表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/40

第39話 契約ではない婚姻届

事件の後処理がひと段落した夕方、私は監査局の窓辺で一息ついていた。


 机の端には、あの婚姻届がある。白いまま、ずっと待っていた紙だ。


「まだ保留ですか」


 ルーファスが静かに入ってくる。


「いいえ」


 私は紙を手に取った。


「今は、順番どおりです」


 彼は何も急かさなかった。ただ、いつものように隣へ立つ。


「契約ではなく、私の意思で出します」


「受け取る」


 あまりに短い返事なのに、胸が熱くなった。


 私は名前を書く。マルティナ・レーヴェ。続いて彼が書く。ルーファス・エーレンベルク。二つの署名は、もう保護契約の並びではない。同じ未来へ責任を持つ並びだ。


 ヘレーネ殿下が途中で顔を出し、満面の笑みを浮かべた。


「やっと出すのね」


「監査が終わったので」


「あなたたちらしいわ」


 その言い方が可笑しくて、私は少し笑った。政略の婚姻を止めたあとに、自分の婚姻届を書く。順番としては、たぶんこれ以上なく正しい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ