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第38話 本物の系譜と偽りの外戚
最終的に真相を決めたのは、修道院から届いた追加証言だった。
エリーザは確かに王妹直系の外孫だった。だが彼女は修道院へ入り、婚姻も出産もしていない。一方、婚姻に出されたローザは公爵家で育った世話係の娘で、同年齢だったために名を差し替えられた。
「つまり」
私は会議室で結論を告げる。
「カスパル公子の母系はヴァイスフェルト家の被保護者ローザの系統であり、王家外戚資格は存在しません」
ローデリヒ卿の顔から血の気が引いた。
「ローザ自身を責める話ではありません」
私はあえて続けた。
「責められるべきは、身分の弱い娘へ別人の名を被せ、王家との婚姻資格まで偽造した家です」
ヘレーネ殿下が静かに頷く。
「私も同じよ。誰かの都合で別の顔を貼られるのは、もううんざり」
カスパル公子は椅子から立ち、深く頭を下げた。
「私は……母から聞かされていませんでした」
その声に嘘はなさそうだった。けれど知らなかったことで婚姻資格が生まれるわけではない。
国王は降嫁審査の破棄を宣言し、ローデリヒ卿は財務卿職を剥奪された。ヴァイスフェルト家の外戚申請も永く凍結される。
こうしてまたひとつ、偽りの系譜が王宮から剥がれ落ちた。人の名を道具にして作られた血筋は、もう二度と王家の未来へ噛ませない。




