【第19話】婚活ギルドに変装して再潜入するも即バレ
「まだ……やり直せるかもしれない」
どの口が言った。いや俺だ。
炎上した。国家にラベルを貼られた。神からBANされた。
だが、それでも諦めきれなかった。
せめて“人としての末席”に戻れないかと、
俺──志無野 睦夫(49)は、思ってしまったのだ。
そして浮かんだ名案(バカ案)。
「偽名で婚活ギルドに再潜入すれば、ワンチャンあるのでは?」
速攻で変装道具店に向かった。
買ったのは──
・つけヒゲ(ガバガバ)
・エルフ耳(謎)
・フード付きローブ(隠れてるつもり)
新しい名は、“シナリー・ノブオ”。
職業は“感情交流士”。共感力、なんと自己申告で6.5。
「これで完璧だ……!」
俺は、フードを深くかぶって婚活ギルドへ足を踏み入れた。
受付嬢「はじめまして、シナリー様ですね。共感スキャン、行いまーす」
水晶スキャナに手をかざした瞬間──
ビーッ!ビーッ!ビーッ!
水晶が真っ黒に染まり、警報音が鳴る。
端末に表示されたエラー:
【遮断対象スキャン検出】
【詐称レベル:中】
【実体:志無野 睦夫(49)】
受付嬢がスッ……と顔を上げた。
「ヒゲ、ズレてます」
俺「……」
さらに背後から職員が現れる。
「志無野さん、今回で3回目ですね。
記録によると、前回は“共感注入師ノム・フジリ”という名前でお越しいただいて──」
俺「バレてたの!?」
職員「ええ、すべてのスキャンで“共感遮断”が表示されますので。
あと、履歴書の“趣味:推しの観察”が2回とも一致してます」
魂が抜ける音がした。
その場で再びブラックリストに登録。
しかも今回は“永久版”。
【登録:婚活ギルド永久封印対象】
【理由:感情詐称・現実逃避・認識甘すぎ】
【警告:以後の接触は“意図的情緒破壊行為”と見なします】
受付嬢が、淡々と告げる。
「志無野さん、ギルドに必要なのは“見た目”じゃなくて“気持ち”なんです」
彼女は俺のローブをじっと見たあと、優しく言った。
「……心が変装してる限り、何度来ても、結果は同じですよ」
第19話、終了──俺、物理的変装で情緒審査に挑み、3秒で感情ログに引きずり出される。




