第三十章 十二月一日
第三十章 十二月一日
一九四一年十二月一日、東京、宮内府。
御前会議の招集令は前夜に発せられた。
これは一九四一年最後の重大な御前会議であり、また一連の会議の中でも最も決定的なものであった――その任務は、開戦を正式に承認し、日程を確定し、これまで手続き的な未完のまま宙に浮いていた決定を、現実のものとすることにあった。
会議室の椅子はいつものように配置されていた。天皇が中央に座し、首相東條英機が天皇に最も近い席に、その後に各軍参謀首脳と閣僚が続く。この配置は席次と発言順を定めており、誰もが自分の位置を知り、何を語るべきか、どこで止めるべきかを心得ていた。
裕仁のその日の様子は、会議記録や数人の参加者の後年の回想によれば、沈黙し、集中していた。その沈黙はこの部屋では異常ではなかったが、何か重みがあり、出席者全員がそれを感じ取っていた。
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その御前会議の進行は定型であった。各方面からの報告、質疑応答、最後に首相が天皇に承認を請う。
陸軍参謀総長杉山元は開戦準備の状況を報告した。簡潔に、数字を挙げ、各項目は予定通りであった。海軍軍令部総長永野修身は第一機動部隊の位置と状況を報告した――彼は暗号を用いたが、出席者全員がその意味を理解していた。すなわち、艦隊は進発し、目標に接近しているということだった。
外相東郷の報告は、この会議で最も複雑な言い回しとなった。彼はハル・ノートに至るまでの外交経路の状況を述べ、交渉の余地はすでに尽き、断交文書が起草中であり、適切な時機に米側へ提出されることを説明した。「適切な時機」という言葉で一瞬言葉を止め、続けてこう述べた。外交儀礼上、断交通知は軍事行動開始前に相手側へ届けるべきであり、宣戦の手続きが国際慣例に則るよう配慮すべきであると。
東條は言った。「断交文書は作戦開始三十分前に届ける。時間調整はすでに整っている。」
東郷は応じた。「三十分前というのは実際の執行上、困難が伴う。大使館での暗号解読、翻訳、タイプ打ちが必要となるためだ……」
東條は言った。「そのような細部は、きちんと処理される。」
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天皇はこの会議で、報告の段階では発言せず、九月六日のように明治天皇の御製を朗読することもなかった。ただ、各方面の報告が終わった後、例のごとく承認の意を示した。
その承認は言葉ではなく、沈黙であり、憲政体制下で認可を意味する特有の所作であった。出席者はその意味を読み取り、会議は散会となった。
東條は会議終了後、宮内府の門前に立ち、車を待った。
十二月初旬の東京、黄昏の空気にはすでに冬の気配があり、風には乾いた硬質な感触があった。彼はコートの襟を立て、無言のまま、車が到着するのを待ち、乗り込み、去った。
この御前会議は、彼が首相として担った職務の中で最も重要なものであり、彼の意識の中では「完遂すべき事柄」であった。完遂すれば、次の事柄へ進む。彼は感傷的な逡巡をしない。もとより、そうした逡巡をする人間ではなかった。
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その夜、東京の街頭で、人々は何が起きたのかを知らなかった。
新聞には通常のニュースが載り、ラジオからはいつもの番組が流れ、街灯が夜を照らし、歩道には子供の手を引いて帰る者、露店の前で足を止める者、路地から自転車で現れる者がいた。その中には、戦争が近いことを感じている者もいた――政府が想定するより多くの者が、だがその知り方は漠然とした感覚であり、事実として把握しているわけではなかった。
その感覚はこうだった。東南アジアで戦闘が続き、石油問題は深刻化し、新聞の語調は日に日に緊迫し、近所の子供がどこかへ出征した――そうした兆候が重なり合い、何とも言えぬ不安を抱かせるが、その不安と確かな情報との間には距離があり、大多数はその距離の中でそれぞれの生活を続けていた。生活は、その距離が埋まるのを待って止まるものではなかった。
その数日間、永井荷風という作家が日記に数行を記した。天気のこと、食べたもの、新聞で読んだ議論のこと。
彼は宮内府で何があったか知らなかった。ただ、東京の冬が冷え込んできたことだけは知っていた。
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この御前会議は、長らく宙に浮いていた決定を現実のものとした。
その「現実」となった正確な瞬間がいつか――御前会議の承認手続き、以前の連絡会議の決定、企画院の報告、『帝国国策遂行要領』、そのどの段階が真の「不可逆」な節目だったのか――歴史家の間で今も議論が続いている。その問いは分析上意味を持つ。もし「不可逆」の瞬間を特定できれば、そこに至る前に別の道があり得たのかを問うことができるからだ。
だが、十二月一日、宮内府を出た東條英機にとって、その問いは意味を持たなかった。彼にとって、その事柄は「可逆」か「不可逆」かという形で考えられたことはなく、ただ道があり、その道を進むだけだった。
その道は、六日後、ハワイ時間十二月七日未明、最初の終着点に至ることとなる。




