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第33話 摂政候補の家系図

集めた書類を壁いっぱいに広げて、私はひとつの図を作った。


 王家、第一王女、西方公爵家、財務卿ローデリヒ、そして母系偽装の線。繋げてみると、狙いは婚姻そのものではなく、その先にある権限だとはっきり分かる。


「もしヘレーネ殿下がカスパル公子へ降嫁すれば」


 私は指で線をなぞる。


「王女財産の管理補佐権が公爵家へ移る。さらに王が病を再発した場合、財務卿ローデリヒ卿が“外戚としての補助評議員”に入れる」


 ヘレーネ殿下が顔をしかめた。


「私の結婚で、叔父でもない男が王家会計へ口を出すの?」


「ええ。そのために母系を王家に寄せているんです」


 ルーファスが腕を組む。


「婚姻ではなく、摂政権の下準備だな」


 だから এতքան急いだのだ。王女が会計改革へ踏み込む前に、外から蓋をしたい。


 私は家系図の余白へ、新しい言葉を書いた。


 “婚姻利用による権限取得未遂”。


 血筋を騙るだけではない。将来の制度まで飲み込む設計図だ。ここまで揃えば、王家会議へ持ち込める。


 ヘレーネ殿下は図を見つめ、それから静かに言った。


「なら私は、結婚したくないんじゃなくて、この結婚を許したくないのね」


「その通りです」


 言葉になった瞬間、問題の輪郭はさらに鮮明になった。


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