第13話 第2章 捏造された罪を暴け!
俺の5歳の誕生日の次の日からずっとエリスとは手紙のやり取りをしていた。
手紙の内容はお互いが興味を持っていることについて語り合っていた。
そうなると、エリスの手紙の内容は読んだ本についてのことばかりだった。
エリスはエヴィメリオ王国の建国記だけでなく、歴史上の偉人の伝記や草花の図鑑や恋愛小説など、いろんな種類の本を読んでいた。
そんなエリスの話に合わせるため、俺もエリスが読んだ本を読まなくてはいけなくなり必然的に1度目の人生の時よりも読書量が増えた。
しかしこれも、エリスを魔王を倒す旅に同行してくれる仲間になってもらうためだと思えば全然苦にならなかった。
そんな俺の頑張りが通じたのか、手紙のやり取りを始めて1ヶ月後にはエリスはまた俺の家に遊びに来てくれるようになり、3ヶ月後には俺がエリスの家に遊びに行けるくらい仲良くなれた。
そして1年後には2ヶ月に1度は片方がもう片方の家を訪ねるのが習慣になるくらいエリスと仲良くなれた。
さらにスピドロが俺の護衛に選ばれた頃には、「エリス」、「デフトル」とお互いのことを呼び合うような仲になっていた。
エリスの父親であるシトロギー伯爵が、「デフトル様を呼び捨てするなんて大変失礼なことだからやめなさい」とエリスに注意していたため、エリスはなかなか呼び捨てで呼んでくれなかった。
しかし俺がシトロギー伯爵を、「俺が呼び捨てで呼んでほしいだけなので気にしないでください。」と説得すると、公式の場では呼び捨てで呼ばないという条件を出されたが、エリスが俺のことを呼び捨てで呼ぶことを許可してくれた。
大分エリスと親しくなれたが、俺の誕生日から5年後に起こる事件を解決するためにはシトロギー伯爵領のヴノーという地域に行く必要があった。
しかし、そこはシトロギー伯爵領と隣のプラナス伯爵領の間にある山々が連なっている地域なので、いきなりエリスやシトロギー伯爵に行きたいと頼んでも連れて行ってもらえる場所ではなかった。
エリスとシトロギー伯爵も小さな村と関所があるだけの場所より観光地に俺を招待したいらしく、俺がヴノーに行きたいと言っても、ヴノーよりももっといい所がありますと言って、なかなか連れて行ってはくれなかった。
それでも、エリスと手紙のやり取りを始めて4年後、事件が起こる1年前になってやっとシトロギー伯爵がヴノーへ連れて行ってくれることになった。
ハモン公爵領からシトロギー伯爵領に到着するまでに4日かかったが、ヴノーに行くまでにさらに1日かかった。ヴノーがかなり辺境にあることが理解できた。
この時はヴノーにある小さな村を2つ訪ねただけで帰ることになり、俺としては満足できるものではなかった。
やはりもっと山奥に行かなくては目当てのものは見つけられないことだけは分かった。
そのため、今度は関所のある辺りに行ってみたいとお願いするとシトロギー伯爵は、「ずいぶんとヴノーに興味がおありなのですね」と驚いていたが、「では、次の機会にお連れいたします」と俺のお願いを承諾してくれた。
俺はお願いを聞いてくれたシトロギー伯爵に感謝を伝えながら、「次こそは!」と意気込んでいた。
俺がシトロギー伯爵領のヴノーを初めて訪ねてから2ヶ月後、2度目のヴノーを訪ねる機会がやって来た。
まずシトロギー伯爵領に向かう日の朝、目が覚めると毎朝やっている神様への礼拝を行った。
1度目の人生の時も毎朝の礼拝を欠かしたことはなかったのだが、2度目の人生では俺に人生をやり直す機会を与えてくれたモーラー様とグノース様とパンディナモス様、あと一応カイノス様への感謝を忘れないために1度目の人生の時の礼拝よりも念入りに行っていた。
「(事件が起こるまで、あと10ヶ月ありません!今度こそ絶対に見つけないといけないのです!何卒よろしくお願い申し上げます。)」
少し焦っていた俺は普段の礼拝ではしない神様に願い事をするお祈りをしていた。
人生をやり直させていただいたのだから、それ以上のことは望んじゃダメだと思い、今まで神様にお願いはしてこなかったのだが、今の状況だとそんなことは言っていられないと考え直し、2度目の人生で初めて神様にお願いしていた。
神様への礼拝を終えると、朝食を食べて身支度を整えてからシトロギー伯爵領に向かう馬車に乗るため玄関へと向かった。
玄関には俺の護衛であるスピドロがすでに待機していた。
「おはようございます!デフトル様」
「おはよう。スピドロ。準備は整っているか?」
「はい!準備万端です!」
「よし。それじゃあ出発しよう」
「はい!」
俺とスピドロは馬車に乗り込みシトロギー伯爵領に向かった。
ちなみにシトロギー伯爵領へは俺とスピドロを乗せた馬車と俺の身の回りの世話をする執事たち乗せた馬車とエリスへのお土産などの荷物を乗せた馬車の3台と馬に乗ったハモン騎士団員の方を十数人ほど引き連れて向かった。
「あの、デフトル様、1つ質問してもよろしいでしょうか?」
「ん?何だ?答えられる範囲だったら答えるぞ」
「デフトル様は何でヴノーに行きたがるのですか?正直に申し上げますと俺には全然魅力的な場所だとは思わないのですが」
出発してからしばらくするとスピドロが俺にヴノーを訪ねる理由を質問してきた。
「(スピドロには理由を説明しておいた方が都合がいいか)」と考え、俺はスピドロの質問に答え始めた。
「俺がヴノーに行きたがる理由はある事件の証拠を見つけるためなんだ」
「事件の証拠?それは一体どんな事件の証拠なのですか?」
「事件というのはシトロギー伯爵の国家反逆計画のことだよ」
「国家反逆⁈それってかなりの大罪ですよね?一族郎党、全員死罪になるかもしれない程度の」
「ああ、そうだ。だから何としても止めないといけない!」
「そうか!だからデフトル様はシトロギー伯爵と懇意にしていらっしゃったんですね?国家反逆計画の証拠を見つけるために?」
スピドロが一人で勝手に納得していたので、俺はスピドロの早合点を訂正すべく、「いや、それは違う」とスピドロの質問を否定した。
「違う?どこが違うんですか、デフトル様?」
「シトロギー伯爵が国家反逆計画を立てているというところだよ。シトロギー伯爵は計画を立ててない。ある人物に陥れられそうになっているんだ」
「陥れられる?一体誰に陥れられそうになっているんですか?」
「それはだな……」
俺は事件のあらましをスピドロに説明し始めた。




