表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『餓死寸前の最弱アバターからのサバイバル料理 ~現実世界での完全栄養食に絶望したので、VRゲームで失われた「本物の味」を再現して夢の食堂を開きます!~』  作者: ゆっきー
第2章:「最強の護衛と、夢の食堂の予定地」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/64

第27話:「決死のハチミツ狩りと、宮廷料理人の絶叫」

「いいですか、レナさん。極上の甘味とは、ただ甘ければいいというものではありません。自然の恵みが凝縮された、黄金の輝き……そう、『幻のハチミツ』こそが至高なのです!」


 翌朝。

 ログハウスを出発した一行の先頭で、宮廷料理人のシャルルが熱弁を振るっていた。

 彼は戦闘職ではない生産職(レベル15)だが、食材への執着心だけで、未知のエリアへと足を踏み入れている。


「ハチミツ……映像で見たことある。とろっとしてて、すごく甘いやつだよね」


 レナは想像するだけで喉を鳴らした。

 現実世界の合成甘味料ではない、本物の糖分。それは彼女にとって、未知の宝物だ。


「おい、貴様ら。たかが虫の分泌液のために、なぜ我々がこんな藪の中を歩かねばならんのだ」


「全くだ。甘いものなど軟弱者の食い物だぞ。肉を食わせろ、肉を」


 後ろを歩くエドとセリアは、非常に不機嫌だった。

 彼らにとって「お菓子探し」は、クエストとしての優先度が著しく低いらしい。


「ふん! 野蛮な連中にはわからんでしょうね! ……おや? この香りは……!」


 シャルルが足を止め、クンクンと鼻を鳴らす。

 風に乗って、濃厚で甘ったるい香りが漂ってきた。


「ビンゴです! この奥に、極上の『キラービーの巣』がありますよ!」


「キラービー? それって、すごく危険なモンスターじゃ……」


 ミレが不安そうに呟いた、その時だった。


 ブゥゥゥゥゥゥン……!!


 重低音のような羽音と共に、茂みの奥から「人間ほどのサイズ」がある巨大な蜂が三匹、姿を現した。尻尾には、鉄をも貫く凶悪な毒針が光っている。


「ひぃぃぃッ!? で、出たァァァッ!! エド君! セリア君! お願いしますッ!!」


 さっきまで威勢のよかったシャルルが、光の速さでレナの後ろに隠れた。


「……チッ。うるさい男だ」

「私の前に立つな雑魚が。邪魔だ」


 ドォォォン!! ザシュッ!!


 エドが巨剣の一振りで二匹を叩き落とし、セリアが神速の突きでもう一匹の眉間を貫いた。

 戦闘時間、わずか二秒。

 凶悪なキラービーたちは、甘い蜜を運ぶただの死体へと変わった。


「す、素晴らしい暴力……! いえ、素晴らしい護衛だ!」


 シャルルは震えながらもすぐに立ち直り、エドたちが倒した蜂の死骸ではなく、その奥にある巨木を見上げた。

 そこには、見上げるほど巨大な、黄金色に輝く「蜂の巣」がぶら下がっていた。


「あ、あれだ……! 『森の女王蜂クイーン・ビー』が作り出す、伝説の食材……!」


「わぁ……! すごい、蜂蜜が垂れてる……!」


 レナが目を輝かせる。

 巣の隙間からは、琥珀色に透き通った液体がトロリと溢れ出し、あたり一面に脳が溶けるような甘い香りを撒き散らしていた。


「エド、セリア! あの巣を落として! 中のハチミツが欲しいの!」


「了解だ。……おいセリア、巣を壊しすぎるなよ。中身がこぼれたらレナが泣くぞ」


「わかっている! 私の剣技なら、巣の結合部だけを綺麗に切り離すことなど造作もないわ!」


 セリアが跳躍し、空中で銀閃が走る。

 ズシンッ、と地響きを立てて、巨大な蜂の巣が傷ひとつなく地面に落下した。


【食材名:『クイーン・ビーの黄金ハチミツ』】

【品質:S(最高級)】

【甘味:極大。一口で疲労を吹き飛ばす魔性の甘さ】


「やりましたねレナさん! これで……これでついに、あの暴力的な肉料理の後に、天国のような甘味デザートが食べられますよぉぉ!!」


 シャルルが蜂の巣に抱きついて歓喜の声を上げる。

 最強の護衛と、命知らずの美食家の執念により、レナたちはついに「本物の甘味」を手に入れたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ