↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界戦国記  作者: 鈴木颯手
最終章・三河決戦
104/105

第九十七話・三河侵攻1

 前線の味方の雄たけびの様子から奇襲は無事に成功したようで俺は無意識のうちに安堵の息をついた。

 松平広忠は俺よりも年若く、能力が未知数だったためにここで失敗する可能性があって不安があった。何しろ父親は松平清康で三河を武力で平定出来た傑物だ。広忠がその血を色濃く受け継ぎ、俺たちの奇襲に対抗してくる可能性が捨てきれなかった。

 しかし、その心配もなかったようだ。というよりも俺たちが姿を見せた時点で松平軍は混乱で防御態勢すら取れていなかった。きちんと統率されていればそんなことはなかったはずだが少なくとも広忠には荷が重かったという事だろう。


「殿、まずばうまくいきましたな」

「ああ。皆で改良を重ねただけの事はある。後は信じて実行していくぞ」

「殿が提案なされた三河への逆侵攻を聞いた時は失敗すると思っておりましたがな」

「俺も一か八かの賭けとは重々承知していたから仕方ないさ」


 数日前、評定で俺は家臣たちに一つの案を出した。それが三河への逆侵攻だ。今川という軍勢を相手に籠城した所でどこまで戦えるのか分からない。それに今川に尾張を荒らされ、こちらの国力は下がるばかり。ならばいっその事三河を戦場にして今川に出血を強いる事で尾張に侵攻する力を削ぐ、というものだ。

 当然ながらこの意見には反対意見が多数出た。精々若手衆が賛成していたくらいだ。とはいえこれ以外で何かしらの良案も出なかったためにどうせなら、と実行することになった。無論、家臣総出で成功させるために案の改良を行ったがな。


 そのように記憶を振り返っている時だった。伝令兵が本陣へと駆け込んできた。


「報告します! 信繁様率いる二千の軍勢が鷲塚城を落城させました!」

「報告します! 水野信元様率いる千の軍勢と山口教継様率いる千の軍勢が海を渡り西尾城へと向かっております!」

「西尾城を落とすことが出来れば三河南部に大きなくさびを打ち込む形になる。信元殿、教継、頼んだぞ」


 伝令兵の言葉に俺は自然とそう口にしていた。今回、俺たちは4つの軍勢に分かれて進軍している。

 一つは俺が率いる五千の軍勢。所謂主力軍という奴で安祥城やその後ろにある岡崎城へと攻撃を仕掛けて松平家を叩く事が役目の軍勢だ。

 二つ目が織田信繁率いる藤左衛門家二千の軍勢。これは鷲塚城を落とした軍勢でこの後は東進して西尾城攻略乃至攻略後ならば次に話す水野家の軍勢と合流してもらう。

 三つめが水野信元率いる千と山口教継率いる千の合計二千の軍勢だ。これは水軍衆を動員して海を越えて三河南部に進出してもらう。狙うは西尾城でここを拠点に東進や北進を行ってもらうもう一つの主力だ。

 最後が今川氏興率いる二千の別動隊。これは三河北部に侵攻してもらい、今川の気を引いてもらうのが役目だ。今川氏興は今川家にとっては裏切り者に映るという情報を得ている為山が連なる三河北部、所謂奥三河でゲリラ戦のようなものを展開してもらうことになっている。一騎当千の氏興だからこそ任せられる役目だ。


 こうして南北中央から一気に攻め込み、三河で拠点を構築。それらを基に進軍してくる今川家を迎え撃つのが三河への逆侵攻の大まかな作戦だ。現場での判断に依存する面が多いため各個撃破されたり目標を達成できずにやられる可能性も大いにあるがただただ籠城するよりはマシだと判断して皆でこの作戦に賭けている。

 何とか成功させたいものだしそのためにも次は俺たちの役目を果たす番だな。


「報告します! 前田利昌様、松平広忠と筆頭家老大久保忠員を捕らえました!」

「えぇ……?」


 そう決意をしたところにまさかの松平家当主とその家臣を捕らえたという報告を聞き、俺の覚悟は若干流される事になってしまった。思ったよりも弱体化したうえに当主すら捕らえて兵も大していないだろう安祥城と岡崎城……。

 あれ? これ落とすの以外と簡単なのか? なんか調子が狂ってしまった……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。