【第18話】異世界SNSに炎上ログが晒される
カレルディアには、“感情記録晶”と呼ばれる魔導端末が存在する。
簡単に言えば、SNSみたいなものだ。
発信された言葉や感情の流れがすべて記録され、
他者と共鳴した“言葉”が、魔法的に拡散されるこの世界最大の情緒ネットワーク。
俺──志無野 睦夫(49)、当然ながらこのネットに登録されている。
……ただし、“使われる側”として。
ある日。
端末に届いた1件の通知。
【#志無野ログ がトレンド入りしました】
俺は驚いた。
「ついに来たか……俺も異世界で、話題の男に──!」
期待に胸を膨らませながらタグを開いたその瞬間、
目に飛び込んできたのは……地獄だった。
・「女って感情論しか言わないよな」
・「“かわいそう”は自己満の感情コスプレだろ」
・「推しはインテリア。感情を映す装飾品」
・「“謝らない人は嫌い”って言ってるやつ、感情でマウント取ってるだけ」
全部、かつて俺が地球でつぶやいていたポスト。
その内容が、感情スキャン技術によって魔導記録晶に掘り起こされ、異世界SNSに拡散されたのだ。
そして、システムが下した判断。
【分類:感情抹消型発言】
【ラベル:共感遮断者による冷気系投稿】
【タグ:#思いやり0の言語兵器】
俺の過去の言葉は、“情緒倫理法違反”の疑いで調査対象となった。
翌朝には、魔導警察の通知が届いた。
「志無野 睦夫殿、あなたの過去ログにおいて、
異世界市民の情緒安定を著しく脅かす発言が確認されました。
現在、アカウントは“共感毒性”としてマークされております」
俺のプロフィールにはこう表示された。
【称号:マインド・ゼロ】
【共感係数:負圧】【発言拡散率:中毒性あり】【共鳴適正:破壊的】
オーディエンスは完全にドン引きだった。
「この人、共感って概念に化学反応起こしてない?」
「“推しはインテリア”って初めて聞いた。逆に詩人か?」
ついには、情緒保護団体の公式アカウントから公開ブロックを食らう。
【⚠️注意:このユーザーの言語は情緒感知能力に悪影響を及ぼします】
【対応:視界フィルターON推奨】
俺の発言が、**世界初の“読んではいけない言語圏”**として隔離された。
──ネットの海で、俺はとうとう“誰にも読まれない声”となった。
第18話、終了──俺、異世界で“過去のつぶやき”によって燃やされる側に登録される。




