【第13話】NPC以下の扱いを受ける
異世界転生からというもの、俺はあらゆる場面で拒絶され続けてきた。
婚活ギルド、冒険者パーティ、推し活、国家面接──
それでもどこかで「俺はまだ、データ的には“人間”として扱われている」と思っていた。
──その幻想が砕かれたのが、この日だった。
街の掲示板に、新たなクエストランク分類表が掲示されていた。
冒険者たちが興味津々で見ているのを横目に、俺も覗き込む。
【最新:冒険者クエストランク分類(202X年度版)】
【SSS】勇者、聖騎士、賢者
【S】上級冒険者、竜人族
【A】中級冒険者、人間貴族
【B】初級冒険者、魔法学校卒業生
【C】農民、村人、NPC(会話可)
【D】NPC(モブ、台詞なし)
……まぁまぁ、ここまではわかる。
でも、下の欄に書かれていた文字を見て、俺の血圧はストレートに低下した。
【Z】志無野 睦夫(←NEW!!)
おい。待て。
なんだその“Zランク”って。なに? 俺だけ?
農民より下? 台詞のないモブNPCより下?
もはや分類ではなく排泄物の処理手順みたいな扱いだ。
動揺しながら受付に駆け寄った。
「ちょっと! Zって何? 俺だけなんだけど!?」
受付嬢は無言で、俺のプロフィール画面を表示した。
そこに記されていた注釈は──
【Zランク特記事項】
・共感遮断による情緒フィードバック無効
・返答パターンが“でも”“それは違う”“いや”の3種類固定
・対話に発展性なし
・プレイヤーキャラクターとの区別困難
そして追い打ちのように、別の職員がぽつりと漏らした。
「志無野さん……会話が“繰り返し選択肢”になるんですよね。あれ、ユーザー体験としてすごくしんどいんです」
つまり俺は、自我を持ったNPC以下の、情緒無限ループAIとして登録されたのだ。
目の前がぐにゃっと歪む。
俺のIDタグは、もはや人間枠ではない。
ステータス更新通知が届いた。
【称号更新:モブ未満】
【特殊属性:対話型ログ汚染者】
【街の住民リアクション補正:-15%(不快感)】
街の子どもが掲示板を見て笑っていた。
「ママー、この人、ゲームのバグみたいなキャラにされてるよ!」
母親は子を抱えて答えた。
「それはね、触っちゃいけない存在よ」
第13話、終了──俺、異世界でついに**“モブ以下”の存在IDに格下げ**され、ログの片隅に追いやられる。




