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『餓死寸前の最弱アバターからのサバイバル料理 ~現実世界での完全栄養食に絶望したので、VRゲームで失われた「本物の味」を再現して夢の食堂を開きます!~』  作者: ゆっきー
第3章:「神様と、黄金の稲穂を求めて」

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第50話:「伝説の魔改造と、とろけるチーズの円盤」

 カンッ! カンッ! カァァァンッ!!


 夜通し響いていた甲高い金属音が、朝日に照らされると共にピタリと止んだ。


「完成じゃあぁぁぁッ!!」


 ゴルドの野太い咆哮で、二階で寝ていたレナたちは一斉に飛び起きた。

 急いで一階の厨房へ降りたレナは、そこに広がる光景に息を呑んだ。


「す、すごい……! なにこれ、本当に私のお店!?」


 無骨な石と木でできていた厨房が、一晩にして劇的な進化を遂げていた。

 鈍く銀色に光る『オリハルコン合金』でコーティングされた、広くて清潔な調理台。

 その横には、魔力で火力を完全制御できる『四口の魔導コンロ』。

 そして何より存在感を放っているのが、壁に埋め込まれるように設置された、巨大な『魔導オーブン』だった。


「ふははは! 驚いたか小娘! オリハルコンの高い熱伝導率と、魔導石による絶対的な温度管理! この『極炎の魔導オーブン』を使えば、どんな食材も外はカリッと、中はふっくらと、ムラなく完璧に焼き上げることができるぞ!!」


 ゴルドが鼻息を荒くして胸を張る。

 その後ろで、パシリと化したマーカスが「私の……ギルドの全財産が……」と白目を剥いて倒れていたが、誰も気にしない。


「薪がいらないだと? ……指を鳴らしただけで火が出るとは、魔法使いのようだな」


 エドが魔導コンロの青い炎を見て目を丸くしている。


「ゴルドさん、ありがとう! これなら、ずっと作りたかった『アレ』が作れるよ!」


 レナは歓喜の声を上げ、さっそくオリハルコンの調理台で生地を捏ね始めた。

 小麦粉に水と塩、そしてウカの豊穣魔法で発酵を早めたイースト菌を混ぜ合わせ、薄く丸く広げていく。

 その上に、森で採れた赤い果実(トマトの代用品)を煮詰めた特製ソースをたっぷりと塗り広げ、森の猪のベーコンと、色とりどりの野菜を散りばめる。


「そして主役はこれ! 地下の冷暗庫でじっくり熟成させておいた『タウロス乳の特製チーズ』だよ!」


 レナは塊のチーズを削り、生地の上に雪のようにたっぷりと降り積もらせた。


「よし、焼くよ!」


 レナが生地を巨大な『魔導オーブン』に放り込み、魔導石のスイッチを入れる。


 ゴォォォォォォッ!!


 オーブンの中が神々しい赤光に包まれる。

 オリハルコンの遠赤外線効果と、魔力による三百度の超高温。

 わずか数分後、チーズが焦げる暴力的な匂いが、排気口から厨房全体に噴出した。


「な、なんだこの匂いは……ッ! 乳の焼ける匂いと、肉の脂が混ざり合って、胃袋が掴まれるようだぞ!!」

「早く出せレナ! 私の剣が鞘から飛び出そうとしている!」


 エドとセリアが、オーブンの前でヨダレを垂らしながら身構える。


「はい、お待たせ! 『特製ベーコンとたっぷりチーズの魔導ピザ』だよ!」


 チーン! という小気味良い音と共に、巨大な円盤が取り出される。

 生地の耳は香ばしいキツネ色に膨れ上がり、表面では熱々のチーズがマグマのようにグツグツと泡立っていた。


 レナが専用のカッターでピザを八等分に切り分ける。


 ザクッ、サクッ!


「……食うぞ」


 エドが一切れを手で掴み、持ち上げる。

 その瞬間。


 ビヨォォォォォォォォンッ!!


「――なっ!? の、伸びるぞ!? なんだこの乳の塊は!!」


 熱で完全に溶けたチーズが、エドの持ち上げたピザからお皿へ向かって、どこまでも長く、黄金色の糸を引いて伸びていった。


「熱ッ! ――美味ぇぇぇぇッ!!」


 エドがそのまま口に放り込む。


「サクサクの生地に、この赤いソースの酸味! そして何より、この『伸びるチーズ』の濃厚なコクと塩気が、ベーコンの旨味を完全に包み込んで暴れ回っている!! なんだこの食い物は!!」


「美味い! 具材がすべてこの円盤の上で一つになっている! 剣を持たずとも、片手で食える完全食ではないか!!」


 セリアもチーズを口の周りにつけながら、ハフハフとピザを貪り食う。


「うむ! この強烈な味の濃さ! これもまたエール(麦酒)が進む悪魔の飯じゃのう!」


「ワシの……ワシの作った魔導オーブンで焼いた飯……最高じゃぁぁぁッ!!」


 ウカとゴルドも、熱々のチーズと格闘しながら歓喜の声を上げている。


【料理名:『タウロスチーズの特製魔導ピザ』】

【効果:スタミナ限界突破。状態:『魔導の炎』『底なしの胃袋』を付与】


 最新鋭の魔導オーブンと、とろけるチーズの暴力。

 連載50話という節目に、隠れ家食堂は「オーブン料理(洋食)」という無限の可能性を秘めた最強の武器を手に入れたのだった。

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