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12/21

【第12話】推しからの幻影メッセージに崩れ落ちる

半年前、俺は異世界恋愛番組『LoveTrial』の初回で共感力−2.1を記録し、

視聴者投票により開幕追放された。


演出BGMが止まり、テロップで“好感度マイナス”を流された記憶は、今でも悪夢のように焼きついている。


そんな俺、志無野 睦夫(49)。

あれから多少は変わったつもりだ。共感力はついに【0.1】になった。

もう二度とあんな恥はかかない。そう誓っていた。


──のに、また番組からオファーが来た。


「今回はリベンジじゃなくて、“過去の失敗例として出演していただければ”と……」


つまり俺、“反面教師”として召喚されることになった。


企画名はこうだ。


『LoveTrial Re:Lesson〜過去の感情事故を振り返って学ぼう〜』


俺の過去の出演シーンがスタジオでフル放映される。


・登場早々に「見た目は経理系が好きです」と発言

・「記憶にないことは責任取れないので〜」のスピーチ

・無言で周囲の共感ゲージを下げる姿


共演者たちは半笑いで俺の映像を見ている。


「あ、これ知ってる! “共感マイナスの人”でしょ」

「この人の話し方、全部“言い訳フィルター”通ってるんだよね」

「情緒クラッシャー、マジ実在したんだ……」


俺は無言で苦笑するしかなかった。


さらに、番組中盤でサプライズゲストとして登場したのは、あのルミナ・ミスティア──

俺が異世界で出禁を食らった推しアイドロス本人だった。


彼女は微笑みながら、こう言った。


「志無野さん……今日も、来てくれたんですね」


「ル、ルミナ……っ」


「あなたの存在、本当に勇気をもらえます」


「……え、本当か!?」


「“自分よりヤバい人がいる”って、安心できるから」


その場にいた全員が頷き、拍手が起きた。

それは俺に対する感謝ではなかった。

ただの比較材料として、誰かの“底”として存在価値を持っただけだった。


俺は泣きそうになった。だが泣く資格もなかった。


帰り際、プロデューサーが俺に声をかけてきた。


「今後、出演者用に“情緒アラート”つけることになりました。あなたのおかげです」


「それ、ありが……あ、ありがとう……」


第12話、終了──俺、推しに“乾燥剤”として処分され、心の砂漠で崩れ落ちる。


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