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真珠湾:一九四一  作者: Evan Guo


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第九章 七月二日御前会議

第九章 七月二日御前会議


一九四一年七月二日、東京、宮内府。


この日、天皇は一言も発せられなかった。


それが御前会議の定められた形式である――天皇は出席し、各方面の陳述を静かに聴き、沈黙をもって承認の意を示す。直接的な意見表明や、決定形成への介入はなされず、会議の終結時に、すでに形成された決定を受け入れるのみであった。憲政の枠組みは、天皇のご意思と国家の権力機構とを明確に切り分けていた。その切断は手続き上は精緻であったが、心理的には決して単純なものではなかった。


この日の会議で、一つの文書が採択された。その名は「帝国国策遂行要領」七月版――二か月後に有名となる九月版とは異なり、これは七月のものである。その内容は、帝国は南進を決定し、独ソ戦の趨勢が見極められるまでソ連に対しては行動を控えること、南進にあたっては南部仏印への進駐を完了し、英米蘭との戦闘に備えるが、英米蘭への宣戦の最終決定は未だ下さない、というものであった。


要するに、この日の決定は南進であった。揺るぎないものとなった。


---


この決定は、内部で数週間にわたる議論を経ていた。論点の軸は南進か北進かであった。


松岡洋右はその間、北進を高らかに主張し続けていた。ドイツはすでにソ連に攻め入り、ソ連が内外から圧迫されている今こそシベリアを奪取する好機であり、それこそが日独伊三国同盟の精神に適う行動であり、帝国にとって真の戦略的好機であると。彼は閣議の場で何度も発言し、声高に、確信をもって、彼特有のすべてを演説に変える語り口で、北進こそが自明の正解であるかのように語った。


だが、参謀本部の主流意見は、すでに一年前から南方にあった。南方には石油があり、ゴムがあり、錫があり、帝国の工業機械が必要とする原材料がある。対してソ連側には何があるのか――広大な凍土は、帝国の資源を消耗させるだけであり、たとえ占領しても維持できず、石油も得られない。


この日、天皇は一言も発せられず、会議は粛々と手続き通りに進み、南進の決定は討議の一選択肢から正式な政策へと変わった。


---


その決定は、当日深夜、外務省から駐米大使野村吉三郎に通報電が送られた。電報には、内閣が正式に南進方針を決定したこと、駐米大使館は引き続き外交ルートを維持しつつ、米国側の南方における日本の動きへの反応に注意するよう記されていた。


この電報は「紫暗号」で暗号化され、米国情報機関の受信局で傍受され、翌日には解読された。


ハルはその電報の英訳解読版を目にし、その傍らに万年筆で印をつけた。何のコメントも残さなかった。


その印は、ひとつの疑問符であった。


「これは何か」という意味の疑問符ではなく、「この事態の次は何か、次に自分は何をすべきか」という疑問符である。ハルは問題を仕事に変える人物であり、感嘆はせず、印をつけ、次の書類へと手を伸ばした。


---


その日の御前会議が終わった後、東條英機は廊下で近衛文麿と出会った。


二人は十歩ほど並んで歩き、互いに言葉を交わさなかった。やがて近衛が立ち止まり、東條に一言だけ語りかけた――「この道を進めば、どこへ行くか分かっているのか?」


東條は少し考えて、「分かっている」と答えた。


近衛は言った。「それなら……」


東條は、「ならば進む」と答えた。


二人は廊下で別れ、それぞれの車に乗り込んだ。そのやり取りは、いかなる公式記録にも残されていない――ただ廊下で交わされた数語に過ぎず、近衛が後に自らの記録に記したのみで、東條は何も書き残さなかった。


だが、その短い対話の論理は、その年を動かしていた機械の小さな断面のようでもあった――分かっている、そして進む。


---


七月二日というその日は、歴史家にとって重みを持つ――それは、誰か一人の鉛筆の線でも、一人の首相の個人的判断でもなく、日本という全体が、国策の手続きによって一つの方向を決した日であった。その方向の後の一歩一歩は、この日にすでに軌跡を描いていた。


その軌跡は南方へと伸び、蘭印の油田へ、米英蘭との戦争準備へ、十一月二十六日に出撃する機動部隊へ、そして一九四一年十二月七日早朝、北太平洋に集結した百八十三機の航空機へと続いていく。


その軌跡は、七月二日には一本の鉛筆の線であった。


十二月七日には、爆弾と魚雷となった。


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