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<ガイア>列伝  作者: 樹実源峰
はじまりの物語
3/69

勇者の探検

いよいよ初めての冒険です。展開が早いのはお許し下さい。

「ふ〜んふ〜んふっふふ〜んふんふん♪」


ふっふ〜ん♪と鼻歌混じりに目の前を歩いているのは、A級勇者の姫川さんである。


「良かったです。如月さんが応じてくれて」

「はは、そんなに喜んでくれるならきてよかったよ…」


目の前で楽しそうな姫川さんと対照的に俺は暗澹たる気持ちでクエストに来ていた。


何でかと言えば…話は昨日に遡る。



「付き合ってください」


案外時間って簡単に止まるんだなぁと思考停止世界で俺は思った。


しかし、そんな世界は次の一言で淡くも崩れ去るのであった。

「このクエストに!!」


クエスト名:愛しき想い出

クエスト受注制限:男女ペア

クエスト内容:恋愛洞窟の指輪の回収

クエストランク:★★★★


要するに俺は、クエスト制限の男女ペアを満たすために選ばれたのだった。


なぜ制限があるかと言えば、この星にはいくつか遺跡があって、その遺跡の一つ一つに様々な入場制限みたいなのがあるのだ。


この恋愛洞窟もそんな遺跡の一つで、男女ペアでないと入る前に門番が入り口に立ち入れないというものなのだ。しかも、門番を倒そうとしてもその強さはまさに鬼。強過ぎて倒せないのだとか。だからこその制限である。

…とまぁ、単純にそんな理由である。


「ねー、姫川さん聞いていい?」

「はい、なんでしょうか?」


ルンルンとした口調で聞いてくる。

「何で俺を連れて来たの?俺より強い人は沢山いるでしょ?」


ピタリと動きが止まった。うん?なんで?


「え、え、えっと、ですね…」


それでもってなぜそこまで動揺するよ?俺はもう諦めてるから真実を言っちゃいなよ。


「ほ、ほら、他の人は大抵『君に逢う為に生まれてきた』とか言う人ですし。っていうか、言わなかったのあなただけでしたし」


「…なるほど」


つまり、あの選択肢は選ばないで正解だったわけか。…あれ、まだ正解かも分からないな。


「あれ?怒っちゃいました?す、すみません!」


俺が一言しか返さなかったのを怒ったのと勘違いしたようだ。


「いやいや、怒ってないよ。まぁ…うん」


男女交際とか考えてた自分が馬鹿でしたよ。


「あ、最深部です。あれですかね?クエストの指輪は」


この洞窟では男女が本気で相手を想い合い、お互いに相手への想いを感じるものを祭壇に捧げるとその想いは永遠に続くらしい。依頼主の男性は結婚詐欺にあったらしいが、その女性への想いを忘れなれないと言って今回のクエストというわけだ。


ただ、この遺跡はごく稀に出てくる強いモンスターの生活区でもあるためクエストランクはやや高めである。まぁ、滅多に出てこないが。


「あ、俺が取りに行くよ」


まだ何もしてない俺が男らしいことをしようと祭壇にある指輪を取ろうとした時、


「危ない!」


と声が聞こえると同時に、壁まで吹っ飛ばされた。


「痛…どうしたん…!?」


そのあとの言葉を俺は言うことができなかった。


さっきまで俺のいたところに巨大な足があった。俺があそこにいれば、恐らく簡単に踏み潰されていただろう。しかし、そこには俺はおらず、俺を後ろから押してくれたらしい姫川さんがいた。流石に踏みつぶされまではせずともダメージを負ったのか気絶している。俺はその出来事に呆然とした。


と、そこで思考を開始して足の主を見た。この遺跡にでるモンスターはたった一種類とは言え僅かながらの希望を持てずにはいられなかったのだ。


だが、やはり現実は残酷でそこにいたのは、この遺跡で存在を確認されているレッドドラゴンだった。この惑星に沢山いるドラゴンの中で一番獰猛な種類である。


「グォォォォォォ!!!」


洞窟全体を揺らすような咆哮は、逃げようとした俺を恐怖で縛った。


ドン、ドン、と地面を揺るがしながら近付いてくるドラゴンに俺は何も出来ない。


「あっ…姫川さんは…?」


姫川さんが意識を取り戻したのかとそちらを見たがまだ気絶していた。


佇んでいる俺の脳裏に十五年の月日が蘇る。走馬灯か…しかし、長いような回想は実のところほぼ一瞬だった。最後の回想は、さっきの姫川さんの楽しそうな顔…


「…んで……かよ」


あの笑顔が見れなくなるだと?それくらいなら死んだ方がマシ…いや、今は死にそうな状況なのか。


「…なせて…るか」


あぁ、どうせ死ぬんだったらなんかどうでも良くなった。恐怖なんて。


「死んでたまるか」


そうだ、どうせならこいつを殺してしまえ。


「死なせてたまるか」


そうだ、そうしてしまえば死なずにすむ。


「バースト」


俺の思考はそこで止まった。後の事は覚えていない。

※一月四日更新!

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