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第9話 新たなモンスター

 侵入者を撃退した帰りの道、俺は考えていた。


 さっきの冒険者風の男の身なりは熟練の冒険者とは思えなかった。そうであれば、ここからそれほど遠くない場所に人間の街か村があるのかもしれない。


 可能ならば、この世界の人間達に会いに行ってみたい。


 ラヴェンドラに何か知らないか聞いてみるか。


 「さっきの人間だけど、結構軽装だったよな。近くに人間の街でもあるのかな。ラヴェンドラは何か知らないか?」


 「どうでしょうか。わたしもこの辺りのことには詳しくないので近くに人間の街などがあるかはわかりません。あの人間はダンジョンから出たあと、南の方に向かったようでしたが」


 南か……。一度ここを出て街がないか探しに行ってみるのもいいか。


 だが、このダンジョンにも侵入者が入ってくるとわかった以上、まずはダンジョンの防御能力を上げることが先決だ。


 拠点まで帰還し、ユグドラシルを起動したところ「侵入者」の表示は消えていた。


 とりあえずは安心だが、この先のダンジョンの防御力をあげる方法についてラヴェンドラにも相談してみるか。


 「ダンジョンを侵入者から守りたいんだけど、何か良い案はないかな」


 「そうですね。わたしが知っているところだと、目の前から大きな岩が転がってくるとか、落とし穴の中が針の山になっているとか、足を踏み入れると死んでしまう毒沼とかですね。あとは宝箱がミミックだったりもあるらしいですよ」


 ラヴェンドラは顎に手をおいて考えている様子だ。


 それにしても彼女の提案は重めなギミックばかりだった。そのまま受け入れてはダンジョンの中が死屍累々になりそうだ。


 だが、ミミックか。人間が宝箱狙いなのであれば、効果は大きそうだ。RPGでも大抵嫌われてるしな。


 俺はユグドラシルを起動した。


 「お、ミミックがいるな。他に役に立ちそうなモンスターは……」


 ラヴェンドラにも相談しながら、俺は3体のモンスターを生み出すことにした。


 まず一体目。


 「ミミック」


 頭の中でミミックを召喚することを考えながら、声に出した。


 俺の目の前に淡い光が集まり、ミミックが出現した。源素量は200。


 見た目は、まさに元の世界で見たRPGのミミックそのものだ。青色の金属製の宝箱の蓋部分に目がついており、宝箱の中からは長い舌が覗いている。


 「わあー。すごい! この子を見ていると、つい開けたくなっちゃいますね」



 ラヴェンドラは胸の前で小さくパチパチと拍手しながらミミックを見ている。

 「ラヴェンドラの言うとおりだよ。ミミックは「財宝への誘惑トレジャリーテンプテーションというスキルを持っている。効果はミミックの周囲の者の深層意識に入り込んで、目の前のミミックを開けたい衝動に駆らせるもののようだ」


 「へえー。だからミミックの前にいくとみんな開けちゃうんですね! 初めて知りました」


 ラヴェンドラでもミミックの誘惑には抗えないのか。俺も元の世界でどれだけ騙されたことか。


 「よし。ミミックはダンジョンに潜んで侵入者を騙してくれ。開けてきたやつは返り討ちにして、ダンジョンの入口にでも送り返してやれ」


 ミミックは蓋を開け閉めした後、ダンジョン内に向かっていく。


 次は2体目だ。


 「ヴェノムスライム」

 目の前に出現したのは、可愛らしいプルプルしたスライムではなく、ドロッとした流動状のモンスターだった。源素量は150。


 コアシステムによると、ヴェノムスライム体内で毒を作り出すスキルを持っているようだ。


 「これは、中々強烈ですね……。」


 横目でラヴェンドラを見ると鼻を塞いでおり、尻尾もだらんと垂れている。


 ま、まあ、結構臭いからな……。おそらくこの腐敗臭が毒を生成するのだろう。


 「ヴェノムスライム。君にはこのダンジョン内のところどころに毒沼の地形を作り出してもらいたい。ただ、足を踏み入れると即死するような強力な毒じゃなくて、徐々に体力を削るような毒沼を広範囲に作ってもらいたいんだが、できるか?」


 俺の指示を聞いたヴェノムスライムは、一度ドロリと伸びあがった後、ダンジョン内に消えていった。


 最後に3体目を生み出す。


 「女郎蜘蛛!」


 こいつは糸を吐き出すスキルを持っている。侵入者を糸で絡めとってしまえばダンジョン探索する気もなくなるだろう。また、スキルの説明によると、「吐き出した糸で布も作ることができる」とある。布があれば、服など拠点の生活を向上させるものを作ることができるかもしれない。まあ、おれは裁縫はできないが。


 いつもどおり淡い光が現れ、女郎蜘蛛が出現すると思っていたが、その時は違った。

 現れたのは漆黒の光の粒だった。


 「なんだこれは。何か失敗したのか」


 俺が目の前の状況に困惑しているうちに、それは大きな円形の塊となり、そして弾けた。


 そこに現れたのは、女郎蜘蛛ではなく、人間の女性の姿の上半身、蜘蛛の下半身を持つモンスターだった。


 「これは、アラクネじゃないですか。虫系のモンスターの変異種ですよ!」


 ラヴェンドラが驚いた表情をしている。


 「変異種ってなんのことだ?」


 「変異種とは、モンスターの中で極まれに発生するとされているものです。通常のモンスターに比べて能力が高く、スキルも他のモンスターより強力なものを持っています。変異種まで生み出せるなんて、さすがカガセ様ですね!」


 変異種……。とりあえずユグドラシルシステムに何か出ていないか。


 そう思って、ユグドラシルシステムを開くと、モンスターの欄にさっきまではなかったアラクネが追加されており、その源素は400と表示されていた。


 女郎蜘蛛の2倍か。今回は女郎蜘蛛の分の源素200しか消費していないようだが、アラクネはそれだけ高性能なのだろう。スキルも女郎蜘蛛のもの以外にも持っているようだ。


 アラクネがさっきまでユグドラシルシステムになかったことを考えれば、変異種も一度出現させれば再度召喚できると思われる。


 「アラクネ。君にはダンジョン内の通り道に蜘蛛の巣を張ってきてもらいたい。だいたい張り終わった後は俺たちのところに戻ってきてくれるかい。君の糸で布を作ってもらいたいんだ」


 そういうとアラクネはわかったというようにくるっと1回転して、ダンジョンの中に向かっていった。


 これだけモンスターがいれば当分はダンジョンの防衛に問題はないだろう。


 残りの源素量は600まで減った。


 今日のところはこのくらいにして、後のことは明日考えよう。 


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