。『何も知らない』ことが分かっただけで十分な成果だ。それと、もう一つ聞きたいことがある」
「今までに魔法を使うと発作のような症状がおこる病気なんて聞いたことがあるか?」
「…なんだそれは?そんなの初耳だ。…それはそうとな、何度も言ってるだろ?魔法が正式に発見されたのは200年前からだと。それより以前に求めてる資料はないぞ」
「一つ思ったのさ。天啓の病の感染者が同時にこの病の感染者と考えたら、才能の持ち主が早死にしやすいことに納得できんか?」
「…どうだろうな。そもそも才能の持ち主が早死にしやすいという相関関係すら曖昧だからな。何をもって『才能がある』とみなすかが問題だ。そう簡単に納得はできん。まあ、面白そうだから少々調べてみる。また、訪ねに来い」
「助かるよ。ただ、しばらくは戻ってこれんけどな」
そう言って俺たちはお礼を言い部屋を出ようとしたが、
「…メディカ、少し内密に話がある。少し残ってくれんか?」
と老人はメディカを引き留めるのであった。
次回、メディカの思惑が明らかに!?
それと前回年齢の表記をし忘れたと書きましたが、書いてました…年齢は15です。申し訳ございません…




