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『餓死寸前の最弱アバターからのサバイバル料理 ~現実世界での完全栄養食に絶望したので、VRゲームで失われた「本物の味」を再現して夢の食堂を開きます!~』  作者: ゆっきー
第3章:「神様と、黄金の稲穂を求めて」

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第52話:「暴力的な携帯食と、究極の肉厚カツサンド」

「美味い。このフワフワの麦の塊は、いくらでも腹に入るな」


「うむ。だが……やはり、肉が欲しい。この甘いパンで、分厚い肉を一緒に食えれば最高なのだが」


 魔導厨房が完成した翌日の昼下がり。

 エドとセリアは、レナが焼いた丸パンを山のように平らげながら、戦士としての本能(肉への渇望)を隠しきれずにいた。


「もう、二人ともお肉ばっかりなんだから。……でも、ちょうどいいや。最高のお弁当を作ってあげる!」


 レナは呆れながらも、オリハルコンの調理台に食材を並べた。

 地下の冷暗庫から取り出したのは、赤身と脂身のバランスが絶妙な『森のワイルド・ボア』の極厚ロース肉。

 それを筋切りし、軽く塩を振ってから、昨日焼いたばかりのパンを削って作った「生パン粉」をたっぷりと纏わせる。


「いくよ!」


 熱した油の鍋に、極厚の豚肉を静かに落とす。


 ジュワァァァァァァッ!!


 厨房に、パン粉がキツネ色に揚がる暴力的な音が響き渡る。

 さらにレナは、隣のコンロで小鍋を火にかけ、黒い醤油、ウカのハチミツ、そしてトマトの代用品である赤い果実を煮詰め、甘酸っぱく濃厚な「特製トンカツソース」を錬成し始めた。


「な、なんだあの黒くてドロドロした汁は……! 醤油の香ばしさと果実の甘みが混ざり合って、匂いだけで唾液が止まらんぞ!」


「早くしろレナ! その揚げた肉に、その汁をかけて私に寄越せ!」


 エドとセリアがカウンターから身を乗り出し、目を血走らせる。


「ちょっと待って! まだ完成じゃないから!」


 レナはこんがりと揚がった極厚のトンカツを油から引き上げ、ザクッ、ザクッと小気味良い音を立てて切り分けた。

 そして、新しく長方形に焼き上げておいた食パンを薄くスライスし、その上に細かく千切りにした『森の春キャベツ(代用品)』を敷き詰める。


 その上に、特製ソースにたっぷりと潜らせた熱々の極厚トンカツを乗せ、もう一枚の食パンでギュッと挟み込んだ。


「はい、お待たせ! 『森の猪の極厚カツサンド』だよ!」


 ドンッ、と置かれた木のお皿。

 純白でふかふかのパンの間に、ソースが染み込んだ分厚い肉と、鮮やかな緑のキャベツが美しい断層を作っている。


「……食うぞ」


 エドが片手でその四角い塊を掴み、大口を開けて豪快に噛み付いた。


 ザクッ!! ジュワァァァッ!!


「――ッ!!?」


 エドの動きが、雷に打たれたようにピタリと停止した。


「な、なんだこれは……ッ! 唇に触れた瞬間のパンの異常な柔らかさ! それを突破した直後に来る、衣の凶悪なサクサク感! そして噛み切った瞬間に、猪の肉汁と甘酸っぱい濃厚なソースが、口の中で大爆発を起こしおったぞ!!」


「美味えぇぇぇぇッ!! キャベツのシャキシャキ感が、肉の脂を完璧に中和している! しかも、これほどの暴力的な肉と油の塊を、パンがすべて優しく包み込んで受け止めているではないか! 剣を持ったまま、片手でこの至高の肉料理が食えるだとぉぉッ!?」


 セリアも顔をソースまみれにしながら、狂ったようにカツサンドを胃袋に詰め込んでいく。


「ふははは! 妾の言った通りじゃろう! 炭水化物と揚げ物の融合こそ、神が定めた絶対の真理(デブ活)じゃぁぁぁ!」


 ウカも狐の尻尾を振り回し、自分の顔ほどもあるカツサンドに齧り付いている。


【料理名:『特濃ソースの極厚カツサンド』】

【効果:攻撃力・防御力極大上昇。状態:『無双の活力』『携帯食の革命』を付与】


「んふふ、お気に召したみたいだね。これなら、遠くまで探索に行く時も持っていけるでしょ?」


 レナも自分の分のカツサンドを頬張りながら、満足そうに微笑んだ。

 硬いパンと干し肉しかなかった異世界の携帯食の歴史は、この日、分厚い肉とソースが染み込んだ「カツサンド」によって、完全に塗り替えられたのだった。

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