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『餓死寸前の最弱アバターからのサバイバル料理 ~現実世界での完全栄養食に絶望したので、VRゲームで失われた「本物の味」を再現して夢の食堂を開きます!~』  作者: ゆっきー
第3章:「神様と、黄金の稲穂を求めて」

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第56話:「後編:暴力的な豚骨醤油と、龍を喰らうちぢれ麺」

「……おいレナ。もう限界だ。私の胃袋が、自らを消化し始めているぞ」


 翌朝。

 ログハウスの厨房には、徹夜で寸胴鍋を見守っていたエドとセリアが、亡者のように虚ろな目でカウンターに突っ伏していた。

 鍋から立ち昇る、地龍の骨髄から抽出された強烈で野蛮な匂いが、一晩中彼らの理性を削り続けていたのだ。


「ふふっ、お待たせ! スープは完璧に白濁して、旨味が全部溶け出たよ!」


 レナは疲労を感じさせない笑顔で、最後の仕上げに取り掛かった。

 真っ白な陶器のどんぶりに、海エリアで手に入れた昆布と鰹の出汁、そして黒い醤油を極限まで煮詰めた『特製・濃厚かえし(醤油ダレ)』を注ぐ。

 そこに、地龍の骨髄から取れた、ドロドロに白濁した極上の『熱々スープ』を一気に流し込んだ。


 ジュワァァァァッ!!


 その瞬間、醤油の香ばしさと地龍の暴力的な旨味が融合し、厨房に破壊的な匂いの爆弾が炸裂した。


「うおおおおッ!? なんだこの、匂いだけで気絶しそうなほどの濃厚さはッ!」

「早く! レナ、早くその汁を私に飲ませろぉぉぉッ!」


 エドとセリアが立ち上がり、血走った目でどんぶりを凝視する。

 レナは隣の鍋で、昨日手打ちした『黄金のちぢれ麺』をサッと茹で上げ、湯切りをしてからどんぶりへと滑り込ませた。

 最後に、特製ダレで何時間も煮込んだ『森の猪の極厚チャーシュー』と、香草をトッピングする。


「はい、お待たせ! 『地龍骨髄の特製・豚骨醤油ラーメン』だよ!」


 ドンッ、と置かれた三つのどんぶり。

 表面には黄金色の脂が浮き、その下には深みのある褐色のスープが、黄色いちぢれ麺を隠すように満たされている。


「……食うぞ」


 エドが震える手で箸を握り、まずはスープを一口啜った。


「――ッ!!!」


 エドの体が、雷に打たれたように大きくのけぞった。


「な、なんだこれはぁぁぁッ!!」


 エドが思わず咆哮する。


「ただの汁ではない! 地龍の骨から溶け出した圧倒的な旨味と脂が、醤油の鋭い塩気と完全に結びつき、飲むたびに全身の細胞を暴力的に殴りつけてくる! だが、手が止まらん! このドロドロのスープが、五臓六腑に染み渡っていくぞぉぉッ!!」


「麺だ! この黄色い紐のようなもの、信じられないほどの弾力コシがある! 噛み切るたびに小麦の香りが弾け、ちぢれた麺が濃厚なスープをこれでもかと絡め取ってくるではないかッ!!」


 セリアも箸の使い方が劇的に上達しており、ズズズッ! と激しい音を立てて麺を啜り上げている。


「うむぅぅぅッ! 妾の神の舌をもってしても、この旨味の奔流は理解が追いつかん! そしてこの分厚いチャーシュー! 噛む必要すらない、口に入れた瞬間に脂がトロトロに溶けて消えおったぞ!!」


 ウカも顔をスープまみれにしながら、どんぶりに顔を突っ込む勢いで貪り食っている。


【料理名:『地龍と黄金麦の特濃ラーメン』】

【効果:全ステータス限界突破・竜属性付与。状態:『旨味の暴力』『完全なる満腹』を付与】


 ズルズルッ! ズズズズッ!!


 厨房には、一切の会話もなく、ただひたすらに麺を啜り、狂ったようにスープを飲む音だけが響き渡った。

 最強の騎士たちと豊穣の神は、どんぶりの底に一滴の汁も残すことなく飲み干し、そのままカウンターに仰向けに倒れ込んだ。


「ふぅ……美味しかったぁ」


 レナも自分用の小さなラーメンを完食し、満足げに息をつく。

 異世界の常識を打ち破る、究極のジャンクフードにして最高の一杯。この「ラーメン」の完成により、隠れ家食堂はもはや誰にも止められない美食の頂点へと到達したのだった。

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