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第37話 王家会議の婚姻審査
会議室の中央へ、私は証拠を順に並べた。
降嫁申込書、持参金目録、王家婚姻台帳の赤糸、修道誓約書、港の巡礼船許可証、昨夜の改竄未遂記録。ひとつずつでは弱い。けれど全部揃えば、もう逃げ道はない。
「まず、ヴァイスフェルト家が主張する母系祖先エリーザは、婚姻ではなく修道誓約へ入っています」
私は誓約書を示した。
「次に、婚姻台帳にはその名を戻そうとした最近の改竄跡があります。さらに港記録は、同じ時期に別の女性がエリーザの名で移動したことを示しています」
ローデリヒ卿はなお言い返した。
「古い記録の揺れだ。家格に大きな差はない」
そこでヘレーネ殿下が立ち上がる。
「あります」
場が静まった。
「私の婚姻は、王家会計と王族権限へ直結します。そこへ偽の外戚資格を差し込むことは、差ではなく脅威です」
王女の声はよく通った。誰も、彼女を飾りの当事者とは見られなかった。
私は最後の紙を広げる。ローデリヒ卿付き書記の自白だ。
「昨夜の改竄は、会議前に婚姻記録を整えるためのものだったと認めています」
国王が重く口を開く。
「これでも、なお婚姻審査を続けるべきか」
答えられる者はいなかった。
偽りの婚姻は、ここでようやく表の光に晒された。




