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第22話 器と威厳

 ステータスの上昇にモンスターのスキルの使用だと!?


 さっきの光を浴びてから力が溢れてくるような感覚に陥っていたが、『王たる器』の効果なのだろう。


 俺の元のステータスはわからないが、ただの人間の俺なんて全部Eー程度のものだろう。


 筋力が突出して高いのは、ミノタウルスを召喚したせいか。


 モンスターのスキルは今のところは3種類だけだが、この先モンスターを増やせば更に使えるスキルも増えるのかもしれない。デスワームやミミックの表示がないところをみると、召喚したモンスターでもスキルが使えるようにならないものもいるのだろう。


 いずれにしろ、モンスターを増やすことが俺の強化に直結することは間違いないようだ。


 とにかくまずは、ステータス上昇の効果を試してみたい。


 俺は足元のピンボールくらいの大きさの石を拾うと、奥に見える太めの樹に向き直った。


 隣ではラヴェンドラが不思議そうな表情でこちらを見ている。


 「まずは……筋力だ!」


 石を握りしめると、これまで感じたことのない力の発露を感じた。


 俺は一歩踏み込み、握りしめた石を樹に向かって軽く投げつけた。


 ーードスッッ!


 投げた石は鈍い音と共に見えなくなった。


 あれ……どうなったんだ?


 「わっ! カガセ様すごいですね。石が樹木にめり込んでますよ。いつの間にそんなに力が強くなったんですか?」


 ラヴェンドラの言うとおり、樹木の表面をよく見るとピンボール大の穴が空いていた。


 樹皮に傷がつくくらいかと思ったが、軽く投げただけで樹にめり込むとは、かなり力は上がっているようだ。


 「ダンジョンが成長したからなのか、俺に新しいスキルが付与されたみたいなんだ。今の俺は召喚したモンスターのステータスの一部を自分の力にできる。ミノタウルスのおかげか筋力がかなり上がっているようだったから石を投げて実験してみたんだが、まさか樹にめり込むとはな」


 これで筋力は「D+」だというのだから、更に上のランクになればどれほどの力になるのか。


 「ダンジョンマスターのお力は一つだけではなかったんですね。それにしてもモンスターの力を自分のものにするなんて聞いたことがありません! さすがカガセ様です!」


 ラヴェンドラは尻尾を揺らしながら、眼をキラキラと輝かせている。


 「実はもう1つスキルがあって魔力を消費してモンスターのスキルを使うこともできるらしい。試してみるから見ていてくれるか」


 言ってみたはいいものの、そもそもスキルってどうやって使うんだ。


 ラヴェンドラの顔にはワクワクと書いてある。


 まあ、物は試しか……。


 俺は眼を閉じて、自分の体の中に意識を集中した。


 体の中心……腹の奥底に何か熱い鼓動を感じる。その鼓動は血管のように頭のてっぺんからつま先まで体の隅々を流れ、循環しているのがわかった。


 俺は流れを右の手のひらへと誘導し、力ある言葉を発した。


 「スパイダーウェブ!」


 突き出した右手のひらから強靭な蜘蛛の糸が勢いよく飛び出した。


 放たれた糸は空中で網のように広がり、先ほど石を投げつけた樹を丸ごと包み込んだ。


 蜘蛛の糸といえどかなりの飛距離があるようだ。


 ラヴェンドラの方を振り返ろうとした瞬間、視界がぐわんと歪んだ。


 「うっ……」


 体中から力が抜けていくような感覚に襲われ、思わず膝から崩れ落ちそうになる。


 「カガセ様!?」


 咄嗟に支えてくれたラヴェンドラのおかげで、なんとか踏みとどまることができた。


 「はあ……はあ……。急に力が抜けてしまった……」


 体に力が入らない……。頭の側面がズキズキと痛んでいた。 


 「それは、おそらく魔力が急激に減少したのが原因かと思います。魔力の扱いに慣れない頃にはよくあることです。時間が経てば治まると思いますので、このままお休みください」


 「ああ……。ありがとう……」


 ラヴェンドラの声が意識の彼方に遠のく。


 俺はラヴェンドラに身を委ねたまま、眠りに落ちた。


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