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あなたの慈愛とともに  作者: りんた
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黒木淳の転移4 異世界へ

いよいよ物語へ入っていきます!

そよそよそよ…風で何かがざわめく音が聞こえる。


淳「はっ!?」


目覚めて起き上がろうと足元に手を触れると、カサッと音がした。見ると緑色の葉っぱだ。また、周りを見渡すと高い木々が生い茂ってあちこちに太陽の光が差し込んでいた。


 淳「ここどこだ…?あっ…!?」

 

 「ホントだったんだ」

今までの出来事が思い返される。


リリスの言葉も。


俺は精一杯生きます。色々な人を助けてみせます!


立ち上がって辺りをうろついて見るが、あることに気付いた。腰にある違和感と草は生えているが比較的整えられている道にいたことだ。


誰かがここにいるのだろうか。


腰の長い棒に触れてみる。


「これ剣か…」


スラッと抜いてみる。黒く輝き手首から肘くらいの刃渡りの剣だ。両方に刃が付いている。怖い。とりあえずはしまっておこう…

 

…歩こう。


 「…嫌な空気」


歩きながらそう思った。奇妙な息苦しさと、木々に見られているような嫌な感覚。おぞましい生命力を感じる。


「うわっ何だこれ気持ち悪…」


木々が絡み合い歪んでいるところがあり、そこに古ぼけた小動物の骨がいくつも埋め込まれていた。人為的なものではなく、自然に取り込まれたものだと分かる。紫色の気持ち悪いキノコが群生しているところもあった。


 「どうなってんだ…」


気味悪く思いながらも進んでいくと大きな河原に出た。奥の方は霧が立ち込めている。流れの方に近づいた。


  「水だ」


非常に透明で顔が映っていた。ゴクリッと唾を飲み込む。かなり歩いて喉が乾いている。しかしふと思い出した。魚とかは見当たらない。

 

  「…確か川とかの水は寄生虫が大量にいて煮沸消毒しないと飲めないはず…でも喉乾いたし。うーん」


そうやって逡巡していると。


ザバババ…その時霧が立ち込めている方で川の流れの音ではない、何かが水面から出るような音が聞こえた。

   

  「!?」


慌ててかなり後ろに下がり剣をゆっくりと抜く。霧で何も見えないところから聞こえた。水が水面に垂れる音が聞こえる。


…何かが水面を泳ぎこっちに向かっている。ばちゃっと水面から上がる音がした。


  (魚…?いや少なくとも人くらいの大きさはある)


心臓がバクバクしている。もしかしたら戦うことになるのかもしれない。


  ??「うふふふふふふふ」


    (女の笑い声…?人?)


    「俺は怪しいものじゃありません!俺は…」


ぴちゃっぴちゃ…姿は見えないが水を垂らしながらすたすたとこちらに向かっているのは分かる。


人なんでしょ?その笑い声は怖がらないでって意味だろう?剣をしまう。


   ??「ふひゃやははひゃひゃはやはは」


今度は野太い男のような笑い声になり霧から声の主が見えた。淳との距離は7メートルほどだ。


声の主は金髪の女だった…それは一目で分かったのだが、全身に赤く汚らしい肉腫を抱え足や腕に何かの枝を生やしていた。眼はなかった。明らかにやばいものだった


    (…やばいやばいやばい)


本能で危機を悟り全力で森の方へ走る。


キイイイイイン…後ろで何かが溜まるような音が聞こえる。淳は後ろをチラッと見ると金髪の女が手をこちらに向けていた。


   「…なんだ?あっ」


コケッ…足元への注意をおろそかにし淳は石につまづいた。顔面から地面に向かって勢いよく倒れそうになる。


あわてて体を勢いよく空中でひねり、背中から河原に倒れて衝撃を相殺した。しかし痛い。


「ぐふう…」


が、そんなこと気にしている暇はなかった。


頭の上を何か鋭いものが横切り木に当たって凄まじい音を響かせた。木が正面からこっちに倒れてくる。


 「は!?」


一瞬頭が真っ白になるが慌てて横に飛び起き避ける。ドーンと凄まじい音が響く。木片が散る。体は痛いがむち打ち動く。


 「逃げなきゃ…っつ!?」


ガシッ


 「ひひひふひゃ!」


いつの間にか距離を詰められており片足をつかまれた…何つー力だ!!


 「ぐ!?離せ離せ…このっ…化け物!」


 ??「フゴッ」


力を込め顔の肉腫を思い切り蹴りつけた。ただ体勢的にあまり力は入らなかった…


ぶっちぶち…汚い音を立て河原に膿のようなものが垂れる。しかし、化け物は力を込めて淳を近くの木に回転させて投げ飛ばした。


   「つあああ!?」

 

グルグルと視界が回り一定の方向に自分の体が飛ぶ。2秒ほどの浮遊感。


奇跡的に頭から木には当たらなかったが…


ゴッ!木に背中を激しく打ち付け、呼吸が一瞬完全に止まった。


??「ひひひひひひ」


気持ち悪い声で怪物は笑う。


  「ぐはっ…がはっ…」


木の側面から地面にドサリッと落ちて血を吐き出した。体がもぞもぞとしか動かなくなってしまっており、全く立ち上がれない。骨は完全にバキバキだ。


キイイイイイン・・・・また何かが溜まる音が聞こえる。なんとか状況を把握しようと女の手元を見るとようやくわかった。


どんな原理かは全く分からないが、こいつは水を空中で固めていた。それをカッター状にして放っていたのだ。


もはや痛みはない…意識が遠のきそうだ。繰り返し景色が歪む。


本能で分かる。…これは死だ。死が目に迫ってきているのだ。


死ぬ…ここで俺は死ぬのか…!?

     

    「ぶふっ…」


また血を吐いた。しかし淳はヨロヨロと立ち上がって剣を抜いた。


     「違う…!!」


淳の体に黒い光が生まれる。またまた本能で分かった。


殺しはしない…!だがぶっ飛ばす!!


体に使い方は染み込んでいた。


手に幾何学模様が浮かぶ。さらにその先に黒い雷が光る。


黒い太陽のようなものが形を成した。


化け物に向かって勢いよく走り出す。


「喰らえ!」


無音でそれは飛んできた。死ぬ瞬間だからだろうか。とてつもなくスローモーションに見えた。


今にも当たる瞬間。見えない透明な壁のようなものが発生し、飛んできた水圧カッターを防いだ。


 ??「ははは…?」


化け物女が戸惑う。


 ザッザッ…知らない足音が聞こえ淳の右後ろに黒く長い服をまとった女が立っていた。


  ???「生きてる?…あらららこれは重症ね、喋らない方がいいわよ」


     「う…あ」


  ???「この私、フェルムに任せなさい」


黒服の女フェルムは優しそうな声で淳にそう言った。豊かな金髪を持つ美しい女性だ。


その女はスラッと長剣を引き抜くと悲しそうにつぶやいた。


 フェルム「…アイリス。5年ぶりね、…もうおやすみ」


そう言うとフェルムはいつのまにか化け物女の背後におり、剣をしまった。


 途端に化け物女の首がドシャッと地面に落ちて体も横に倒れた。


      (…駄目だもう)


淳の意識はそこで途絶えた。







  


  




     


  


  



  









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