シロとクロ
近くで人がいない空間があることに気づき、戦闘があったことを察したモモはたまたま一緒にいたトウマと一緒に様子を見るために近くまでやって来た
そこには黒焦げのパワードスーツ男、八つ裂きにされた死体と遠くに耳と腕と脇腹のない死体
そして首のない死体とその死体を抱きかかえて放心状態の新入り、クロハ
「ひえっ」
トウマは死体を見ることには慣れているが、体中を返り血で染めた男が首なし死体のもうない頭をずっと撫でている光景は非常に不気味でおぞましかった
「プラチナスターの武器を持った死体が三人と新入りが大事そうに抱えている女の子の死体・・・なんとなく何が起こったかはわかるわね・・・」
「新入り、何が起こったか説明しなさい」
「・・・・・・・・・・・・・・」
一切反応しないので
バシンッ、ビンタした
「何が起こったか説明しなさい」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
顔面を蹴った
「何が起こったか説明しなさい」
「ふたりが・・・たたかって・・・おとのしないやつが・・・あんなを・・・こおろして・・・あ、ああ、ああ、あ」
文脈も活舌も滅茶苦茶だが、言いたいことはわかった
「なるほどね、じゃああの三人はお前が殺したの?」
コクリ、とうなずく
実際は一人自滅がいる
「よし、死体の処理はほかの奴に任せるからあんた達、帰るわよ」
「おう、分かった」
「・・・・・・・・・」
「新入り、お前も帰るわよ、その死体は置いておきなさい」
「・・・・・・・・・・」
反応しない
「ほら、立って」
トウマは優しいので手を差し伸べてくれる
「・・・・・・・・・・」
それでも反応しない
「おい新入り、いいこと教えてやる、お前が大事そうに抱えているそれはなあ、ただの肉塊なんだよ、もうお前のガールフレンドじゃあない。おしゃべりも出来ないしキスもできないしセックスも出来ねえ、お人形と一緒なんだよ」
「モモ!言い過ぎだ!」
「こんくらい言わねえと!どいつもこいつも亡霊ばっか追いかけていくんだよ!」
そう怒鳴るとクロハの抱えている死体を蹴っ飛ばす
「モモ!」
「お前ええええええええええええええ」
「おー、よく吠えるな、その辺の奴らを殺した時もそうやってみっともなくわめいてぶっ殺したのかな?」
「モモ、それ以上言うことは俺が許さない」
「うっせえ黙ってろ」
緑色の三角錐で殴る(モモの能力、詳しくはまたの機会に)
(モモの野郎・・・本気で殴りやがった・・・)
モモという女は普段は大人しいが時々手が付けられなくなる、その時々とは・・・
「おい新入り、お前の目の前にある巨大生ハンバーグはなんでこんなにぐちゃぐちゃなんだ?」
「・・・・・・・・・」
「会話しろ」
髪の毛をつかみグルグルする
「あ、アンナを、僕の友人を殺したから、許せなくて・・・」
この死体だけ明らかに人の形をなしてなく、ゲル状になっていることからモモもなんとなく理解していた筈だ、しかしあえて本人の口から言わせたかったのだろう
その時の気持ちを思い出させるために・・・
「いいか、よーく聞け、お前がやったことはそこの奴らと同じだ、クソだ」
「何でだ!あんな殺人鬼死んで当然だ!殺すしかないだろ!!!」
「お前は自分の気持ちを発散するために殺した、自己満足のオナニーだ、死体に興奮する快楽殺人鬼だ」
この言葉によってクロハの中の何かが切れた、この女の言葉をもう聞きたくなかった、口を封じたかった、この女を排除したかった
気付いたらギブミーメタファーはもう殴りかかろうとしていた
しかしギブミーメタファーはモモの出した三角形に捕らえられてしまい
その三角で思いっきり殴られた
「お前は言ったな、『アンナを殺したやつを許せなくて殺した』と、なぜこう思わなかった?『こんな殺人鬼を放っておいたら他の能力者たちが危ない』と」
そうだ・・・モモは自分の感情のままに殺す仲間を絶対に許さない、それはかつて自分も同じ過ちを犯したか。そうだ、今まで言っていること全部モモがかつて先生に言われていたことそのままじゃないか。
「ごめんなさい言い過ぎたわ、でもこれが私の伝えたかったこと。君のやったことはあたしたちにとってまぎれもなくプラスになること、でもあたしたちはクロになってはいけない、いつでも正しいことのシロの中にいなくてはならないの」
「・・・・・・・・・・・・・」
「あたし帰るわ、トウマ、新入りをよろしく」
「おい、お前・・・」
「とりあえず・・・その返り血隠せる物なんか持ってないか?」
僕はギブミーメタファーをフードのようにして着る
「おお、便利な能力だな、歩けるか?」
しっかり立ち上がり、歩き出す
「あのな、モモ、あんなこと言ってたけどあんなことを言うのは仲間と認めたやつだけだから、その、お前のことが嫌いなんじゃあなくて、あーなんて言ったらいいんだろう」
「・・・・・僕、まだ自分の気持ちに整理ついてないですけど、僕あの時、誰かを守るためになんて考えてなくて相手を殺すために能力を使っていました、僕が間違っていたことはなんとなく分かります・・・」
「お前・・・」
思い出したのは俺とモモともう一人いた友達のことだ、悪い能力者との戦闘で死んだ、その時モモは今までにない位ぶち切れて最終的にミンチにした、そのあと先生にさっき言っていたことみたいなことを言われてさらに切れて先生とのガチ戦闘になったことだ、僕も正直モモがぐちゃぐちゃにしていく死体に快感を覚えてしまっていた、あの頃の僕らと比べたらクロハの方が大人じゃあないか
「お前は強いな」
「ただいまー!」
帰ってきたらアマバがきょどきょどしていた、なぜなら直前に
「クロハのガールフレンドが死んだ、あたしはまたひどいこと言っちゃった
モモ」
というメールが届いたからだ、モモの殺害動機チェックは何人もメンタルブレイクさせているだいぶやばい説教だというのはアマバもよーく知っていた
「あ、トウマとクロハ?あの、えっと~クロハ?その~大丈夫だった?モモがひどいこと言ったみたいで・・・あのね、あの子は後で私がボコボコにしておくから気にしちゃだめだよ、あと・・・その・・・」
「アマバ、クロハは大丈夫だよ、こいつの心は誰よりも強い」
「アマバ、僕はこれから能力者たちが誰も傷つくことの無いように戦うよ、復讐のためじゃあなく仲間を、自分と同じ能力者を守るために戦う、これからよろしく」
手を伸ばす
「う、うん」
僕たちは仲間のしるしと僕自身の覚悟のために握手をした
「トウマ君も」
「お、おう」
「モモ~殴りに来たぞ~」
「上から会話は聞こえていたよアマバ、クロハは思ったより強い子だったね」
モモは自分の能力の三角の中に隠れて完全防御形態に入っている
「ええ、正直あなたのあまりにひどい説教を受けても尚あなたの言葉を理解して受け止めようとしているもの、驚いたわ」
「あの子ならナオヤとアリサの心を埋めてくれるかもしれない・・・」
「なるほど、それはいいアイディアかもしれない」
つづく




